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コンパックが、Alphaプロセッサ採用のスーパーコンピューターの新製品を発表

1999年11月26日 00時00分更新

文● 浅野純一

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コンパックコンピュータ(株)は25日、スーパーコンピューター『AlphaServer SCシリーズ』を発表した。667MHzで駆動する64bitのAlphaプロセッサを採用したもので、スケーラブルな拡張性、SSV(Single System Image)の実現、低価格などの特徴がある。基本構成は16ノード、16CPU、16GBメモリの組み合わせ。これをラックマウント化し、用途に応じて複数のラックを接続してクラスタを構成することで、システム性能をスケーラブルに拡張できる。ノード間の接続にはQuadrics Supercomputer World社のネットワーク技術“Fat Tree”を採用、これにより最大128台までの接続ができ、全体で4096CPU、33TB(テラバイト)メモリというシステム構築も可能になる。

ラックマウントタイプの『AlphaServer SCシリーズ』
ラックマウントタイプの『AlphaServer SCシリーズ』



また、従来スカラー型システム(AlphaプロセッサやPentium Xeonプロセッサなどを用いたシステムのこと)では、サーバ間の通信やタスクのアサインなどが複雑になりがちだったが、AlphaServer SCシリーズでは、Cluster File System(CFS)やParallel File System(PFS)などのソフトウェアに加えて、Tru64 UNIXの上に新たにミドルウェアを構築、システム全体をあたかも1台のサーバ(Single System Image)のように利用できるようになっている。

発表会にはスーパーコンピュータ部門を統括する米社副社長のBill Blake(ビル・ブレイク)氏が来日、プレゼンテーションを行なった発表会にはスーパーコンピュータ部門を統括する米社副社長のBill Blake(ビル・ブレイク)氏が来日、プレゼンテーションを行なった



他社のスーパーコンピューターが独自OSのもとで専用のアプリケーションが必要なのに対し、AlphaServer SCシリーズでは従来から実績のあるTru64 UNIXを採用。UNIX系の汎用アプリケーションが動くほか、Linuxとのソースコード、実行イメージでの互換性も確保されているという。1CPUあたりの理論ピーク性能は1.3GFLOPS、最大の128ノード構成の場合、約0.7TFLOPSとなる。ちなみに同社は米国エネルギー省主導のスーパーコンピューター開発計画(ASCI PathForward Project)にも参加しており、今後Alphaプロセッサの開発、SMP化、マルチノード化を続けることで、2004年には100TFLOPSの実現を目指すとしている。

左から国内のHPTC本部長の中野守氏、米国の開発担当マネージャであるMark Walker(マーク・ウォーカー)氏、Bill Blake氏、常務取締役営業統括本部長の吉田雅彦氏
左から国内のHPTC本部長の中野守氏、米国の開発担当マネージャであるMark Walker(マーク・ウォーカー)氏、Bill Blake氏、常務取締役営業統括本部長の吉田雅彦氏



最小構成の16ノード、16CPU、16GBメモリでの月額レンタル料金は690万円。同社はすでにAlphaServer SCシリーズを、米国のローレンス・リバモア研究所(512CPU)などに納入しており、今後、国内でも販売組織を強化し、広くセールスを行なう模様だ。スーパーコンピューターは、金融業界やインターネットサーバなど膨大なデータの高速処理が必要な分野が広がっていることで、従来の科学技術計算以外の用途も増えており、その需要が高まっている。

ローレンス・リバモア研究所に納入された512CPUのAlphaServer SC
ローレンス・リバモア研究所に納入された512CPUのAlphaServer SC

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