米アメリカ・オンライン社(AOL)の子会社である米ネットスケープ・コミュニケーションズ社は、ウェブブラウザーの最新バージョン『Netscape
6』を世界同時に発表、日本でも同社の関係者が来日し、都内ホテルで記者発表会を行なった。
『Netscape 6』は、ウェブブラウザー『Netscape Navigator』、電子メールツール『Netscape
Mail』、AOL Instant Messengerに対応したインスタントメッセージングツール『Netscape
Instant Messenger』、HTMLエディター『Netscape Composer』などで構成される。同社は本日より、評価版である『Netscape
6 Preview Release 1』を公開、同社ウェブサイトで無償ダウンロード可能となっている。
ダウンロード可能なのは、Windows対応の日本語版と英語版、Macintosh対応の英語版、Linux対応の英語版のみ。ダウンロードサイズは、ブラウザーのNavigatorのみで約5.5MB、標準コンポーネントで約7.3MBとなっている。
日本語版のMacintosh対応版とLinux対応版のPreview Release 1のリリース時期は未定だが、現在ダウンロード可能な英語版は多言語に対応しており、ウェブサイトやメールの日本語表示は可能。メニューが英語となってしまうが、日本語サイトや日本語メールなどは問題なく表示できるという。正式版『Netscape
6』の日本語版は、Windows、Macintosh、Linuxの各プラットフォーム対応版がそれぞれ今秋に同時リリースされる見込み。
Navigatorの画面 |
『Netscape 6』の主な機能
ブラウザー画面は、全体的に丸みを帯びたデザインとなっている。また、Preview Release 2で搭載される“テーマ”機能を利用すると、ブラウザーの外観のカスタマイズが可能になる。外観デザインは数種類あり、例えば子供向けに、アイコンがわかりやすく色合いもポップなデザインなどが用意されている。Navigatorは、これまでウェブページのテーブルの画面表示に時間がかかっていたため、テーブル表示を高速化したという。発表会で行なわれた、テーブルを多用したウェブ画面を表示するデモでは、Netscape Communicator 4.72ではすべてを表示するのに約8秒かかったのに対し、Netscape 6では約1~2秒であった。
画面左サイドには、さまざまなコンテンツをタブ表示できる“My Sidebar”を搭載する。My Sidebarには、同社がパートナー契約を結んだ世界各国の企業のコンテンツが登録されており、タブをクリックすると、各コンテンツのリアルタイム情報が表示される仕組みとなっている。国内企業では、ダイアモンド・ビッグ・カンパニー(地球の歩き方)、朝日新聞社(asahi.com)、バーゲン・アメリカ(バーゲン・アメリカ)、楽天(楽天市場)、CRC総合研究所(Weather Eye)がパートナーとなっており、My Sidebarにコンテンツを提供している。
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My Sidebarはカスタマイズが可能で、設定画面でタブを追加/削除したり、表示順序を並べ替えたりできる。また、コンテンツのウェブページ上に用意されているMy Sidebar専用のボタンをクリックすると、My Sidebarのタブ内にコンテンツ内容が表示される。将来的には、オークションサイトのオークション追跡情報や、音楽配信コンテンツの音楽データなどもMy Sidebar上で行なえるという。 |
検索機能も強化し、複数のサーチエンジンで同時検索し、結果を表示できるようになった。メインのサーチエンジンを選択後、追加したいサーチエンジンを選ぶと、複数のサーチエンジンを使って同時に検索、表示可能。結果を表示する際は、どこのエンジンからみつかったかをマークで判別できる。
また、サイトの自動翻訳機能を搭載する。“翻訳”メニューを選択し、元となるサイトの言語と、翻訳したい言語を選んで“Gist”(要約)ボタンをクリックすると、そのサイトが翻訳される。
自動翻訳設定画面 |
電子メールツールのNetscape Mailは、マルチアカウントをサポートする。差出人のメールアドレスが、アドレス帳の専用フォルダーに自動登録されるようになった。また、Instant
Messengerとも連携し、メールを受信した際、差出人がInstant Messengerを利用してオンライン状態にあると、それを検知して目印となる“ともだちアイコン”をメールアドレス部分に表示する。
発表会場では、米ネットスケープ・コミュニケーションズ社の担当者が概要を説明
発表会場では、米ネットスケープ・コミュニケーションズ社のインターナショナルマーケティングディレクターであるLaura Malone(ローラ・マローン)氏が、「アジア圏で初めての対応言語として日本語を選んだ。その理由は、インターネットユーザーが2000万人いること、Netscapeの認知度が高いこと、ウェブページ“NetCenter”の利用者数や広告費が米国に次いで第2位であることの3つだ。われわれはオープンソース開発に注力し、さまざまなプラットフォームに対応できるようにしている。Netscape 6を利用してサイバーの旅を楽しんでほしい」と挨拶した。Laura Malone氏 |
米国時間5日に行なわれた“Spring Internet World 2000”における米AOL会長兼CEOのStephen M. Case氏の基調講演の様子が紹介された。同氏は講演で「インターネットとコミュニケーションがひとつになろうとしている。Netscapeマジックは再び戻ってきた。ユーザーに対しての大きな1歩だ。スピード、利便性、カスタマイズのしやすさが特長。さまざまなプラットフォームに対応したことで、ユーザーは多くのウェブアプリケーションを利用できるだろう」と語っている |
続いて、同社クライアントプロダクトグループプロダクトディレクターのCindy
Roberts(シンディ・ロバーツ)氏が、Netscape 6の概要説明を行なった。同氏は、「Netscape
6の開発にあたり、基本コードを含むすべてのソースコードを書き直した。業界動向も重視した。ユーザーは高度なウェブアプリケーションやコンテンツを求めている。また、これまでは電子メールが中心だったが、電子メールとインスタントメッセージの調和が取れてきている。さらにユーザーはパーソナル化したものがほしいと思っている。iMacが売れたのも、ほしい色合いのコンピューターが提供されたからだ。ユーザーは利便性、接続性、カスタマイズ性の3つを求めており、Netscape
6は、それらの要求に応えるものだ」としている。
Cindy Roberts氏 |