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「日本と米国の格差が激しい現実を知ってほしい」--北九州市の“北米フェア”にて、ネットビジネスを中心としたセミナーを開催

1999年12月03日 00時00分更新

文● 美縞 ゆみ子

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福岡県北九州市のアジア太平洋インポートマート(AIM)にて、輸入品常設展示商談会の“北米フェアin Kitakyushu”が11月10日~12月5日の日程で開催されている。

2日には、ネットビジネスと今後の放送と通信の融合をテーマに、セミナーが併催された。主催は北九州市国際産業交流事業実行委員会。その模様をレポートする。

北九州市で開催中の“北米フェアin Kitakyushu”。会場には、輸入住宅展示ゾーン、マルチメディアゾーン、食品関連ゾーン等さまざまなゾーンがあり、北米製品が一堂に展示されている
北九州市で開催中の“北米フェアin Kitakyushu”。会場には、輸入住宅展示ゾーン、マルチメディアゾーン、食品関連ゾーン等さまざまなゾーンがあり、北米製品が一堂に展示されている



「誰もが何か変化していると感じている」~米国ネットビジネス最新事情

最初のテーマは“米国ネットビジネス最新事情”。講師は(株)コンピュータ・ニュース社の主幹で、BUSINESSコンピュータニュースの発行人を務める奥田喜久男氏。奥田氏はまず、莫大な利益を生むインターネットビジネスの具体例を紹介した。

「今日の日本経済新聞の記事によると、ドット・コム(編集部注:business.comのこと)を7億7000万円で買った会社のことが出ていました。これを売ったロバート氏は、3年前にロンドンのインターネット会社から1600万円で買っていたそうです。当時は嘲笑すらされた出来事でしたが、3年で50倍になったのです。これもネットビジネスの成功例でしょう」--。

BUSINESSコンピュータニュース紙の発行人である奥田喜久男氏が、最初のセミナーで講師を務めた
BUSINESSコンピュータニュース紙の発行人である奥田喜久男氏が、最初のセミナーで講師を務めた



このエピソードから、現在のネットビジネスについて、「誰もが何か変化していると感じている。それも速い、とにかく速い変化だと。私たちは2005年にはどうなるかを頭において、ネットビジネスを考えなくてはいけません」と、先を見通すことの重要性を指摘した。

続いて奥田氏は、ネットビジネスを構成する要素を挙げた。それは、(1)パソコンで世界は繋がった、(2)ベンチャー企業の誕生が多くなった、(3)株式の公開が増えた、の3要素だという。そして、米国と日本のネットビジネスの差について語った。

「書籍販売のアマゾン・ドット・コムの月間売上額は、紀伊國屋ブックウェブの80倍、パソコンメーカーのデル社はパソコンショップのソフマップの976倍という数字となっています。旅行チケットにおいては、JTBの'99年売上目標額が、米Travelocity社の2日分の売上額でしかないのです。これほど日本と米国の格差が激しい現実を知ってください」と、奥田氏は具体的な数字を紹介。

その上で、「これからどうなるか不安です。日本の企業はこのまま置いてきぼりになるのでしょうか?」と、聴衆に対して問題を投げかけた。

ネットビジネスの売上額拡大については、「米国は4年後に6倍、日本では16倍になるとの見解があります。日本のネットビジネスは、商取引の中で最もウェイトの大きい分野になります」と、日本での高い成長率について言及した。

また、ネットビジネスは“事業の着想”“新会社の設立”“株式の店頭公開”という3つのステップでスタートするとの考えを披露。加えて、時価総額のベストテンにある企業が、すべてネットビジネスを行なっている企業との指摘を行なった。

最後に奥田氏は、現在のネットビジネスシーンについて、「現在は“不調和なネットビジネス”だと私は思います。ビジネスは世界単位で拡がっているのに、政治の世界に縛られると、国内の規制に縛られてしまい、ビジネスそのものが国内にこもるのです」と懸念を表明。それに対し、「今後は、この規制が一つずつなくなって、ネットビジネスが世界中に拡がるのではないかと考えます」と期待感を口にし、セミナーを締めくくった。

「サポーター体制の証券会社を目指す」~知って得する、インターネット株式売買最前線

次に登場したのは、日本オンライン証券(株)で経営戦略を担当する臼田琢美氏。テーマは“知って得する、インターネット株式売買最前線”だ。

日本オンライン証券の臼田琢美氏
日本オンライン証券の臼田琢美氏



オンライン証券の事情に精通した臼田氏は、「現在のネット上にある証券会社は、投資アドバイスを提供する“アドバイザー”と、徹底した低コスト化による割安手数料で勝負する“ディスカウンター”に二分化されると言われています」と、業界の事情を説明。

その上で、「私たちの会社は3つ目のタイプとして、“サポーター”という体制を考えています。円滑な売買執行とDIY投資をサポートするための情報提供を主な業務とするのです」と、自社の方針を披露した。

同社における今後のサービス面については、「じっくり市場を分析するためのスクリーニング機能、注文約定結果をリアルタイムに知らせるサービス、顧客がアセットレビューを自宅のFAXで取り出せるサービスを提供します」と、新規サービスについて紹介。さらに、「パソコンだけでなく、WinCE*、WebTVでの利用も可能です」と、アピールした。

同社では11月16日、11月のスタートを予定していたオンライン取引を、2000年1月21日に延期すると発表している。同社内でテストを行なった結果、システムの動作が一部不安定になる現象が発見されたための措置だ。同社では、2000年問題への対応という意味も含め、サービス開始を来年に延期したとしている。現在は取引口座の開設を受け付け中で、オンラインサインアップもできるとのことだ。

*日本オンライン証券では、40bitのSSLに対応したウェブブラウザーがあれば、サービスを受けることが可能なものもあるとしている。Pocket Internet Explorerを搭載するWindows CE機はもちろん、Windows CEベースのドリームキャストもSSLに対応したウェブブラウザーを搭載しており、臼田氏の発言はこれらのマシンを念頭に置いたものを思われる。

「パソコンがなくとも同等のサービスを」~テレビで楽しむインターネットの最前線

最後に登壇したのは、ウェブ・ティービー・ネットワークス(株)で販売推進部部長を務める箕浦幸雄氏。テーマは“テレビで楽しむインターネットの最前線”だ。

箕浦氏はまず、「米国での一般家庭に対するパソコン普及率は、約50パーセントです。残りの50パーセントの家庭にはどうしてもパソコンが入り込めません」と、パソコン普及の現状を紹介。その上で、「そういった家庭に、パソコンがあることと同等のサービスを受けられるようにするのがWebTVなのです」と、同社のWebTVをアピールした。

ウェブ・ティービー・ネットワークスの箕浦幸雄氏
ウェブ・ティービー・ネットワークスの箕浦幸雄氏



セミナーの途中には、東京三菱銀行のインターネットバンキング利用法のビデオを上映。このほか、ドリームキャストを利用して、WebTVの7つのサービスをリアルタイムでデモンストレーション紹介した。また、パソコンと同等の機能の一つとして、簡単なホームページの作成も実演された。

インターネットの現状については、「パソコンの普及を外から見ている人が、圧倒的に多いのが現実です。それを踏まえて、テレビを中心にインターネットにおけるサービスを受けることをWebTVは追求していきたいと思っています」と意欲を語った。

セミナー参加者の中には外国人の姿も
セミナー参加者の中には外国人の姿も



今回の北米フェアin Kitakyushuが開催されたアジア太平洋インポートマート(AIM)は、海外企業に対日進出拠点を提供する目的を持った施設だ。そのためか、セミナー参加者には外国人の姿も見られ、会場は北米フェアらしい多彩な顔ぶれで賑わっていた。

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