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【IDF Spring 2000レポートVol.3】IDF基調講演でWillamette-1.5GHzをデモ

2000年02月18日 00時00分更新

文● TERO MODA

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2月15日~17日(現地時間)、カルフォルニア州パームスプリングスの“Palm Springs Convention Center”において、“Intel Developer Forums Spring 2000”(以下IDF Spring 2000)が開催されている。今回のレポートでは、15日に行なわれた基調講演の模様をお伝えする。

15日午前8時、基調講演が始まった。スピーカーとしてアンドリュー・グローブ(Andrew S. Grove)氏(Chairman of the Board)、パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏(Vice President and General Manager、Desktop Publishing Group)、アルバート・ユー(Albert Yu)氏(Senior Vice President、Microprocessor Products Group)らが登壇し、ミレニアムを迎えたインテルの戦略、そして新製品などを発表した。

まず、パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏が、今フォーラムの参加者について報告した。セッションでは65の企業から集められた112人の開発者が講演し、展示会には111企業が出展する。報道関係者は200人におよび、27ヵ国から約3000人のデベロッパーが訪れているという。

Powers of Ten――急成長するインターネット企業にこたえようとするインテルの決意

「現在インテルが出荷しているのは、デスクトップ、モバイル、ワークステーション向けのマイクロプロセッサーを中心とした“クライアント製品”、モデムなどの“ネットワーク製品”、そして新マイクロプロセッサー『Itanium』を含んだ“サーバー製品”である。過去、アプリケーションの主軸は、ビジネスとゲームだった。しかし今後これは、情報、トランザクション、マーケットという3つの分野におけるインターネットアプリケーションに移行することだろう。ミレニアムにおけるインテルのビジネスは、この流れを正しくつかんだものでなければならない」

グローブ氏は、'68年のインテル社設立時の社員で、'79年にPresident、'87年にCEOに就任。'97年にCEOとChairmanを兼任したが、'98年にはクレイグ・バレット(Craig Barrett)氏にCEOの肩書きを譲っている
グローブ氏は、'68年のインテル社設立時の社員で、'79年にPresident、'87年にCEOに就任。'97年にCEOとChairmanを兼任したが、'98年にはクレイグ・バレット(Craig Barrett)氏にCEOの肩書きを譲っている



インテルのアンドリュー・グローブ会長による“Powers of Ten(急速な成長)”をテーマにした基調講演は、「インターネットは急速に成長し続けている市場であることを理解することが、もっとも重要だ」とう言葉で始まった。

インターネットアプリケーションの3分野の1つは、“情報”、つまり情報収集と検索。“トランザクション”とは、顧客ごとに電子商取引を提供するサービス。“マーケット”は、実際の取り引きとなる。これらのビジネスが成功し、企業規模が急速に拡大すると、企業はサーバーの増強に迫られる。「インテルがこれら企業の要求に答えるには、安価、高速処理、簡単な増設設計といった条件を満たしたマイクロプロセッサー“IA(インテルアーキテクチャー)”を提供していかなければならない」と、インターネット市場におけるインテルの立場を示した。

インテルの製品を組み込んださまざまな分野の製品が紹介された
インテルの製品を組み込んださまざまな分野の製品が紹介された



“情報”の分野で、インテルのマイクロプロセッサーを搭載したサーバーを運営し、インターネットビジネスで成功を遂げた“Google”のラリー・ペイジ(Larry Page)氏(CEO)、“マーケット”の分野で成功した“eToys”のジョン・ハニセック(John Hnanicek)氏(CEO)、“トランザクション”の分野で“Commerce One”のサム・プレイサー(Sam Prather)氏が紹介された
“情報”の分野で、インテルのマイクロプロセッサーを搭載したサーバーを運営し、インターネットビジネスで成功を遂げた“Google”のラリー・ペイジ(Larry Page)氏(CEO)、“マーケット”の分野で成功した“eToys”のジョン・ハニセック(John Hnanicek)氏(CEO)、“トランザクション”の分野で“Commerce One”のサム・プレイサー(Sam Prather)氏が紹介された



2000年のクライアントアークテクチャー

続いてアルバート・ユー氏が登壇し、デスクトップ、ワークステーションのためのアークテクチャーに関する説明が行なわれた。

インテルは現在、Pentium IIIなど0.18μmルールの製品の生産を4つの工場で行なっている。今年第3四半期までに6工場に増やし、2001年までに0.18μmルールの生産量は0.25μmルールのそれを上回ると見込んでいる。また、2001年には、銅配線による0.13μmルールの生産を開始する。

■インテルの2000年度プロセッサーロードマップ

前期(1~6月) 後期(7~12月)
サーバー/ワークステーション Pentium III Xeon(900MHzまで。256KBキャッシュ) Itanium-800MHz、Pentium III Xeon-1GHz(256KBキャッシュ)
パフォーマンスデスクトップ Pentium III(900MHzまで) Willamette(1GHz未満)、Pentium III-1GHz
パフォーマンスモバイル PC Mobile Pentium III(750MHzまで) Mobile Pentium III(850MHzまで)
バリューデスクトップ Celeron(600MHzまで) Celeron(700MHzまで)、Timna


次に、ユー氏は2000年のマイクロプロセッサーのロードマップを発表した。2000年後期、サーバー/ワークステーション用途のマイクロプロセッサーには、 800MHzの『Itanium』と1GHz動作で256KBの2次キャッシュメモリーを搭載した『Pentium III Xeon』が投入される。パフォーマンスデスクトップでは、1GHzを越える『Willamette』(コードネーム)と1GHzの『Pentium III』”。パフォーマンスモバイルPCでは、850MHz以上の『Mobile Pentium III』。バリューデスクトップでは、700MHz以上の『Intel Celeron』、そして『Timna』(コードネーム)が投入されることになる。

“Timna”を見せるユー氏。Timnaは、600ドル以下のPCをターゲットにした、チップセット統合型マイクロプロセッサー
“Timna”を見せるユー氏。Timnaは、600ドル以下のPCをターゲットにした、チップセット統合型マイクロプロセッサー



バリューデスクトップのCeleronでは、『Intel 810E』と『Intel 815』チップセットが使用されることになる。Mobile Pentium IIIでは『Solano2M』(コードネーム)と『Intel 440ZX』チップセットが、Pentium IIIとWillametteでは『Camino 2』(コードネーム)と『Soano 2』(コードネーム)のチップセットが使用される。

ユー氏は、1.5GHzで動作する次世代IA-32プロセッサーWillametteのデモを行ない、聴衆を驚かせた。Willametteでは、“Streaming SIMD Extensions 2”を搭載し、バススピードはPentium IIIの約3倍の400MHz。メモリーには、RDRAMが採用される。インテルは今後、SDRAMからRDRAMへの移行を推し進め、2002年にはすべてのメインストリームデスクトップでデュアルチャンネルの“Direct RDRAM”を採用する。バリューデスクトップにおいては、SDRAMとRDRAMの2種類を採用することになる。

USB 2.0機器が登場 - 次世代のインターネットモデル

パット・ゲルシンガー氏は、インターネットビジネスの成長には、“スピード”、“使いやすさ”、そして“スタイル”が重要な要素となることを強調した。“使いやすさ”を実現するには、まず、ISAバス、シリアルI/O、フロッピーディスク、VGAといった旧インターフェースを捨て去り、USB、ネイティブネットワーキング、DVI(Digital Visual Interface)といった規格にスムーズに移行する必要がある。

USB 2.0に対応したスキャナーのデモが行なわれた
USB 2.0に対応したスキャナーのデモが行なわれた



“USB 2.0”については、すでに35企業が年内に対応製品を発売することに合意している。OSと周辺機器は、今年下半期からUSB 2.0に対応することになる。また、それまでに、インテルプロセッサーとMII(Media Independent Interface)に対応したPlug and Playのネイティブネットワークにシステムレベルで対応してゆく。DVIはVGAに替わるビデオインターフェースで、現在100企業が開発に参加し、デルコンピュータと富士通が対応製品の出荷を開始している。年内には、各社でDVI製品を量産してゆくことになる。

最後に、ビジネスユースとホームユースでの市場の違いについてが語られた。ビジネスユースでは、PCはインターネット時代でのビジネスツールとしてとらえられ、つねに高いパフォーマンスが要求されている。一方、ホームユースでは、電話回線を使って複数の異なるデバイスからインターネットにアクセスしている。米国内においては近い将来、“DSL”が一般家庭に普及し、マルチメディアコンテンツ全盛の時代が到来するとみられている。

斬新なスタイルに新規格を備えたミレニアム製品を紹介するゲルシンガー氏。2段目の中央にあるのが、コンパックの『EZ2700』。最下段中央が、デルの『WebPC.blast』
斬新なスタイルに新規格を備えたミレニアム製品を紹介するゲルシンガー氏。2段目の中央にあるのが、コンパックの『EZ2700』。最下段中央が、デルの『WebPC.blast』



新仕様の『Pentium III』を搭載するためのコンパクトなマザーボード。今年下半期に投入される
新仕様の『Pentium III』を搭載するためのコンパクトなマザーボード。今年下半期に投入される



「インテルは、この2つの市場を正しくとらえ、それぞれのニーズにこたえつつ、次世代のインターネットモデルを提案してゆきたい」と、ゲルシンガー氏は基調講演をしめくくった。

基調講演終了後、IA-64アーキテクチャーを採用したサーバー、ワークステーションなど、最新技術情報を公開するトラックセッションが始まった。また、サードパーティによる展示も始まり、Itaniumを搭載したサーバーのプロトタイプなどが公開された。

基調講演終了後、Itaniumを搭載したサーバーの展示が行なわれた。筐体が開け放たれ、Itaniumを見ることができた
基調講演終了後、Itaniumを搭載したサーバーの展示が行なわれた。筐体が開け放たれ、Itaniumを見ることができた



インテルはItanium搭載機種の展示をロビーに置き、筐体をオープン状態で公開した。フォーラム参加者ひとりひとりの質問に、インテルの社員が応対し、基調講演で語られたインテルの将来の技術が、こうしたトラックセッションによってどんどん現実性を増してゆくことを実感することができた。

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