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【日刊デジタルクリエーターズ特約】無料電話にみる最新米国ネットビジネスの法則?!

1999年11月09日 00時00分更新

文● KNN 神田敏晶 

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世界で一番小さな放送局、Kanda News Networkの神田敏晶氏が、『日刊デジタルクリエーターズ』に寄稿した記事を、同誌の了解を得て、転載する(転載部分は、ですます調。小見出しの文責は、ascii24編集部。用字用語を一部、ascii24編集部流に直した)。3番目の小見出しの後が、無料電話の話である。

DTPの母との遭遇

“Y2K-Tokyo プロジェクト”が動きはじめ、本当に多忙ながら充実した日々を送るようになりました。これからかなりマスコミでの露出が高まると思いますが、このメールマガジンから発生したプロジェクトなんだなと思って、我が子のごとくみていただければ幸いです。

*文中「このメールマガジン」とは、『日刊デジタルクリエーターズ』のこと。

“Y2K-Tokyo プロジェクト”の関連記事は、次のとおり。

【関連記事】Y2K-TOKYO、Y2K問題を専門としたインターネットTVの試験放送を11月1日に開始
 http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/1029/
srvc06.html


【関連記事】KNN、インターネットTVによる“Y2K-Tokyo”の構想を発表
 http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0730/
srvc01.html


インターネットって本当にこういう時こそ、すごいメディアだなって感じますね。そしてまたウェブに掲載することによって、インフォメーションは無限大に広がる可能性を秘めているのです。

本日は、サンフランシスコにいるのですが、朝市で“Y2K”インタビューしていたら、DTPの母と呼ばれるTechArt社のダイアン・バーンズ女史とバッタリ遭遇。数年ぶりの出会いで一緒にブレックファーストしました。

「シスコでも、こんな真っ赤な派手なジャケット着ている人は他にいないからすぐにわかった」といわれました。このジャケットは、ラスベガスのベルサーチで買ったもので、日本では、少年隊の東クンとボクだけらしいです。最後の一着を検討している時にそのようにいわれました。

この赤いジャケットとKNN のオフィシャルプレスバッジがあるだけで、完全にアメリカでは放送局だと認知されているようです。日本では変なヤツなんですが…。ここアメリカではそんな変な放送局はワンサカいるから問題ありません。また、ここでは、目立たなければ何もできないんですね。というか、自己主張しなければ何もしていない事と一緒なんです。


印刷媒体中心は日米同じだが……

しばしダイアンと日米のウェブマスター談義をしました。

ウェブページがキレイであり、デザインがまとまっているけど、中身がつまらないサイトが多いのは日本もアメリカも一緒ということ。また、Java やらCGIなど本来デザイナーがかかわるところではなかった部分までがデザイン領域でカバーする点などを話しました。

驚いたのはサンフランシスコでも、まだウェブは20パーセントであり、印刷媒体が80パーセントであるというダイアンの言葉です。よくアメリカは凄い! という言葉ばかりが日本に浸透していますが、逆に日本のi-modeなんて本当はアメリカ人が知ったらびっくりすることでしょう。そのぐらい、情報の伝達にラグがあります。

「インターネット先進国のアメリカ」「日本は遅れている」という方がビジネスとしては、いいのですが。アメリカもホントは、すごい遅れているところがまだまだ一杯あるようです。

ただ、違うのが、アメリカのスタンダードは、そのまま世界のスタンダードになる点で、日本のスタンダードはいつまでたってもローカルスタンダードだからです。だから最初から世界のスタンダードをめざせるビジネスモデルを考えた方がいいわけですね。

今や、3万9000円でアメリカに来ることができ、ルームシェアすれば、月に400ドルで住居が見つかる場所です。東京で一人暮らしをしているのであればこちらで暮らすのもかわりはありません。

また、ウェブのビジネスはこれから増えることはあっても減ることはありえません。さらに新しい出来事が続々と登場してきています。

無料電話が掛けられるサイト

スタンフォードの学生に今一番ホットなURL をインタビューすると、ダイヤルパッド.com  http://www.dialpad.com  といわれました。見にいってみてビックリ、アメリカ中、すべてこれで無料で電話がかけられるではないですか! これは、すごいです! 世の中がまた変わりました。ついに電話というメタファーは崩壊するような気がしました。残るのは回線のシステムだけ!

Macではインストールできなかったので、同僚のWindows98から電話すると見事にかかるではないですか! アップルはこの会社を買収して、早急にMac版を作らせなければなりません。インターフェースもよくできています。速度だけを誇っている場合ではないのです。

電話が無料であれば、Windowsマシンは一台電話として買います。しかも、アドレス管理もできるので、ジャスタ・クリックするだけです。そのうち、時間がきたら自動で電話をかけるサービスや、留守番電話や、CTI技術など、いろんなサービス機能が付加されることでしょう。

しかし、無料でサービスを提供するために、かなり、パーソナルデータを入力させられます。これにはウンザリ! しかし、ウンザリするところには、必ずビジネスチャンスがあるのです。

どうせどこでも入力を強いられる属性項目なら

米国ネットビジネスの法則はここにあるのです。ネットビジネスのCEOがウンザリするニッチなソリューションが起業のポイントなのです。そしてビジネスモデルが成立し、普及するパワーを秘めているかどうかなのです。するとベンチャーキャピタルがドアを叩く日が近くなるのです。

ウンザリするようなことをネットビジネスにしていけば、いつかはチャンスが訪れることでしょう。パーソナルデータを一度入力させ、そのデータを入力した人は8ケタの番号とパスワードを打ち込むだけで2度と打ち込みをする必要がなくなれば……。

今までウンザリするようなことを聞き、顧客に逃げられていたところが、8ケタの番号とパスワードで認証すれば、データセンターから聞きたかった情報が手にはいるなどのマッチングはコンピュータの得意とするところです。いろんなアイデアが考えられます。

このような新しいサービスは、何もアメリカだからできることではありません。既存のサービスとサービスの隙間のニッチをインターネットで埋めることによって、爆発的な新しいキラーコンテンツとなることでしょう。それがまた、世界のスタンダードになることを想定されていたならば……。

IPO やストックオプションのためだけに働くのではなく、世界のテクノロジーにオーバードライブをかける奴が、日本よりもこのアメリカには、ほんの少しだけ多いのかも知れません。

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