NTT移動通信網(株)(以下、NTTドコモ)と米マイクロソフト社は、日本国内でデータセンターサービスを提供する合弁会社“モビマジック株式会社”を近日中に設立すると発表した。
NTTドコモ代表取締役社長の立川敬二氏(右)と、米マイクロソフトプレジデントのSteve Ballmer氏(左) |
モビマジックは、PHSや携帯電話、パームサイズPCなどのモバイル機器のユーザー向けにデータセンターを設置する。ユーザーは、このセンターを介して、企業内サーバー上の顧客情報や製品情報といった業務データへのアクセスが可能になる。また、インターネットアクセスサービスとして、経済指標や株式情報といった情報の提供も行なう。企業内にグループウェアを持たないユーザーには、Microsoft
Exchange 2000を利用したホスティングサービスを提供する。また、将来的にはマルチメディアコンテンツの配信や電子商取引などのサービス展開も予定しているという。
ポータルはMSN Mobileを採用する。データセンターサービスは、マイクロソフトの携帯端末向けブラウザー『マイクロブラウザ』を搭載したPHSや携帯電話、パームサイズPCなどのWindows
CEデバイス、ノートPCに対応する。第1弾として、NTTドコモの64kbps対応PHSでサービスを開始し、その後携帯電話やWindows
CEデバイスに順次対応するという。将来はW-CDMAもサポートする。センター側のサーバーには、Exchange
2000を中心としたBackOfficeファミリーが利用される。プラットフォームはWindows
2000。ネットワーク網にはNTTドコモのVPNや専用線が利用される。
モビマジックの代表取締役社長にはNTTドコモの廣野正彦氏が就任する。資本金は2億円(NTTドコモ50パーセント、マイクロソフト50パーセント)、取締役は、NTTドコモから2名、マイクロソフトから2名となっている。モビマジックは、設立当社は企画会社としてスタートし、サービスの事業開始時期といった具体的な事業計画を立てるという。
NTTドコモ代表取締役社長の立川敬二氏コメント
「大変うれしく思う。本年3月に両社の提携を発表したが、その後半年で合弁会社設立に至ったわけで、スピード経営時代にはいいことだと思う」
「提携後、両社でさまざまなことをスタディしているが、今回の発表はその1つが実現したに過ぎない。他にもいろいろと検討している。まずできるところから始めた」
「現在、移動通信はコンシューマーユーザーが主体。コーポレートユーザー向けに高度なサービスを提供したいということで、今回のサービス発表となった。企業に一層貢献できればと思う」
「現時点では、PHSと第2世代携帯電話での利用となるが、21世紀以降に展開する第3世代携帯電話では、より高度なサービスが提供できるだろう」
「ビジネスユーザーも家に帰ればコンシューマーユーザーになることもあるだろう。今回のサービスはあくまでもビジネス向けだが、多少はコンシューマー寄りのサービスも含むだろう。コンシューマー向けサービスはすでにiモードで展開している。利用者にとって選択の自由度が広がるサービスを提供したい。Windows
CEの機能については、端末のワールドワイドでのワイヤレス利用を目的としたWindows
CEのモバイル機能の最適化と、次世代高速ネットワーク対応について両社で話し合いをしている」
「私の期待しているサービスの一例は、LANで構築されたオフィスのシステムを利用し、書類を作成している途中で、外出しなければならなくなった際に、マシンをそのままの状態にしておくと、外出先からワイヤレスでアクセスして作業の続きができるというようなもの。こういった世界を実現したい」
米マイクロソフトプレジデントのSteve Ballmer(スティーブ・バルマー)氏コメント
「今回発表できてうれしく思う。われわれにとっても、NTTドコモにとってもよいステップであり、前向きなものだ。両社は、PCやそれと同等の製品を、将来いつでもどこでも使えるものとしたいという共通のビジョンをもっている。そのビジョンが今回のサービスを実現する」
「ビジネスユーザーに協力できるのは魅力的だ。われわれはビジネスユーザーを主な対象として活躍している。モビマジックのほかにもさまざまなサービスを提供する予定だ。現在のPCテクノロジーが利用できるシーンは限られており、オフィスを離れるといろいろ不便がある。今回のサービスは、いつでもどこでもを実現するもの。最先端のサービスで活躍できてうれしい」
「世界はPCの時代から、“PCプラス”の時代へと変化している。PCがなくなるとは考えていないが、PC以外のものが使われることもあるだろう。PCにそれらのデバイスを追加して利用するといった使い道が増えるだろう。紙の代わりにモバイルツールやハンドセットなど、PCの機能をフルに使える端末が登場すれば、面白いことができる」
「iモードの面白さは、技術ではなくサービス内容にある。データセンターサービスも、提供するためにはインフラが必要だが、重要なのはそれだけいいサービスを提供できるかということ」
「将来はすべてのウェブとソフトはXMLで記述される。これにより、どんな画面にも対応して表示が可能だ。また画面のない端末でも音声だけでサービスを提供できる。現在はサービスの初期段階で、今後ワイヤレスの本格展開が始まる。今は長い道程の出発点でしかない。あらゆるビジネスユーザーが企業データにワイヤレスでアクセスできるようにしたい」
発表会上で行なわれた調印式で書類にサインする立川氏とBallmer氏。サイン後、握手を交わす |
モビマジックの社長に就任する廣野氏(中央)と両氏 |