このページの本文へ

電子書籍コンソーシアム、“ブック・オン・デマンドシステム”実証実験開始に伴い、モニターの集いを開催

1999年11月02日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

電子書籍コンソーシアムは、本日“ブック・オン・デマンドシステム”の総合実証実験を開始した。

この実験は、通信衛星を利用して電子書籍の配信を行なうもの。読書用端末『電子書籍リーダー』を使ったモニターと、パソコン用電子書籍コンテンツ閲覧ソフト『PCビューワ』を使ったモニターを一般から募集し、約3ヵ月間実施する。



『電子書籍リーダー』 『電子書籍リーダー』



今回の実験開始に伴い、同コンソーシアムは、首都圏在住の『電子書籍リーダー』を使ったモニターを中心とした“第1回 電子書籍リーダー モニターの集い”を開催、同コンソーシアム代表者らによるパネルディスカッションが行なわれた。

同コンソーシアム代表の塚本慶一郎氏(インプレス社長)「これまで出版業界は読者に本を届ける努力を怠ってきた。紙で読みたい人は紙で、デジタルで読みたい人はデジタルでというように、選択肢が広がることで活字離れに歯止めをかけることができればと思う。今回の実験ではコンテンツの記憶媒体としてアイオメガの『Clik!』を利用するが、将来的にはすべてのコンテンツを通信で直接取り込めるようになるだろう」

同コンソーシアム総務会長の鈴木雄介氏(小学館インターメディア部次長)「今回の実験で、問題はたくさん出てくるだろう。読書専用端末も、実験で使用するものは大きくて重くて本当に携帯できるのか、というようなものだが、将来的には安くて軽い端末で読者の希望にそえられるだろう。従来は評論家による書評などで本の価値が判断されていたが、これからは消費者が評価する本が本物の商品となるだろう。今回の実験に参加する1000人が中核となり、読書のエージェントとなって、インターネットやさまざまな集いの場を通じて、広く一般に意見を発表してほしい。これを機会に、この1000人が面白いと言った本が売れる、というものにしていきたい」

同コンソーシアム副総務会長の清田義昭氏(出版ニュース社編集長)「出版業界の売上がここ数年連続して前年割れであり、その状況下でCD-ROMやデジタルコンテンツといった新しい商品をいろいろ考えている。また、紙の本をいかに売るかということでインターネットの利用も盛んになってきた。空から本が降ってくるというブック・オン・デマンドは、従来の販売方法とは全く異なるもの。この方法で本が売れるかどうかはわからないが、今年はインターネットを使って本を売るビジネスが芽生えた年。新しい方向に動いていることは間違いない」

左から清田氏、塚本氏、鈴木氏 左から清田氏、塚本氏、鈴木氏



今回配信される電子書籍の価格は、実験のため、出版社によってさまざまな値段のつけ方をしており、紙の半額のものから、紙と同程度のものまであるという。当面は書籍が中心だが、将来的にはテキストベースの電子雑誌/電子新聞の配信も行なうとしている。今後の専用端末の機能としては、文字を大きくし、高齢者でも読みやすくするほか、朗読機能といった音声対応、ベッドや天井などに端末を取り付け寝ながら読めるシステムなどを検討しているという。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン