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【第1回デジタルフロンティア京都開催 Vol.4】“第1回デジタルアーカイブ・アウォード”発表セレモニー

1999年12月27日 00時00分更新

文● 野々下裕子

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京都市や京都商工会議所などが構成するデジタルフロンティア京都実行委員会は21、22日、“第1回デジタルフロンティア京都”を開催した。ここでは、22日に行われた“第1回デジタルアーカイブ・アウォード”発表セレモニーを紹介する。

デジタルアーカイブ・アウォードは、デジタルアーカイブの推進、発展に大きく貢献した企画、事業、技術、作品などに対して贈られる賞で、デジタルアーカイブ審査員特別賞、アーカイブ特別賞を含めて8作品が受賞した。選考委員は会長の東京大学大学院教授の月尾嘉男氏をはじめ、月刊ニューメディア編集長の天野昭氏、京都市長の桝本頼兼氏、京都国立博物館学芸課長の湯本賢一氏など8名で構成されている。なお、受賞作品の選考はTV会議を通じて行われた。

まず、授賞式に先立って、京都デジタルアーカイブ推進機構会長であり、選考委員の1人でもある京都商工会議所会頭、京セラ名誉会長の稲森和男氏があいさつをした。続いて、審査員を代表して、東京大学大学院助教授の武邑光裕氏が簡単な講評とともに受賞作品を紹介していった。

セレモニーのあいさつをする京都デジタルアーカイブ推進機構会長の稲森和男氏
セレモニーのあいさつをする京都デジタルアーカイブ推進機構会長の稲森和男氏



デジタルアーカイブ・アウォード

デジタルアーカイブ・アウォードを受賞したのは以下の5作品。

(財)NHKエンジニアリングサービスは、『東京国立博物館 法隆寺献納宝物ディジタルアーカイブ』を出展。今年の7月から開館した東京国立博物館の法隆寺宝物館に採用されているコンテンツで、4.7GBのDVDに収められている。高精細静止画像でアーカイブされており、ハイビジョン映像も収録されるなど、インタラクティブ性の高い作品となっている。また、5ヵ国語対応で、小中学生から専門家まで観る側のレベルに合わせた解説も選べるなど、ナビゲーション機能も合わせて評価された。受賞式には理事の松崎淳嗣氏が出席した。

凸版印刷の『唐招提寺-鑑真と東山魁夷芸術』
凸版印刷の『唐招提寺-鑑真と東山魁夷芸術』



凸版印刷(株)は、『唐招提寺-鑑真と東山魁夷芸術』を出展。大型の高精細VR技術を採用した作品で、唐招提寺の境内や建造物の中を自由自在に移動することができる。ゴーグルなどの特別な装置は不要で、コントローラーにはゲームパッドが使われている。唐招提寺金堂は'98年に世界文化遺産に指定されたため、2000年より10年間の修復期間に入る。受賞式には常務取締役TIC事業推進本部長の大庭幸雄氏が出席した。

(株)日立製作所は、『「国宝源氏物語絵巻」高精細ディジタルアーカイブの試作』 を出展。こちらは作品ではなく、デジタルイメージシステム(DIS)という技術が評価された。デジタル化や保存管理、検索、表示などが一括して行えるシステムで、作品の退色をデジタルで修正することもできる。受賞式には情報システム事業部試作開発センター長の神内俊郎氏が出席した。

石川県の『石川新情報書府』
石川県の『石川新情報書府』



石川県は、『石川新情報書府』を出展。石川県の伝統工業をアーカイブし、インターネットで公開した先導的事例として今回の受賞となった。産業構造を立体的に観ることができ、コンテンツも合わせて評価されている。受賞式には商工労働部長の山岸勇氏が出席した。

アメリカ合衆国議会図書館の『アメリカンメモリー』
アメリカ合衆国議会図書館の『アメリカンメモリー』



アメリカ合衆国議会図書館は『アメリカンメモリー』を出展。インターネットを使ったアメリカでも最大級のアーカイブ作品で、石川県と同様、こちらも立体的な文化の保存を行っている。受賞式は欠席だった。

デジタルアーカイブ審査員特別賞


NHKなど3社が手掛けた『よみがえる最後の晩餐』
NHKなど3社が手掛けた『よみがえる最後の晩餐』



NHK、(株)NHKエデュケーショナル、(株)ティー・ビー・エス・ビジョンの3社は、ハイビジョン放送番組『よみがえる最後の晩餐』を出展。レオナルド・ダ・ヴィンチの作品、『最後の晩餐』が修復されるまでの過程を番組にしたもので、その記録的な映像が評価された。受賞式にはNHKエデュケーショナル生活文化部長の瀧澤孝司氏が出席した。

(株)光映は、『衰退滅亡の危機にある日本古来の人形芸術の収録保存』
(株)光映は、『衰退滅亡の危機にある日本古来の人形芸術の収録保存』



(株)光映は、『衰退滅亡の危機にある日本古来の人形芸術の収録保存』は出展した。全国40ヵ所を回って人形芸術を保存しようというプロジェクトで、圧倒的な作業量とアーカイブ性の高さが評価された。人形芸術は、現在のアニメやマンガにも通じるものがあり、資料的な意味も高いといえる。受賞式には代表取締役の増田年節氏が出席した。

アーカイブ特別賞

(財)冷泉家時雨亭文庫は、『日本文化の実態保存』を出展。芸術史上でも貴重な歌をアーカイブした作品。さらに衣服や食器など、すべてを保存しており、今後のデジタルアーカイブにおいて、参考となる部分も評価された。受賞式には冷泉喜美子氏が出席した。

受賞者による記念撮影
受賞者による記念撮影

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