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【サンフランシスコNPO訪問記 Vol.4】NPOへの寄付と連動させた電話サービス――ワーキングアセッツ

2000年02月02日 00時00分更新

文● 秋吉一郎

誰でも簡単に寄付できるシステムを考える

電話を使うたびに、掛かった料金の1パーセントを非営利団体に寄付する長距離電話会社があると聞いて訪問した。

サンフランシスコに本社のある“ワーキング・アセッツ社”がそれだ。クレジット会社のアメリカン・エキスプレスが使用額の1パーセントを自由の女神修理費用に使ったのにヒントを得て、'85年、寄付と連動させたクレジットカードサービスや旅行代理店、長距離電話サービスを始めた。電話による寄付は'98年に300万ドル、'99年には400万ドルに上っている。
 
広報担当のエリザベス・ポーク氏は、入社して数ヵ月だが、顧客としては'86年から利用しているという。「NPO団体に寄付したいと思っていたけれど、どうすればいいのか分からなかった。電話料金からの寄付だったら簡単にできます」と笑う。

電話料金による寄付の仕組みについて説明するワーキング・アセッツ社の広報担当、エリザベス・ポーク氏電話料金による寄付の仕組みについて説明するワーキング・アセッツ社の広報担当、エリザベス・ポーク氏



  寄付先は市民の権利、平和・国際、環境など5分野のNPO、50団体。2000年には60団体に増やす。顧客からアンケートを取ってノミネートした500団体を10分の1に絞り、投票により寄付団体と金額配分を決めるというユニークなやり方を取っている。

結果は毎年、ニューズレターにして送付する。寄付先は環境保護団体のグリーンピースや人権団体のアムネスティなど有名なものから地域の団体までさまざま。数多くのNPOを対象にし、内容を紹介することで、それぞれの顧客が知らなかった団体の存在や活動も知ることができるという仕組みだ。
 
その時々で焦点となる政治課題は何かもニューズレターにして配布。社会変革のため、政府への無料電話、手紙送付サービスも行なっており、'98年には115万6437通の利用があった。

寄付先を選ぶ投票用紙と、寄付結果を知らせるニューズレター
寄付先を選ぶ投票用紙と、寄付結果を知らせるニューズレター



300団体のNPOがインターネットを活用して寄付運動

昨年からは、インターネットを活用した寄付も始めている。ネットでの買い物額の5パーセントを寄付するほか、300団体のNPOを登録し、寄付先と金額を選べるページを作った。ボランティアのマッチングをするページもある。試しに、私たち研修団が最初の日に食事配膳ボランティアをしたグライド教会を検索してみるとちゃんと載っていた。
 
最高財政責任者のローレンス・リトバック氏は「ネット寄付のできるサイトはいくつかあるが、うまくいっている方だと思う。環境や人権、平和などへの関心を持つ人と、価値観を共有することができる」と満足げだ。
 
寄付に対する税の優遇が論議されている日本。しかし優遇制度ができてもNPOへの寄付は簡単には増えないとの見方もある。寄付をしたい人とNPOの仲立ちを、企業が行なっているのが新鮮だった。

300台のインターネット端末を揃える電子図書館もNPOで

蔵書100万冊を誇るサンフランシスコ中央図書館。インターネット端末も300台ある電子図書館だ。“図書館は情報へのアクセス拠点”という考え方から、多数の端末を備える。新聞記事の検索など、各種の商業的データベースへのアクセスも無料だ。  

インターネット端末が並ぶサンフランシスコ中央図書館
インターネット端末が並ぶサンフランシスコ中央図書館



図書館の説明をする職員ら
図書館の説明をする職員ら



同館は'96年4月に新館が完成した。図書館の建て直しに際して、大きな役割を果たしたのがNPOだ。

新館建設は'88年、“図書館友の会”が住民投票を組織したのが始まり。財源の一部を担うため、財団を設立。大企業や篤志家から寄付を集めた。市内に26館ある分館の改修費用も集めた。
 
友の会は現在、出版社などから寄付された古書10万冊を販売し、年間25万ドルを集めている。元米軍施設で、現在は文化関係のNPOが入る市北部のフォートメイソンセンターにある書店で販売するほか、年5日のブックセールを開く。また、館内のインフォメーションや病院での読み聞かせなどのボランティア活動などもする。友の会の会員は4000人、ボランティアは約200人いる。友の会と財団は'98年に合併し、このNPOを15人の有給スタッフが支えている。
 
多様な人々が住むサンフランシスコらしく、図書館には中国系やフィリピン系など、民族別の図書室をはじめ、ゲイとレスビアンのための図書室もあった。目の不自由な人には館内位置を教える機械“トーキング・サイン”の貸し出しもある。識字教育や文化講座もNPOが行なうと聞いて、少数者のためのサービスを官民で担う様子をうかがい知ることができた。

目の不自由な人のための読み取り機を説明する職員
目の不自由な人のための読み取り機を説明する職員



1週間の研修旅行で、ボランティア精神が根付き、ドロップアウトした人を助ける文化が育っているアメリカの様子を感じ取れた。NPOが既に地域で一定の役割を担っていることも分かった。日本でも阪神大震災を機に多くの人がボランティア活動に携わっており、NPOが今後果たすべき役割は大きいと実感した。

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