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CG-ARTS協会、アトムからAIBOまでを展示する文化庁メディア芸術祭企画展“Robot-ism 1950-2000”を開催、過去40年分のロボットアニメも紹介

1999年12月16日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(財)画像情報教育振興協会(以下:CG-ARTS協会)は、文化庁メディア芸術祭企画展(愛称:Jam3)“Robot-ism 1950-2000 ~鉄腕アトムからAIBOまで~”と“文化庁メディア芸術祭 授賞作品展”を、2000年2月25日~3月2日まで東京/赤坂の草月会館で同時開催すると発表した。

Robot-ism 1950-2000は、ロボットアニメやロボットに関するテクノロジー、ロボットを題材としたアートを展示/紹介する総合企画展。新旧のロボットアニメーションの映像や、日本の最先端のロボット、ロボットをモチーフにしたアートなどを紹介する。

展示会場は“Robot-ism Park”と“Robot-ism Museum”に分かれており、Parkではロボットを題材にしたアート作品と、ソニーの『AIBO』やTVCMでお馴染みのホンダの2足歩行ロボット『P3』など、国内の最新ロボットが展示される。

Museumでは、“ロボットアニメの系譜”と題し、'63年の『鉄腕アトム』(モノクロ)から、'99年の『ターンAガンダム』まで、年代別にロボットアニメーションの映像をDVDに収録し、約30台のモニターで紹介する。文化庁の企画展ということで、著作権所有者側も映像使用に協力、現在ではなかなか見られない映像も多く含まれるという。また、漫画家モンキー・パンチ氏や里中満智子氏のデザインした未来のロボットイメージや、“あなたにとっての鉄腕アトムとは?”をテーマにした、北野武氏や久多良木健氏など各界著名人へのインタビュー映像も合わせて紹介する。

オープニングの2月25日には、ケン・イシイ氏のDJプレイと原田大三郎氏のVJプレイをミックスしたデジタルライブ“Robo MIX”が、翌日の26日には明和電機のライブがそれぞれ会場内で行なわれる。

また、2月26日~3月1日まで、美術関係者や演出家、漫画家、メディアアーティストなどを招いた、ロボットをテーマにしたシンポジウムが開かれる。

同時併催の文化庁メディア芸術祭 授賞作品展は、15日に発表された“平成11年度(第3回) 文化庁メディア芸術祭”の入賞作品を展示するもの。今年度の応募作品総数は796点で、うち海外からの応募が70点。“デジタルアート[インタラクティブ]部門”、“デジタルアート[ノンインタラクティブ]部門”、“アニメーション部門”、“マンガ部門”があり、それぞれ5作品(大賞1、優秀賞4)が選ばれた(各授賞作品については下記参照のこと)。2月25日に授賞式が行なわれる。

都内で行なわれた発表会場の席で、CG-ARTS協会理事長の滝川精一氏は、「従来の文化庁メディア芸術祭では、入選作品の展示のみであったが、今回はもっと内容のある展示を行なおうと、初めて企画展を計画、企画展兼授賞作品展を開催することにした。今回のRobot-ism 1950-2000では、現在集められるだけのすべての最新ロボットを展示する。Robot-ism 1950-2000のようにロボットに関するすべての作品、情報を網羅した展示会はこれまでなかったのではないか」と語った。

また、Robot-ism 1950-2000のプロデュースを担当する美術評論家の伊東順二氏は「日本のオリジナルコンテンツである漫画やアニメーションを取り入れ、ロボットの技術の進化だけを見せるのではなく、その技術を使用する理由を考えさせるような展覧会にしたい。鉄腕アトムをイメージし、ロボットと共存するという社会の未来像をテーマにしている。手塚治虫氏が発信した“倫理と愛情の無いものはロボットを作ってはいけない”という、ロボット技術の背景にある思想を、みなさんと一緒に考えていきたい。日本が発信するコンテンツを日本でぜひ見てほしい。来場できない人のために、インターネットでの中継も考えている」としている。

滝川氏(左)と伊東氏(右)。中央のAIBOは、この記者発表用にプログラミングされたもので、歩き回らないかわりに声と手足を使ってパフォーマンス、会場を沸かせていた
滝川氏(左)と伊東氏(右)。中央のAIBOは、この記者発表用にプログラミングされたもので、歩き回らないかわりに声と手足を使ってパフォーマンス、会場を沸かせていた



東京大学教授の河口洋一郎氏(左)と、CG作家の原田大三郎氏。オープニングライブを行なう原田氏は、「僕もロボットアニメに影響を受けているので、それらをモチーフにライブができるのはうれしい。このライブでしか見られないアニメ映像もあるだろう」とコメント。河口氏は、「日本のメディアアートには、世界が真似できないような奥深さがある。海外からも見に来てもらいたい」と語った
東京大学教授の河口洋一郎氏(左)と、CG作家の原田大三郎氏。オープニングライブを行なう原田氏は、「僕もロボットアニメに影響を受けているので、それらをモチーフにライブができるのはうれしい。このライブでしか見られないアニメ映像もあるだろう」とコメント。河口氏は、「日本のメディアアートには、世界が真似できないような奥深さがある。海外からも見に来てもらいたい」と語った



左から、文化庁文化部芸術文化課支援推進室長の野田敏明氏、モンキー・パンチ氏、里中満智子氏。モンキー・パンチ氏は「僕のデザインしたロボットは色っぽいんですが、これがAIBOみたいに動いたらすごいだろう」、里中氏は「アトムのイメージは癒し。ロボットの存在そのものが愛であるという価値観の代表がアトムであり、心を大事にする日本人の美意識による、西洋にはないロボットのコンセプトだと思う」とそれぞれコメントした
左から、文化庁文化部芸術文化課支援推進室長の野田敏明氏、モンキー・パンチ氏、里中満智子氏。モンキー・パンチ氏は「僕のデザインしたロボットは色っぽいんですが、これがAIBOみたいに動いたらすごいだろう」、里中氏は「アトムのイメージは癒し。ロボットの存在そのものが愛であるという価値観の代表がアトムであり、心を大事にする日本人の美意識による、西洋にはないロボットのコンセプトだと思う」とそれぞれコメントした



平成11年度(第3回) 文化庁メディア芸術祭入賞作品

●デジタルアート[インタラクティブ]部門
・大賞:エンターテインメントロボット『AIBO』(ERS-110)
・優秀賞:明和電機ライブパフォーマンス
・優秀賞:ドリームキャスト用ソフト『シーマン~禁断のペット~』
・優秀賞:VJソフト『motion dive 2 日本語版』
・優秀賞:ウェブサイト『EARTH FROM ABOVE on the web』

●デジタルアート[ノンインタラクティブ]部門
・大賞:CG静止画『愉快な機械』
・優秀賞:劇場公開映画『劇場版ポケットモンスター/ルギア爆誕』
・優秀賞:CG動画『鉄コン筋クリート』
・優秀賞:CG動画『Tall Small Stories』
・優秀賞:CG静止画『檜山巽 3EXHIBITION TOKYO:1999』

●アニメーション部門
・大賞:大型映像設備向けアニメーション『老人と海』
・優秀賞:劇場公開映画『ホーホケキョ となりの山田くん』
・優秀賞:TVアニメーション『おじゃる丸2』
・優秀賞:個人制作アニメーション『上京物語』
・優秀賞:個人制作アニメーション『月の夜の話』

●マンガ部門
・大賞:『I'm home』
・優秀賞:『ALL NUDE』
・優秀賞:『同じ月を見ている』
・優秀賞:『国立博物館物語』
・優秀賞:『遥かな町へ』

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