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【Windows 2000 Expo Vol.7】「ビジネスの未来が、いま始まった!」--ビル・ゲイツ マイクロソフト会長による“Windows 2000 Launch”(後編)

2000年02月18日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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2000はECをリードするプラットフォーム

サーバーOSをもっとも必要とする分野のひとつがEC(電子商取引)だ。このECについてゲイツ氏は、Windows 2000を「トータルなプラットフォーム」と表現。トランザクション管理に優れており、仮に1つのサーバーがダウンした場合でも、ウェブサイトの接続しているユーザーはそのことに気がつかないほどだ、と説明した。

また、これからのECで求められる要素として、パフォーマンス、管理の容易さ、動的なストレージ、ウェブアプリケーション用のサーバー、XMLのサポートなどを列挙した。特にXMLのサポートについてはその重要性を強調し、次世代のECでは多くのデータがXMLで記述されるようになるだろうと語った。

次世代(ネクストジェネレーション)という言葉に反応して飛び出してきた、スタートレックのピカード船長(パトリック・スチュワート)。観客の注意をひきつけ、イベントを引き締める役目を果たしていた
次世代(ネクストジェネレーション)という言葉に反応して飛び出してきた、スタートレックのピカード船長(パトリック・スチュワート)。観客の注意をひきつけ、イベントを引き締める役目を果たしていた



ECにおけるWindows 2000の実用例として、米ジェネラルモータース(GM)における事例を紹介した。GMにてCIOを務めるラルフ・ジゲンダ(Ralph Szygenda)氏によると、同社の自動車部品発注システムでは、XMLで記述された発注内容がインターネット経由で部品メーカーに送られ、リアルタイムで受注を確認できるという。同社では'99年7月からWindows 2000の導入検討チームが活動しており、今後12万5000人の従業員がWindows 2000環境に移行していく予定とのことだ。

GMのCIOであるラルフ・ジゲンダ氏(右)、「GMのような巨大企業もインターネットスピードに移行している」と、ITマネージメントの現状を報告
GMのCIOであるラルフ・ジゲンダ氏(右)、「GMのような巨大企業もインターネットスピードに移行している」と、ITマネージメントの現状を報告



GMでは、8000社の部品メーカーを結ぶネットワークの“GM TradeXchange”を構築しており、インターネット経由で部品の受発注や入札を行なっている。このネットワークも順次Windows 2000ベースに移行するとのことで、「Windows 2000はGMのITインフラとして非常に重要」と、ジゲンダ氏は語った。

15日に行なわれたマイケル・デル氏の講演では、フォードのCIOが登場し、やはりフォードがWindows 2000環境に移行することを表明した。米自動車ビッグ3のうち2社が社内システムをWindows 2000に移行すると表明したことは、両社と取引を行なう部品メーカーなどの関連企業数から考えても、今後ドラスティックに米国企業のWindows 2000化が進むことを示唆していると言えるだろう。

また、デル氏がインターネットを“ITインフラ”と表現した一方、GMのジゲンダ氏はWindows 2000がITインフラだと説明した。どちらの発言においても、“インフラ”という言葉が道路や送電線といった物理的なアイテムから、ネットやOSというソフトウェア的な意味合いで使われるようになってきたことが印象的だ。

アクティブディレクトリーによる世界的なユーザー管理

Windows 2000のフィーチャーとして知られるのが“アクティブディレクトリー”だ。Windows NTではユーザー管理の点で柔軟性に欠ける点が指摘されていたが、Windows 2000ではこの面でも大きく改善されているという。

アクティブディレクトリーの紹介では、多国籍企業をモデルに、特定の社員がアクセスできるデータの制限を、動的に変更するデモを実演。アジア地区担当の社員をグループ化し、そのグループごとにアクセスできる権限を設定できることを説明した。

アクティブディレクトリーの設定画面。
アクティブディレクトリーの設定画面。



最初の段階では、アジア地区の従業員がアクセスできるセールス用データは、読み出し専用に設定されている。DHTMLで記述されたデータはウェブブラウザー(IE5.0)上でグラフ表示されるが、あくまで参照できるだけに過ぎない。それが、フルアクセスが許可されると、同じデータを開いた際にエクセルが自動的に立ち上がり、編集可能な状態になった。

35台のサーバーと100台のクライアントマシンで、16億ヒットのウェブ配信をデモ

Windows 2000 Serverでは、多数のPCサーバーを並列利用し、大規模なウェブサーバーシステムを構築する“拡張性”をウリにしている。その拡張性をアピールするためのデモとして、ステージ上には35台のPCサーバー(デルコンピュータのPowerEdge)が用意された。


100台のクライアントが一斉に、同じウェブサイトにアクセスしている様は圧巻。内容こそまったく異なるが、'99年2月18日のMacworld Expoで行なわれた、PowerMac G3による動画配信のデモに似ていると感じられた


会場の左側には100台のクライアントが用意され、1日あたり16億ヒットに相当するウェブアクセスをシミュレート。最初は8台のPCサーバーによるクラスター構成で稼動させ、約90パーセントのCPU稼動率という高い負荷が掛かっている状態をデモした上で、新たに8台のサーバーをホットプラグで追加。16台によるクラスター構成に“拡張”されたことで、CPU稼動率が60パーセントに低下することを実演してみせた。

次には、動作中のPCサーバー8台をネットワークから外すという荒っぽいデモを実演。こちらでは、クライアント側がウェブページをリフレッシュすると、別のPCサーバーが肩代わりしてデータの配信を行なうという様子が紹介された。

Macに対抗?、Adobe Premierのデモも実演

イベントの最後では、Windows 2000の革新性(Innovation)として、様々な周辺機器への対応状況が紹介された。

ここまでは大規模なサーバーによるデモが続いていたが、このデモでは、コンパックの“インターネットデバイス”である『iPAQ』にもWindows 2000がプリインストールされていることを紹介。また、USB接続のZIPドライブやネットワークPCカードを紹介し、これらのデバイスがプラグ・アンド・プレイで自動認識される様子を実演した。

ここで意外だったのが、デジタルビデオを利用したデモ。Windows 2000搭載機にIEEE1394経由でデジタルビデオを接続し、リアルタイムで映像を記録。撮影した画像を『Adobe Premier』で編集し、Windows Media Formatにコンバートするというものだ。


デジタルビデオにIEEE1394ケーブルを挿し込まんとするマイクロソフトのスタッフ。このほか、コンパクトフラッシュにインポートしたデータを携帯型プレーヤーで再生するデモも実演してみせた


これは明らかに、DV対応Macintoshのデモを踏襲したもの。アップルのスティーブ・ジョブズCEOが、幕張メッセで15日に実演してみせたデモとそっくりだった。コンシューマー向けとは言えないWindows 2000がMacに対抗する必要があるかどうかは疑問だが、“その気になれば同じことはできる”ということを、あえてアピールしたかったのかもしれない。


デジタルビデオからインポートした画像を『Adobe Premier』で編集しているところ。ちなみに編集されているのは、ミュージシャンのカルロス・サンタナとゲイツ氏のツーショットという、ある意味とても貴重な映像だ
デジタルビデオからインポートした画像を『Adobe Premier』で編集しているところ。ちなみに編集されているのは、ミュージシャンのカルロス・サンタナとゲイツ氏のツーショットという、ある意味とても貴重な映像だ



講演の最後には、ミュージシャンのカルロス・サンタナが登場し、会場もヒートアップ。お祭り騒ぎだったWindows 2000 Launchは、最後には本当にお祭り騒ぎのにぎわいをみせ、その幕を閉じた。

[顧客はLinuxではなく、Windowsを選んだ]--Q & Aセッションから

Windows 2000 Launchの終了後には、報道関係者を対象としたQ & Aセッションが行なわれ、マイクロソフト上級副社長のジム・オルチン(Jim Allchin)氏などWindows 2000に関わる関係者が出席した。以下、質疑応答の要旨を紹介する。

--インテルのItaniumにおけるWindows 2000のパフォーマンスは?

「まだデバッグの段階であり、ベンチマークを取る段階までには至っていない」

--Linuxについてはどう思うか?

「重要なのは、顧客の選択。確かにLinuxはいいOSだが、顧客はWindowsを選んでいる。WindowsならばデスクトップPC用の環境も提供できる」

マイクロソフトのジム・オルチン上級副社長、ビジネス・エンタープライズ部門、およびコンシューマー向けWindows部門を統括している
マイクロソフトのジム・オルチン上級副社長、ビジネス・エンタープライズ部門、およびコンシューマー向けWindows部門を統括している


--MS-DOSに対する今後の対応についてはどうか?

「Windows Millenniumならば、MS-DOSコンパチブルなため、MS-DOSを使いつづけることが可能だ」

--Windows 2000がマイクロソフトの収益に与える影響は?

「Windows部門が占める収益は、マイクロソフト全体の約40パーセント。Windows 2000はまだ発売されたばかりで、今後さらにラインナップが増えることから、収益に大きく寄与することが期待できる」

--ロシア語版など、Windows 98のSecond Editionが出ていないバージョンについての対応は?

「今夏に発売を予定しているWindows Millenniumで対応する」

--ゲイツ氏はWindows 2000 Professionalをデスクトップ用と紹介していたが、それはWindows Millenniumではないのか?

「Windows 2000 Professionalは、あくまでビジネスPCにおけるデスクトップ/ノート用OS。Windows Millenniumは個人ユーザー向けとなる」

--Windows 2000のコンパチビリティー対応状況は?

「マイクロソフトのウェブサイトに掲載しているので参照して欲しい。Windows 98が動作するマシンでは、ほとんどの機種で確認が取れている」

--オープンソースについてどう考えるか?

「Good Thing! だが、オープンソースからは、真のイノベーション(改革)は生まれないと思う」

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