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“マルチメディアグランプリ1999”グランプリが決定! 通商産業大臣賞はソニー・コンピュータエンタテインメントの『どこでもいっしょ』、MMCA会長賞は大友克洋氏の手に

1999年12月02日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

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1日、東京北青山のTEPIAにおいて、(財)マルチメディアコンテンツ振興協会が通産省と共催している“マルチメディアグランプリ1999”のグランプリ発表会が催された。

今年で14回目を迎える本イベントは、各部門別にジャンル別の賞を特定せず、審査の過程で作品に相応する名称で賞を贈る形になった。応募総数は合計196点となり、昨年と比べ作品数は減少したものの、応募者により絞り込まれた質の高い作品系が集まった。応募作品の傾向としては、アーカイブ作品、データベース作品が目立ち、DVD作品も応募が増えた。また、メディアミックス型の作品も多く見られた。

“マルチメディアグランプリ・通商産業大臣賞”は、パッケージ、シアター・展示、ネットワーク、CG部門、それぞれの最優秀賞の中から選ばれた。併せて、マルチメディアコンテンツの制作に携わるプロデューサーやアーティストを対象とした“人物表彰の部最高賞”の“マルチメディアグランプリ・MMCA会長賞”や、独自の技術や技能を持った制作者などに贈られる“新しい才能の部最優秀賞”の“金の翼”賞の発表もあった。

ヒーリングとコミュニケーションの要素を取り込んだ『どこでもいっしょ』

“マルチメディアグランプリ・通商産業大臣賞”に選ばれたのは、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントの会話ゲーム『どこでもいっしょ』。パッケージ部門での最優秀賞でもある。今年1月に発売された携帯情報端末『ポケットステーション』の中にいるキャラクター“ポケピ”が言葉を覚え、タイトル名どおり“どこでもいつでも”会話を楽しめるゲーム。

キャラクターがジーンとくるような深い言葉や意外な言葉を掛けてくる。従来の育成ゲームでも、携帯ペットでもない新しいコンセプトで、いわばヒーリングとコミュニケーションというテーマを合致させたもの。会話を楽しむ以外にも、『ポケットステーション』の赤外線通信機能を利用し、友達のキャラクターと“しりとり遊び”をしたり、名刺交換もできる。

通商産業大臣賞を受賞したソニー・コンピュータエンタテインメント。キャラクターグッズとともに通商産業大臣賞を受賞したソニー・コンピュータエンタテインメント。キャラクターグッズとともに



『どこでもいっしょ』。画面は5つのおしゃべりキャラクター
『どこでもいっしょ』。画面は5つのおしゃべりキャラクター



パッケージ部門の授賞式。ソニー・コンピュータエンタテインメント、東京放送・TBS、デジタルステージ、ビバリウム、オラシオン、日経映像・NTTコミュニケーション科学基礎研究所が受賞
パッケージ部門の授賞式。ソニー・コンピュータエンタテインメント、東京放送・TBS、デジタルステージ、ビバリウム、オラシオン、日経映像・NTTコミュニケーション科学基礎研究所が受賞



なお、そのほかの部門別最優秀賞には、シアター・展示部門からはセガ・エンタープライゼスの水中探検レストラン『Fish“on”Chips』、ネットワーク部門からはNTT移動通信網の『iモード』、CG部門からはトリロジーの『鉄コン筋クリート』がそれぞれ受賞した。

シアター部門の最優秀賞は、セガ・エンタープライゼス(写真左)の水中探検レストランに贈られた。テーマパークは岐阜にある
シアター部門の最優秀賞は、セガ・エンタープライゼス(写真左)の水中探検レストランに贈られた。テーマパークは岐阜にある



ネットワーク部門の最優秀賞は
ネットワーク部門の最優秀賞は

NTT移動通信網(写真左)の『iモード』。携帯電話は、コンテンツとインフラの関係を見直した、モバイルの次世代モデルといえる

CG部門最優秀賞はトリロジーの手に(写真左)。久々に日本からの受賞となった。選考委員の川口洋一郎氏は「狩野派から、突然、浮世絵が出てきたような感じである」と、そのオリジナリティーを称えた
CG部門最優秀賞はトリロジーの手に(写真左)。久々に日本からの受賞となった。選考委員の川口洋一郎氏は「狩野派から、突然、浮世絵が出てきたような感じである」と、そのオリジナリティーを称えた



大御所登場! MMCA会長賞は大友克洋氏

“マルチメディアグランプリ・MMCA会長賞”は、漫画家、アニメーション作家として世界的に有名な大友克洋氏に贈られた。

大友氏は、代表作『AKIRA』など劇場用アニメーションを監督し、'97年にはTBSのステーションID用映像をフルデジタルで制作、総指揮と総監督を務めた。現在はフルデジタルアニメーション『STEAM BOY』を制作しており、注目が集まっている。世界的に評価の高い“ジャパニメーション”の先駆けとして、また将来のアニメ界を牽引する功績を称えて、MMCA会長賞が贈られた。

「アニメーションのデジタル化の話をしてから、もうずいぶん経ってしまった。現在、制作中の“STEAM BOY”は、いろいろな試行錯誤を繰り返してきた“自分なりの答え”としたい。この受賞を励みに作品の完成に向けて頑張る」と喜びの弁「アニメーションのデジタル化の話をしてから、もうずいぶん経ってしまった。現在、制作中の“STEAM BOY”は、いろいろな試行錯誤を繰り返してきた“自分なりの答え”としたい。この受賞を励みに作品の完成に向けて頑張る」と喜びの弁



“新しい才能の部 金の翼”は中国の陳玲氏に

“新しい才能の部 金の翼”賞は、メディアアーティストの陳玲(ちんれい)氏が受賞した。陳氏は、杭州西湖の歴史的景観の変遷をテーマに、最新映像技術による景観の復元、環境芸術への応用を推進してきた。参加型のアート作品『都市と自然が共生する杭州西湖の歴史的景観を逍遙し、学び、参加する』では、シナリオ、アートディレクション、イラストなどを担当。1000年以上にわたる時空の軸で展開してきた山水の世界や、優雅な文化を紹介している。

なお、優秀賞の“銀の翼”賞は、力強いオリジナル映像『SiNK』を作り上げたCG屋富岡聡氏と、VJソフト『motion dive2』を企画開発したメディアクリエーター平野友康氏が受賞した。

左から“金の翼”を受賞した陳玲氏、“銀の翼”を受賞したCG屋の富岡氏、デジタルステージの平野氏
左から“金の翼”を受賞した陳玲氏、“銀の翼”を受賞したCG屋の富岡氏、デジタルステージの平野氏

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