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ネット上の大道芸人の帽子にチャリンとお金を入れよう!“投げ銭システム”が実用化に向けいよいよ始動 

2000年03月24日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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22日、投げ銭システム推進準備委員会は、投げ銭システムを利用したフリーマーケットをオープンした。

“投げ銭システム”とは、大道芸人の帽子や空き缶に小銭を投げ入れるように、ユーザー側で気に入ったウェブや優れたコンテンツに対して、いくらかのお金を支払えるようにしたシステム。フリーマーケットに登録されているコンテンツは、20円、50円、100円、200円といったボタンが配置してあり、それをクリックすることでコンテンツに対して対価(投げ銭)を支払えるようにしてある。

投げ銭システムを利用したフリーマーケット
投げ銭システムを利用したフリーマーケット



投げ銭のボタンの拡大図。20円、100円、200円のボタンが並ぶ投げ銭のボタンの拡大図。20円、100円、200円のボタンが並ぶ



実験で使われている電子決済システムは、インターネット上の少額決済システム“ミリセント”*。ネットコインセンターで“ネットコイン”を購入し、そのコインを“ウォレット”という財布ソフトで管理する。まず、ネット上からミリセントに登録したあと、フリーマーケット上の投げ銭システムに戻る。コンテンツを見て、良いと思ったらコインを投げ入れる(ボタンをクリック)という手順になる。

*
ミリセント:コンパックコンピュータが開発した電子決済システム。0.1円単位から、1円、10円といった少額決済が可能なため、デジタルコンテンツの購入や販売に適している。

松本氏によれば、コインを財布から出して投げ入れる操作が投げ銭のイメージに合うことから、今回、ミリセントを採用したという。決済システムについては、まず“投げ銭”という流れを作るのが第一目的であり、今後さまざなシステムも検討していきたいという。

現在、このフリーマーケットに登録されているコンテンツには、高野孟氏と津村喬氏のメールマガジンfreemarket版『Navigator』、 ひつじ書房の代表取締役社長であり、投げ銭システム推進準備委員会代表でもある松本功氏の『ルネッサンス・パブリッシャー宣言』のデジタル版『 On The Road on Line 001』 、浮世絵太郎氏の時代小説『道のもの 』、石井研二氏の『家族でアウトドア』の4タイトルがある。(うち『 On The Road on Line 001』はシステム準備中)。これ以外にも、書評パンチの編集長日誌など、1週間程度の割合で定期的にコンテンツをアップする。

高野孟氏のコラム。右下に投げ銭のボタンがある
高野孟氏のコラム。右下に投げ銭のボタンがある



投げ銭(料金)の金額の選択肢はコンテンツによってさまざまだが、現在のところ最低料金は20円から。この投げ銭システムには、もともと、“いいこと”の対価として小銭を支払うという意味を持つが、対価とは異なる“心意気”を示す手段でもある。

インターネットの普及により、大規模なオンライン決済もたくさん存在するようになった。しかし、個人が主催するようなニッチなウェブにふさわしい少額決済システムはそれほどない。少額でもお金を支払え、しかもそれがお仕着せではなく、ユーザー自らの賛同による“投げ銭”であれば、個人ユーザーがウェブを支えていけるかもしれない。また、小額決済の手段としてだけではなく、お金を払うことである種の“知のコミュニケーション”を実現する手段になる可能性も秘めている。

松本氏は、デジタルコンテンツだけではなく、SOHOやNPOの活動を支援するシステムとしても、この“投げ銭”を活用してもらいたいと考えている。実際に、4月22日から始まるNPOの地球環境活動のイベント“アースディ2000”への募金にも、このシステムが使われる予定だという。

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