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メッツ、'99年度の決算説明会を開催、2000年より製品のオンライン販売を開始、2001年にはASP事業にも参入

2000年04月07日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)メッツは、4月7日に都内で第12期('99年4月1日~2000年3月31日)決算説明会を行なった。4月7日の時点で監査法人が承認済みの'99年度決算開示を行なったのは、既存の上場企業の中で同社が初めてという。

左から、同社永田社長と取締役業務管理部長の筧悦生氏。説明会で同社が関係者に配布した決算短針は、個別財務諸表等、経営方針、特別記載事項など、総ページ数が29枚におよぶ。永田氏は「会計基準の表示方法が今回から変わっているので、われわれの短信をこれから真似る企業もあるだろう。短信についてこれだけのものを用意している企業はほかにない。行間からほとばしるパッションを感じ取っていただきたい」とコメント
左から、同社永田社長と取締役業務管理部長の筧悦生氏。説明会で同社が関係者に配布した決算短針は、個別財務諸表等、経営方針、特別記載事項など、総ページ数が29枚におよぶ。永田氏は「会計基準の表示方法が今回から変わっているので、われわれの短信をこれから真似る企業もあるだろう。短信についてこれだけのものを用意している企業はほかにない。行間からほとばしるパッションを感じ取っていただきたい」とコメント



第12期('99年度)は大幅な減収減益、「製品を売らなかった」

決算報告によると、'99年度の売上高は9億9100万円(前年同比22パーセント減)、経常利益が4000万円(同85.9パーセント減)、純利益は500万円(同96.2パーセン減)となっている。この決算結果について、説明会に出席した同社代表取締役社長の永田典久氏は、「第12期は減収減益で、数字だけを見ると“やはりマザーズか”という感じだが、それは大きく違う。今回の減収減益は戦略的なものであり、経営不安によるものでは一切ない」と断言した。

減収減益の戦略的な要因とは、同社が、第13期(2000年4月1日~2001年3月31日)に、従来の店頭セールス主体のビジネスから、インターネットを利用して製品をダイレクト販売するECビジネスに転換するためだという。

同社の第12期の売上比率は、ダイレクトメールでのアップグレードなど登録ユーザー向けのダイレクト販売が25パーセント、企業や教育機関向け販売が15パーセント、店頭販売が65%となっている。同社は、第13期からECビジネスを展開するため、その準備として昨年11月より市場での製品の在庫調整を行なった。

まず、店頭でのパッケージ販売に関しては、昨年11月から店頭への製品供給を停止し、売り切り販売を行なった。これは、店頭で在庫が余った場合、店頭で行なわれる投げ売り販売がマイナスイメージにつながることを考慮したためという。

続いて、登録ユーザーにはECビジネス展開に向けた趣旨を個別に電話等で説明し、昨年12月17日からダイレクトメールによる販売申し込みを停止した。企業や教育機関に対しては、2000年3月中旬まで製品見積もりを受け付け、以後は停止したという。

永田氏は、「インターネットによるダイレクト販売を行なうため、負の遺産を残したくなかった。製品が売れなくて売上が立たなかったのではない。昨年12月に“店頭に『筆自慢』がない”と言われたが売らなかった」と説明。データリサーチ社の'99年1~12月での店頭市場売上における同社製品のシェアは、グラフィック部門ではグラフィック&DTPソフト『G.CREW』が1位(15.7パーセント)、フォトレタッチソフト『Photo Crew』が3位(13.3パーセント)、はがき作成ソフト部門では『筆自慢』が2位(15.1パーセント)となっているという。

第13期(2000年度)からはオンライン販売に移行

同社は、第13期にECビジネスを展開、さらに第14期にはマルチプラットフォームに対応したインターネットサービスを提供するASP(Application Service Provider)事業を本格的に行なうという。そのため、第13期の研究開発費の80パーセントを、ASPシステムとJava対応の製品開発に、残りの20パーセントを既存製品のバージョンアップに当てるという。

永田氏は「Windows対応製品をやらないわけではないが、マイクロソフトのシェアは毎年落ちている。一方インターネット市場は、今後PCだけでなく携帯電話やゲーム機などさまざまな次世代端末から利用可能となり、5年後には接続できる端末が1億台となるだろう。これを見逃す手はない」と強調した。

第13期の2000年6月か7月には、インターネットによるパッケージ製品の販売を開始し、その後はソフトのダウンロード販売も行なうという。店頭販売は基本的に行なわないが、現在店頭市場からの要請が大きいため、一部の店舗で販売する可能性もあるとしている。価格については、「直販だから、今より高いことはありえない」(永田氏)という。同社は現在、登録ユーザーを100万人抱えているが、「これを1000万人にする」(永田氏)としている。

また同社は、同じく6月か7月に既存ソフトウェア製品のバージョンアップ版を発売するが、第13期に新タイトルは出さないため、同社単独での売上は、第13期は第12期と同水準と予測しているという。しかし同社は、インターネット市場でのマルチメディアEC販売企業、同社では開発できないソフトやサービスを提供している企業、広告配信サービス企業、ASP事業関連企業などと、新会社(同社の連結対象子会社)を3社ほど設立する計画を立てており、子会社を設立した場合のグループ全体での売上はプラスになるだろうとしている。なお同社は、早ければ4月中にも新会社のうち1社の設立発表を正式に行なうという。

第14期(2001年度)にはASP事業に参入

第14期に提供するASP関連製品として、『筆自慢』の住所録などを利用したPIMソフトサービス、『Photo Crew』のレタッチ機能を利用した静止画画像の編集/加工/出力/配信サービス、『G.CREW』を利用したDTPサービスを提供するという。プログラムおよびデータをすべてASPサーバー上で管理し、次世代携帯電話やゲーム機などを含むマルチプラットフォームで利用できるようにする。これらのASPサービスは2001年4月以降に、製品として提供するとしている。なお同社は、ASPサービスのテストを2000年第3四半期か第4四半期に無償で行なう予定。

また、2001年から2002年に向けた新製品として、デジタルビデオ放送に対応した動画編集/配信サービス、ゲーム感覚でホームページを作成できる家庭向けホームページ作成ソフトのサービスも提供していくという。永田氏は「今期の減収減益は第14期に返ってくるだろう」としている。

永田氏は「われわれは目先の利益だけを追う会社ではない。有言実行の会社として、株主の期待に応えていきたい」と語った。

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