このページの本文へ

高齢者のインターネット普及へ実地検証開始――日本電算機ら6社、東京都文京区で

2000年02月01日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本電算機(株)ら6社で構成する“スーパーソサエティコンソーシアム(SSC)”は2月1日、一般家庭でインターネットを日常的に活用する環境の開発を目指し、セットトップボックス型端末とCATV網を利用した実地検証を東京都文京区内で開始した。比較的操作が簡単な端末を使い、テレビ会議を利用した地域活動や地元の商店街と連動したコンテンツなど、生活に密着したサービスを提供することで、特に高齢者へのインターネット普及に弾みをつけるのが狙いだ。

実地実験で使用されるセットトップボックス『iBOX』。PowerPC G3-400MHzを搭載し、ウェブブラウザーやCD-ROMドライブ、テレビ会議用カメラ、音声認識入力機能などを備える
実地実験で使用されるセットトップボックス『iBOX』。PowerPC G3-400MHzを搭載し、ウェブブラウザーやCD-ROMドライブ、テレビ会議用カメラ、音声認識入力機能などを備える



実地検証は、SSCが進める“だれでも簡単に利用できる次世代家庭用端末機とその利用支援システム”事業の一環。同事業は、パソコンに比べ操作が簡単なインターネット端末と、ユーザーが端末を利用する際に、よりスムーズに操作ができるように支援するシステムの開発を目的としている。具体的には、動画による双方向コミュニケーションを実現するテレビ電話機能、音声認識による入力などを開発目標としている。総事業費約4億円のうち、2億円を通産省が補助している。

検証では、同区内の100世帯をモニターとして選び、配布したセットトップボックスとCATV網を介してインターネットへの接続サービスを提供する。期間は6月15日までの約5ヵ月間。期間中、モニター世帯の費用負担はない。モニターとなる100世帯は高齢者が中心で、福祉やスポーツなど地域グループのメンバーが主に選ばれた。実験地域として同区を選んだのは、区民の3分の1が60歳以上と高齢化が進んでいるためとしている。

提供されるサービスは、セットトップボックスに付属するカメラを使用したテレビ電話や、地域グループによるコミュニティー作りなど、一般の生活に密着したものがメイン。高齢者向けに、資産運用コンサルティングや、給食サービスのあっせんなども行なう。ユーザー向けポータルサイト“スーパーソサエティ倶楽部”を開設し、掲示板や友達募集といったコミュニティー機能のほか、行政の告知や地元商店街のお買い得情報などを掲載するなど、住民に有益な情報を提供することで、地域の活性化を図っていく。

ユーザー向けポータルサイト“スーパーソサエティ倶楽部”のトップページ
ユーザー向けポータルサイト“スーパーソサエティ倶楽部”のトップページ



さらに電子商取引(EC)も提供する。個人認証機能などを埋め込んだICチップ内蔵型のクレジットカードを国内では初めて使用する。同サイトで各地の特産品などを用意し、カードを使って購入できるようになる。ネットで商品を予約し、地元の商店で購入するといった連携も計画されている。ECサービスの提供は4月1日以降の予定だが、クレジットカードはすでに30人ほどが申し込む意志を示しているという。

SSC参加企業の役割分担は、全体の構想とセットトップボックスの開発を日本電算機、CATVインフラを東京ケーブルネットワーク(株)と古川電気工業(株)、コンテンツとICカード開発を共同印刷(株)、ICカードとICカードを利用した決済システムを(株)エヌ・ティ・ティ・データと日本信販(株)となっている。

検証期間中、SSCでは、ユーザーがひんぱんに操作をミスした箇所や、インターネットの利用状況といったデータを収集。終了後には検証で得たデータを反映させた製品とシステムを各地の地域CATV業者に売り込んでいく。検証モニター用のポータルサイトはその後も継続する方針だ。

文京区役所で行なわれたテープカット 文京区役所で行なわれたテープカット



この日は、関係者やモニターら約100人が文京区役所に集まり、実地検証開始のセレモニーを行なった。日本電算機社長の石井孝利氏は、「実地検証終了後、どれだけの人が継続して利用したいと思うかが成功、不成功の分かれ目。ぜひ成功させたい」とあいさつ。石井氏らSSC参加企業の代表らでテープカットが行なわれた。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン