このページの本文へ

Internet Week99が開幕、関連技術や運用管理など各種セミナーが連日開催

1999年12月14日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

“Internet Week99”が14日、横浜市のパシフィコ横浜で開幕した。主催は(社)日本ネットワークインフォメーションセンターで、18日まで5日間の日程。ネットワーク管理者やインターネットサービスプロバイダーの関係者など、日ごろインターネットに関わる人々が対象で、ネットワーク設計や各種プロトコルについての講演など、実務的な側面が重視されたプログラムとなっている。参加は原則として事前登録者のみで、空席がある限り、当日券が発売される。

会場内の撮影は許可されなかったため、セミナーの様子はテキストのみで紹介する
会場内の撮影は許可されなかったため、セミナーの様子はテキストのみで紹介する



稲村氏はまず、暗号技術の歴史について振り返り、古代ローマのカエサルが使用したものが最初、との説を紹介する。これは換字式と呼ばれ、アルファベット1文字1文字を別の文字に規則的に対応させていくという原始的なものだったが、「信頼のおけない通信路を介して、いかに安全にメッセージを送るか。これは2000年間にわたる難題だった」として、暗号技術が必要とされる理由に本質的な違いはないと指摘。「インターネットは、信頼できない通信路の代表例」と、現代で暗号技術が要請される背景について語った。

稲村氏によれば、暗号技術は5つの段階を経て発展したという。まず(1)通信の存在自体を秘密にすることから始まり、(2)暗号アルゴリズムを秘密に、(3)鍵を秘密に、(4)復号鍵のみを秘密に、(5)鍵情報を中立の機関へ供託――へと発展してきた。

暗号技術において、伝統的だったのは対称アルゴリズム、つまり秘密鍵を使用するものだ。これは暗号化と復号化に同じ鍵を使用するものだが、この方法では、鍵を安全な経路で相手に運んだ上で、その鍵を安全に共有しなければならない、という問題点がある。また通信するペアごとに異なる鍵が持つため、N人のグループであれば、N(N-1)/2個の鍵を必要とすることになる。これはグループが大きくなればなるほど膨大な数になり、特にインターネットのような広大なスペースでは実用的ではなくなる。

そこで登場したのが非対称アルゴリズム、つまり公開鍵を利用した暗号化技術だ。'76年に初めて考案されたこの技術は、片方向への計算は誰にでも可能だが、逆方向へは困難であり、特別な知識を持つ者には逆方向の計算も可能となる、“落とし戸付き一方向関数”が考え方の基礎となっている。

いま主流のRSA方式や、最近注目を浴びている楕円曲線方式はこの公開鍵暗号方式だ。暗号化と復号化で別々の鍵を使用するが、暗号化の鍵は公開されており、復号用の鍵は秘密に保持する。このため、すべての送受信者に対して1ペアの鍵で済み、グループの人数が増えても秘密鍵方式のように鍵の数が膨大になったりしない。そのため、「インターネットでは必須の技術」(稲村氏)として、現在、電子商取引などインターネットのさまざまな局面で公開鍵技術が使用されている。

“誰が誰であるか”、つまり発信者の本人性を確認する認証技術においても、公開鍵暗号方式を応用した技術が使用されている。稲村氏は、暗号技術や認証技術の実際の運用面についても解説を行ない、100人近い参加者は熱心にメモを取っていた。

なお、来年開催されるInternet Week2000は、12月18日から22日まで、大阪国際会議場で開催される予定となっている。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン