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「ユーザーが自らグループ化するメールサービスは広告効果が高い」――米eグループ社CEOのクライン氏が来日

2000年01月20日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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米国のメールグループサービス最大手である米eグループ社の創業者でCEO、マイケル・クライン(Michael Klein)氏が20日、都内のホテルで記者会見を行ない、同社の事業について説明した。初めて来日したクライン氏は、「サービス開始から1年半で1400万人の会員を集めた。会員は口コミでどんどん増えている」と自信を見せた。その上で「会員は趣味や好みに分かれてグループ化しており、広告効果が高い。今は経営資源を広告モデルに集中したい」とし、電子商取引(EC)などには手を広げず、効果的な広告媒体としてのメールグループサービスに専念するとの考えを示した。

都内で会見するクライン氏(右)と、日本法人のイーグループ(株)社長の大山彰久氏
都内で会見するクライン氏(右)と、日本法人のイーグループ(株)社長の大山彰久氏



eグループ社が運営するメールグループサービス“eGroupe.com”では、会員登録をしたユーザーグループに対し、無料メールサービスやメーリングリスト、ウェブによるグループのスケジュール管理、ボイスチャットなどを組み合わせたサービスを提供している。趣味ごとに分かれて公開されているグループもあり、電子会議室としても機能している。

クライン氏によると、1年半前のサービス開始以来、およそ20日間に100万人の割合で会員が増え続け、今週には1400万人を突破したという。昨年11月には、同様のサービスを手掛けていた米ONElist社と合併した。日本では、日本法人のイーグループ(株)が昨年8月にサービスを開始。12月初旬に会員は10万を突破し、現在は約18万人が利用している。

クライン氏の来日目的は、「日本のインターネット業界のリーダーと会い、さまざまな提携を行なって日本での事業を確実にするため」(クライン氏)という。

クライン氏は29歳。幼いころから経営について祖父から学び、7歳の時にはヤギを飼ってチーズを作り、販売して最初の売上を得た。14歳でカリフォルニア州立大学に入学し、17歳で卒業。18歳で会社を2つ設立し、米ヒューレット・パッカード社に売却した。その間、MBAと法学博士号を取得している。eグループは3つ目に設立した会社で、昨年10月にCEOに就任した
クライン氏は29歳。幼いころから経営について祖父から学び、7歳の時にはヤギを飼ってチーズを作り、販売して最初の売上を得た。14歳でカリフォルニア州立大学に入学し、17歳で卒業。18歳で会社を2つ設立し、米ヒューレット・パッカード社に売却した。その間、MBAと法学博士号を取得している。eグループは3つ目に設立した会社で、昨年10月にCEOに就任した



クライン氏は、eグループの現状について、「今週、会員が1400万人を超え、ヤフーなど同様のサービスの会員を足した数よりも多い。1日に5400万通のメールを配信しており、これはAOLに次いで第2位の数字となっている」と説明した。

成長の理由として新規事業者の参入が難しい点を挙げている。「より会員が多いところに人は集まる。例えばeBayを見れば分かるように、商品が多ければ多いほど参加者も増える。5人のグループよりは500人のグループのほうがいい。会員がある一定の数を超えたところで自然に独占状態になった」と説明する。またユーザーが書き込み続け、すでに1TB(テラバイト)まで蓄積された情報量の多さも魅力となっているという。

また「会員は口コミで集まるため、メンバーの獲得コストはゼロに近い。またユーザーが書き込んだ情報がコンテンツとなるため、コンテンツ制作にかかるコストも少ない」ため、利益率の高いビジネスが展開できると述べた。

会員増の結果、広告媒体としての魅力も上がった。「メールは毎月15億通で業界1位、ウェブは毎月1億5000万ページビューで、ウェブサービス全体で14位。つまりeグループ全体では、1四半期(3ヵ月)で約50億インプレッションに上る広告メディア」だという。

会員はそれぞれ趣味に合ったグループに参加するため、正確なカテゴライズが可能だ。このため、ターゲットを絞った効果的な広告が打てる。「ゴルフクラブの宣伝をする時、ゴルフを趣味としたグループのメールやウェブに広告を出せば、広告自体がコンテンツに近いものになる。ユーザーにとっては、関心が高い分野についての広告であれば関心を持ちやすい」。クライン氏は、ターゲットがあらかじめ絞り込まれた、効果の高い広告媒体としての魅力を強調した。

eグループ社の現在の売上については、「未公開企業なので言えない」としながらも、今年上半期には株式公開を予定しており、その時に明らかにできる」とした。また今後の事業展開については、「今は広告媒体としてのビジネスに経営資源を集中して利益を上げていきたい。しばらくはECにはフォーカスしない」と述べた。

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