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顧客の好みを瞬時に判断するリコメンデーション・エンジン――ネットパーセプションズ・ジャパンがセミナー開催

2000年04月07日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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ネットパーセプションズ・ジャパン(株)は5日、プレス向けセミナーを都内で開いた。同社では、主にB to C(企業-消費者間)の電子商取引(EC)サイトにおいて、訪れたユーザーの好みに合わせた商品を瞬時に表示するシステム“リアルタイム・リコメンデーション・エンジン”をコアとした製品を販売している。セミナーでは「これはECにおけるマーケティングを根本的に変えるもの」などと同社の製品がPRされた。

都内のホテルで開かれたプレス向けセミナー 都内のホテルで開かれたプレス向けセミナー



米ネットパーセプションズ社は'96年に設立された。日本法人は昨年7月に設立。資本金1億円のうち、米本社が45パーセントを出資。残り40パーセントをトランス・コスモス(株)、エヌ・ティ・ティ ソフトウェア(NTTソフト)(株)が10パーセント、(株)東洋情報システムが5パーセントを引き受けている。

リアルタイムで顧客のし好を分析するリコメンデーション・エンジン


ネットパーセプションズ・ジャパン社長の森田正昭氏 ネットパーセプションズ・ジャパン社長の森田正昭氏



日本法人社長の森田正昭氏によると、同社製品の中核となるリアルタイム・リコメンデーション・エンジンは、“協調フィルタリング”と呼ばれる手法を基本としている。協調フィルタリングでは、顧客の行動や購買履歴から顧客の好みを推測し、膨大な商品の中から顧客の嗜好に合った商品を推薦(リコメンデーション)する。

その仕組みこうだ。まず(1)多くの顧客の購買履歴を収集する。(2)顧客がある商品を購入すると、同じ商品を購入した過去の顧客を検索してグループ化する。(3)グループ内の顧客が購入した商品群をもとに、顧客が次に購入しそうなものを分析してリストアップ、“次はこれをどうですか”と推薦する――というのが一般的な流れとなる。

つまり邦楽CDを例に取れば、ビジュアル系バンド“GLAY”のアルバムを購入した顧客がいた場合、過去にGLAYのCDを購入した顧客グループは他にどんなアーティストのCDを購入しているのかを検索。その結果、“ビジュアル系のルーツとなったX JAPANのアルバムはどうですか”などと別の商品を顧客に提示するという仕掛けだ。

同社の製品ではこれらの過程をすべて自動で行なう上、処理スピードが高速な点が特徴。森田氏によると、100万点の商品、1000万人の顧客に対応し、レスポンスは最速で10ミリ秒で可能だという。

同社の製品は“eToys”“CD NOW”といった大手ショッピングサイトなど160サイトに導入されているという。国内では事務用品販売の(株)アスクルのサイトや、(株)カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の“TSUTAYA Online”で採用されている。

オンラインショップ成功のカギはパーソナライゼーション

セミナーでは、来日したネットパーセプションズ社マーケティング&ビジネス開発担当上席副社長のスティーブ・ラーセン(Steve Larsen)氏も講演した。

ネットパーセプションズ社上席副社長のスティーブ・ラーセン氏 ネットパーセプションズ社上席副社長のスティーブ・ラーセン氏



ラーセン氏は「オンラインショッピングでは製品やサービスが手軽に提供できる反面、価格や品質で他サイトとの差別化が難しい。そのため、顧客一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライゼーションが重要になる」と指摘。だが従来のようなセグメントごとに分類するパーソナライゼーションでは、ワントゥーワンが基本のインターネットでは意味をなさない。しかしワントゥーワンのパーソナライゼーションを行なうには時間と手間がかかる。

これを解決するのが同社のリコメンデーション・エンジンだという。同社の製品をサイトに導入すれば、各顧客の好みをリアルタイムに収集する。その結果、ある初めてサイトを訪れた顧客に対しても適切なリコメンデーションが可能という。その結果、“自分のことを理解してくれている”と感じるユーザーはサイトに対する信頼感を増し、リピーターとなることが期待できるという。

ラーセン氏は、「例えば顧客が好きなアーティストの新作CDの予約開始を知らせる電子メールを送ることは、広告であると同時にサービスにもなりうる。パーソナライゼーションを徹底することで、効果的な広告と低コストの顧客サービスが実現でき、結果的により多くの売上を見込めるだろう」と述べ、オンラインショップが生き残るため、同社製品を基盤にしたパーソナライゼーションの有効性を強調した。

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