(社)トロン協会の主催で2日、“TRONSHOW'99”が開幕した。21世紀を目前に控えた今年のセッションのテーマは、“組み込みシステムとソフトウェア開発”“超漢字”“情報家電とGUI”。また、展示ブースでは、話題のソフト『超漢字』やTRONを採用した情報家電が展示されている。東京・五反田の東京デザインセンターを会場に、会期は4日まで。入場料は1000円。
TRON(トロン:The Real-time Operating system Nucleus)Projectは、'83年に提出された(社)日本電子工業振興協会(JEIDA)の国内のコンピューター開発ビジョンに関する報告書を受け、'84年に東京大学教授の坂村健氏らが中心となり発足した産学共同のプロジェクトである。社団法人TRON協会は、'88年に設立された。写真は、坂村健氏デザインによる“TRONSHOW2000”のロゴマーク |
初日の2日、トロンプロジェクト国際シンポジウム実行委員長を勤める東京大学の坂村健教授による講演“21世紀のTRONプロジェクト”が開催された。坂村教授は、2000年1月以降のプロジェクトの1つとして、以下にあげる2つのホームページの開設をあげた。どちらも、TRONプロジェクトのサイト内に設けられ、同プロジェクトおよびTRON協会のメンバーにより運営される予定。
坂村健教授 |
・“TRON文字収録センター(仮称)”:2000年1月スタート予定。ここでは、TRONプロジェクトで推進する約150万字を扱える多国語文字コード体系“TRONコード(TAD)”を紹介。さらに、コードが割り当てられていない文字の申請を一般から受け付ける。
・“ITRON Open PartsBase データベースセンター(仮称)”:2000年春スタート予定。TRONプロジェクトが研究を進めるITRONのベーシックアーキテクチャーのソースを公開する。
坂村教授は、“ITRON Open PartsBase
データベースセンター”の開設にあたり、「TRONはオープンアーキテクチャーですが、もちろん全部が全部タダという意味ではありません。プロジェクトが提供するNPO的なサービスと、メーカーが提供する商品・サービスのメリハリを付けて提供できればと考えています。TRONプロジェクトとしても、メーカーがお金を取りやすいような環境を整備したいと考えています」と語った。
講演会場より。主催者側の予想よりも来場者が多く、立ち見が続出した |
『超漢字』、出荷開始1ヵ月で3万本販売
今回の展示の目玉は、やはりパーソナルメディア(株)のBTRON仕様のパソコン用OS『超漢字』。TADを採用し、世界各国の文字約13万字を使用することができる。パーソナルメディアは、『超漢字』の発表時にその出荷目標を1年間で30万本としていたが、11月の発売以来、既に2~3万本が売れたという。坂村教授は『超漢字』について、「今までTRONの存在を知らなかったような層にまで広く浸透しているようだ」と、高く評価している。パーソナルメディアのブース。スクリーンを使った製品デモも行なわれていた。 |
今年のTRONSHOWでは、デジタル情報家電のセッションが多く予定されている。各社の展示ブースでも、TRONを使用した電化製品が見られた。
(株)アプリックスのブース。写真は、11月に発表されたソニー(株)のビデオカメラ『MD DISCAM』で、GUIとシステム制御には、アプリックスのリアルタイムOS『JBlend』を採用している |
松下電送システム(株)のブース。写真は、インターネットFAX『DX-2000』(海外出荷のみ)と、『Panafax UF-A5CL』。システム制御用のソフトは、リアルタイムOSとしてμITRONを使用しているという |
(株)日立製作所のブース。μITRON仕様に準拠したHIシリーズOS用の開発キット『HI ApplicationEngine』を展示する。洗濯機や携帯電話に採用されているという |
(株)エルミックシステムのブース。リアルタイムOS『ACCEL-μ』の商品説明を行なっている。『ACCEL-μ』は、Windows CEとμITRONを1つのCPU上で動作させるというもの。実機を用いたデモは、残念ながら今回は行なっていない |