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SRAとPML、Java用の幾何演算クラスライブラリー/3次元グラフィックスライブラリーを発表

2000年02月18日 00時00分更新

文● 編集部 山本誠志

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(株)SRAと(株)精密形状処理研究所(PML)は18日、Java用の幾何演算ライブラリー『JGCL』と3次元グラフィックスライブラリー『じゅん for Java』の発表を行なった。

Javaに対応した幾何演算クラスライブラリー『JGCL』

『JGCL』(Java Geometry Class Library)は、Java開発者向けの幾何演算クラスライブラリー。直線や円、自由曲面といった2次元および3次元のオブジェクト、およびオフセットやフィレット生成、曲面の平面近似やプロジェクション(投影点)などのメソッドをJavaで実装している。国際標準規格STEPを参照したクラス構造を持ち、広範囲の形状オブジェクト操作を必要とするアプリケーション開発に対応するという。

SRAとPMLの両社は、'89年にC言語の幾何演算ライブラリーGHL(Geometry Handling Library)の開発に着手し、'93年に製品化した。今回発表されたJGCLは、7年の販売実績を持つGHLのノウハウを活かし、GHLそのものをJavaに移植したもの。公開βテストの実施を2000年中にも予定している。

3次元グラフィックスライブラリー『じゅん for Java』

この日、同時に発表された『じゅん for Java』は、Java開発者向けの3次元グラフィックスライブラリー。3次元オブジェクトを視覚化するためのさまざまな機能を備えるほか、マルチメディアを扱うアプリケーション構築にも対応する。『じゅん』はもともとSmalltalk版として開発が進められていたが、今回Java移植版である『じゅん for Java』を発表。それとともに、オープンソースソフトウェアとして無償公開した。

Smalltalk版『じゅん』は、'95年に最初のバージョンを公開してからバージョンアップを重ね、2000年2月1日には最新バージョン『Jun330』が発表されている。『じゅん for Java』の最初のバージョンが登場したのは'94年。以来、SRAとPMLの両社は『じゅん』の新規開発はSmalltalk版で行ない、順次Javaに移植というスタイルをとっている。なお、同社では『じゅん for Java』の最新バージョンとなる『Jun301』の公開を、2000年2月下旬に予定している。

じゅんの概要について解説するSRAオープンソースビジネス部の西中芳幸氏
じゅんの概要について解説するSRAオープンソースビジネス部の西中芳幸氏



じゅん/JGCLのビジネス戦略

発表会では、JGCLとじゅんに関する概要をそれぞれ解説。機能説明のデモンストレーションを行なった後、SRAオープンソースビジネス部の林香氏が、今後のビジネス戦略について説明した。

現在、日本におけるグラフィックス開発環境は、海外製のものが圧倒的シェアを占める。同社では「なんとか日本製のグラフィックス基盤を提供したい」と考え、JGCLの前身であるGHLの開発をスタートした。しかし、日本市場だけをターゲットにしていては、ビジネスの成立が難しい。そこで、次第に世界市場に目を向けるようになっていった。

実際、SRAのFTPサイトを経由した『Jun for Smalltalk』のダウンロード実績を見ると、現在まで約1万のダウンロードがあった。そのうちわけは、日本からのダウンロードが42%、米国が37%、欧州やアジア諸地域が18%になるという。

海外の地域からのダウンロードが6割近くを占める現状から、同社は「海外でのマーケットに十分な可能性がある」と判断した。したがって、海外市場開拓を見据えた今後の課題として、英語版ドキュメントのサポートや海外サポートサイトの拡充。開発者の養成などにも、積極的に取り組んでいく。

同社では、基本的に『Jun for Smalltalk』の開発を通して、新技術の実験・開拓を進めていく。しかし、Smalltalkプラットフォームだけではビジネスが難しいため、開発した技術は順次、安価な言語処理系であるJavaに移植。まずは製品の認知と普及促進を第一の目的として、オープンソースで無償提供していく(一方、JGCLは高品質の有償パッケージとして提供している)。

将来的に、『じゅん』をオープンソースソフトウェアとして十分に普及させた上で、それ基盤としてSIビジネスを展開するのが、SRAの最終的な目標である。アプリケーション開発から運用保守までをカバーする広範なSI事業の礎として、同社は今後もJavaプラットフォームでオープンソース事業を展開していく方針だ。

発表会では、SRAオープンソースビジネス部の林香氏が、同社のビジネス戦略について説明
発表会では、SRAオープンソースビジネス部の林香氏が、同社のビジネス戦略について説明

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