【INTERVIEW】アドビシステムズ、“Adobe PhotoDeluxe for ファミリー 4.0日本語版”を発表――シニアプロダクトマネージャー、Aline Yu氏に訊く
2000年01月13日 00時00分更新
アドビシステムズ(株)は、13日、写真画像のウェブ共有を目玉としたコンシューマー向けのフォトレタッチソフト『Adobe
PhotoDeluxe for ファミリー 4.0日本語版』(以下、PhotoDeluxe 4.0)を発表した。発売開始は2月中旬を予定しており、価格はオープンプライス(店頭予想価格は7000円前後)。このPhotoDeluxe
4.0をはじめとするアドビシステムズのコンシューマー向け製品戦略について、同社のシニアプロダクトマネージャー、Aline
Yu氏に話を訊いた。
画像のウェブ共有を最大のポイントとしたPhotoDeluxe 4.0
PhotoDeluxe 4.0は、世界で2000万本以上の出荷実績を持つフォトレタッチソフト。これまでのバージョンである3.0からは、forファミリー、forビジネスと分けてリリースしており、今回は、forファミリーのWindows版を提供する。『Adobe PhotoDeluxe for ファミリー 4.0日本語版』のパッケージ |
15ヵ月ぶりのバージョンアップとなるPhotoDeluxe 4.0には、従来からのフォトレタッチ機能に加え、画像をウェブで共有できる新機能が加わった。
従来のインターフェースを一新し、すでに無料配布しているデジタルフォトアルバムソフト『Adobe
ActiveShare』と同等のインターフェースを備えた。
電子アルバムやメールへの添付機能も
フォトレタッチの面では、デジタルカメラやスキャナーを利用したデジタル写真の取り込み、レッドアイ(赤目現象)、傷やシワの修正、イメージの置き換え、消去といった写真の補正もできる。この他に、画質の調整、画像の回転とサイズ変更、特殊効果などがある。新機能の電子アルバム機能では、取り込んだ写真をアルバムに整理して効率よく管理できる。また、写真を添付した電子メールを簡単に送れる。また、電子メール用アプリケーションを別途起動する必要がなく、適切な圧縮方法や解像度を自動的に選択、添付して送信する。
PhotoDeluxeフォトオーガナイザーで、複数の写真をプレビューできる |
3Dクリップアートも手軽に作成できる |
350種類以上のテンプレート、1000個のクリップアート、100種類のサンプル写真に加え、新たに3Dのクリップアートも加わった。これらのクリップアートやテンプレート集を使って、ポストカードをはじめ、Tシャツ、ラベルなどの作品を作成できる。
日本市場も画像のウェブ共有を求めるはず
PhotoDeluxe 4.0をはじめとするコンシューマー向けの製品戦略について、同社のシニアプロダクトマネージャー、Aline Yu氏にお話を訊いた。シニアプロダクトマネージャー、Aline Yu氏 |
──PhotoDeluxe 4.0は、画像をウェブで共有するのがポイントということですが、具体的にはどのようなことなのですか?
「PhotoDeluxe 4.0があれば、アドビが提供するウェブサイト、ActiveShare.comのサイトで写真を公開して、離れて住んでいる家族や友人と写真を共有できます。さらに同サイト内のAdobe
eCirclesでは、国内外を問わず、家族や友人に対してプライベートな形で画像が共有できます」
──Adobe eCirclesとはどのようなものですか?
「Adobe eCircles*は、写真を共有する際に、非公開のプライベートなコミュニティーとして自分でつくったサークルに知人を招き入れたり、他のサークルに招待されて、デジタル画像やチャット形式のメッセージ、スケジュール、音楽などをウェブ上で共有できるサービスです」
*記者(千葉)注:eCirclesは、'98年に設立し、'99年になってサービスを開始。No.1オンラインコミュニティーサイトに選ばれている
──日本の現状では通信インフラに課題があります。ウェブ共有は日本でも受け入れられるとお考えですか?
「今後、日本市場でもウェブを共有する環境になっていく、というのが私たちの見解です。日本においてはまさにインターネットシェアの拡大が進んでおり変換点であると言えます。そうした中でウェブ共有は市場に存在する必要があると考えます。Adobe
eCircleは、'99年10月の開設以来、12月現在の新規会員数が5000件を超えています。Adobe
eCirclesの日本語サイトでは、3月下旬から日本語をサポートする予定です」
「さらにPhotoDeluxe 4.0では、データを共有するためにモデムの速度を考慮しています。例えば、画像サイズはメガピクセルのデジタルカメラで撮影した400KBの画像を40KBに圧縮する、というようにウェブでの共有に耐えられます。また、ActiveShareは写真をオンラインするための時間を表示できます」
出力形態によって画質を調整できる
──ウェブで共有するためにデータを圧縮すると、ファイルサイズが小さく、プリントアウトには向かないですよね「PhotoDeluxe 4.0とシームレスに画像を共有できるデジタルアルバムソフトのActiveShare 1.3では、アップロード時にウェブクオリティーかプリントクオリティーかを選択できます。また、ActiveShare 1.3は、他にAmaging Mailへの対応やiomega社のZIPディスクのサポートなども実現します。これらはIntel社のWebOutfitterサービスでも同様です」
──Intel社のWebOutfitterサービスにAdobe ActiveShareを提供していますが、この他に提供しているケースはありますか?
「iomega社などの周辺機器メーカーへ提供しています。現在、日本では数社と交渉中で、各社の次の新製品に提供する可能性が高くなっています。また、オンラインではC|NETやZD netなどで提供しています」
──Adobe ActiveShareの無償ダウンロードサービスは1月末までとのことでしたが。
「これについては、今後も無償ダウンロードサービスを継続することになっております」
はきはきとインタビューに答えてくれたAline Yu氏 |
すでに追加する画像処理機能はない?
──今回のバージョンアップではフォトレタッチ機能では特別な変更はないように思いますが、特にそうした必要はなかったのでしょうか?「すでにさまざまなフィーチャーが入っておりますし、私どもが米国で行なった調査によれば、およそ6割のユーザーが15パーセント未満の機能しか使っておりません。今後、必要と思う部分が出てくれば盛り込んでいくことになるとは思います」
──複数の画像を扱う際に、画像処理を一括して行なうバッチのような機能はありますか?
「はい。複数のピクチャーを選んで、同時に処理することができます」
──PhotoDeluxe 4.0をウェブ用グラフィックスを作成するツールとして使うことはできますか?
「PhotoshopのようにImageReadyが添付されていたり、画像を最適化する機能はありませんが、Photoshop形式やAdobe PageMillの形式などで書き出せます。もちろん、Acrobat PDFをはじめGIF、JPEG、BMPといった業界標準の形式に書き出すこともできます」
──PhotoDeluxe Web Editionのような、コンシューマーが安価で使えるウェブレイアウトソフトへの進化について可能性はありますか?
「Web Editionについてまったく分かりません。米国では個人がホームページを作成して楽しむより、ウェブ共有するプライベートな楽しみ方の方が優先されています」
PlayStation 2対応を検討中。eCirclesはiモード対応も視野に
──forビジネスの予定はどのようになっていますか?「for ビジネスですが、現在も企業単位での導入いただいています。特に予定はなく、継続して3.0 forビジネスを販売します」
──Mac版の予定は?
「Mac版については、現時点では予定はありませんが、ニーズは充分認識しております。ActiveShareのMac版については春までに対応する予定です」
──ドリームキャストやPlayStation 2のようにネットワークに対応したゲーム機が、主流になりつつありますが、そうしたエンターテイメントマシンやパソコン以外の情報端末に対応する可能性はありますか?
「ゲーム機については強く認識しています。実際、PlayStation 2については、現在検討中です。また、eCirclesにおいても検討中で、特に日本でのサポートがまもなく開始されるeCirclesでは、iモードへの対応も検討しています」
なお、Adobe PhotoDeluxe for ファミリー 4.0日本語版は、2月中旬の店頭発売を予定しており、価格はオープンプライス(店頭予想価格は7000円前後)。アップグレードパッケージは、アドビ直販価格が5000円。対象となるユーザは、PhotoDeluxe1.0/2.0 Windows版(日本語版)およびPhotoDeluxe for ファミリー 3.0日本語版のユーザー。
- アドビシステムズ
- ActiveShare.comサイト アドビ カスタマーインフォメーションセンター TEL 03-5350-0407【関連情報】18日発売の月刊アスキーP115において、アドビシステムズのWeb戦略とコンシューマー戦略に関するインタビュー記事が掲載されています。