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TBSや松下など6社、テレビ放送向けのデジタルサービス企画会社“トマデジ”を設立

1999年11月15日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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(株)東京放送(TBS)や松下電器産業(株)など6社・グループは、合弁で(株)トマデジを12月初旬にも設立することを発表した。トマデジではBSデジタル放送を主な対象として、データ放送や双方向通信など、各種デジタルサービスの企画開発と提供を行なう。

トマデジには、TBSと松下が各20パーセントを出資するほか、NTTグループ、(株)電通、(株)ジャパン・デジタル・コミュニケーションズ(JDC)、日本電気(株)が参加する。各社の出資比率は合計96パーセントで、残りの4パーセントについては、金融機関なども含めて調整中の段階だという。

*JDCはTBS系列のBSデジタル放送事業者。'98年11月に設立され、BS-iのチャンネル名で郵政省から放送免許を取得している。TBSが筆頭株主として21パーセントを出資するほか、毎日放送(MBS)、日本電気、松下電器産業、電通、三井物産が出資している。

トマデジの社長には、TBSの常務取締役である飴井保雄氏が就任する予定。12月の会社設立後、2000年の春を目処にサービスを開始する。当面は「2000年12月に予定されているBSデジタル放送がターゲット」(飴井氏)としており、まずはTBS系列のJDCに対してサービスや番組の提供を行なっていく予定だ。

TBS本社で開催された記者発表会では、出資企業各社の役員などが出席し、トマデジの具体的な事業内容についての説明が行なわれた。

TBS本社の記者発表会には、各社の代表者が勢ぞろいした
TBS本社の記者発表会には、各社の代表者が勢ぞろいした



トマデジではテレビ放送向けのサービスに加え、iモードなどの携帯電話や、カーナビといった移動体通信にもサービス対象を広げていくとしている。同社では「メディア横断型にサービスを提供できる会社」(飴井氏)を目指しており、「携帯電話などプル型のサービスにも参入する」予定だ。インターネットや携帯電話も含めた“クロスメディア・マーケティングシステム”を構築することで、新しい形でのEC(電子商取引)サービスを開発/提供するとしている。

(株)トマデジの社長に内定している飴井保雄TBS常務取締役(株)トマデジの社長に内定している飴井保雄TBS常務取締役



具体的なサービス内容としては、ひとつにはテレビ番組と連動したCMの企画や開発といった、テレビ放送と連動したデジタル情報の提供が挙げられた。例として、すでにTBSのデータ放送で提供されている視聴者参加型のクイズ番組を挙げ、「新しいデータサービスの形態を提供していきたい」(TBS 高橋利明プロモーション局長)と、意気込みを語った。番組連動型サービスの提供にあたっては、対象をJDCが展開するBS-iに限定せず、独立系のデータ放送事業者からも業務を受託する方針だという。

双方向のデータ通信を実現するための機器には、日本電気や松下が提供する端末を採用する。当初は「あまり特殊なものでなく、普及を図りながら開発を進める」(日本電気 松下茂雄C&Cマルチメディア事業推進本部長代理)予定だが、具体的な台数についてはまだ未定だという。

この両社では、NECが展開するインターネット接続サービスの“BIGLOBE”と、松下が9月1日付で設立したコンテンツ・サービスの双方向サービス事業会社“パナソニック デジタル ネットワークサーブ(株)”において、トマデジと協力関係を保ちながらノウハウの提供などを行なっていく。これらハードメーカーにとって今回のトマデジへの出資は、「端末から一番上流までやることが重要」(松下 樋野淑雄取締役)だとしている。

記者発表会に出席した飴井氏、松下電器産業の樋野淑雄氏、電通の明石眞彦氏、日本電気の松下茂雄氏(左から)
記者発表会に出席した飴井氏、松下電器産業の樋野淑雄氏、電通の明石眞彦氏、日本電気の松下茂雄氏(左から)



データ通信の提供にあたっては、ユーザー(端末)から返ってくるデータを収集するサーバー(データセンター)も設置する予定だ。ユーザーとデータ提供業者を結ぶ回線には、NTTグループが展開する通信網を利用していく。このデータ通信においては、「携帯電話やPHSを利用して、端末からサーバーにアクセスする方法も考えている」(NTT東日本 小野伸治取締役)という。

将来的にはデータ提供に伴う課金のシステムも構築していく予定。データ通信の双方向を活かして「生活者の変化するニーズに合わせ、新しい情報を発信する」(電通 明石眞彦上席執行役員)ことを目的のひとつとしており、顧客管理や課金決済への対応を進めていく。ただし、課金サービスの開始時期については、「2000年の時点では電子決済までやることは考えていない」(飴井氏)とのことで、課金業務に関する信頼性が十分に担保されるまでは、慎重な対応を取る姿勢を見せた。

左からTBSの高橋利明氏、JDCの城所賢一郎氏、NTT東日本の小野伸治氏
左からTBSの高橋利明氏、JDCの城所賢一郎氏、NTT東日本の小野伸治氏



なお、トマデジという社名は“Tomorrow and Digital”の略で、英文社名はTomo-Digi Corporationとなる。この名称には“デジタル時代の明日を築く”という意味が込められているという。同社の資本金は20億円で、各企業の出資比率は以下の通り。

TBS:20パーセント
松下電器産業:20パーセント
NTTグループ:17パーセント
電通:15パーセント(電通グループとして)
JDC:14パーセント
日本電気:10パーセント

*NTTグループの内訳は、東日本電信電話(株)が5パーセント、NTTドコモ(株)が5パーセント、NTTコミュニケーションズ(株)が5パーセント、西日本電信電話(株)が2パーセントとなっている。

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