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デジタル技術での著作権保護に前向き---MAA第3回例会開催

1999年03月19日 00時00分更新

文● 千葉英寿/報道局 伊藤咲子

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 メディア・アーティスト協会(MAA)は、15日、パネルディスカッション“どこへ行く?メディアアート~次世代への論点整理”を開催した。MAAは、コンテンツクリエーターが中心となったデジタルメディアの制作、発表、流通に関する権利保護を考える団体で、今回はその第3回例会にあたる。パネリストとしてMAAの発起人であるゲーム作家の飯野賢治、CGクリエーターの河口洋一郎、音楽家の坂本龍一の三氏に加え、ソフトウェア業界からマイクロソフト(株)の代表取締役を務める古川享氏とマクロメディア(株)の代表取締役を務める手嶋雅夫氏が登壇した。

左から、手嶋氏、古川氏、河口氏、飯野氏、坂本氏
左から、手嶋氏、古川氏、河口氏、飯野氏、坂本氏



デジタル技術により著作権を保護

 論議の対象は、インターネット上でのコンテンツ配信技術から著作権や創造性の定義にまで広範に渡った。前回の例会からMP3技術などの違法コピー問題が折りに触れ、話題になっていた。それを受けて、今回はソフトウェアメーカーの立場から古川氏、手嶋氏が発言した。

手嶋氏(左)と古川氏(右)。MAAの例会には過去、アップルコンピュータ(株)の原田永幸代表取締役も出席している
手嶋氏(左)と古川氏(右)。MAAの例会には過去、アップルコンピュータ(株)の原田永幸代表取締役も出席している



 古川氏は複製の問題を認識した上でという前置きで「現在は、電子透かし技術や、違法な複製行為のデータを消してしまうシステム、複製にあたった人間が誰であるかわかるシステム--といったからくりが徐々に開発されている。アナログデータでは、一般のユーザーは複製の許諾請求先やその方法が分からず、こっそりコピーをしていた。インターネット上で配信するデータの隣に複製の条件を提示することで、個別に対処できるのではなかろうか」と述べた。

 手嶋氏は、ソフトウェアメーカーもコピー問題の被害者であるとし、次のように述べた。「インターネットに関する技術では約3ヵ月に1回の割合で技術革新が起きている。違法ダウンロード防止技術も同様で、例えばMP3のデータをダウンロードする際の次のような技術が考えられている。すなわち、ダウンロード時にノイズを付け、課金後に自動的にノイズが消去され、別の場所にデータを移動するとまたノイズが発生するといったものである」と、例を挙げて違法コピー防止の技術を紹介した。

火花を散らした討論

 パネルディスカッションの後は参加者との質疑応答が行なわれた。バンド カシオペアのキーボーディスト、向谷実氏ら現役のミージュシャンが積極的に発言し議論が白熱、建築家・プロダクトデザイナーの黒川雅之氏が論点を整理するために発言する場面まであった。坂本氏はディスカッション終了後、「あえてディスカッションの内容をまとめようとは考えない。列席者が1つでもインスピレーションを得てくれば」とさまざまな意見が寄せられることへの期待を示した。

 また、(株)リキッドオーディオジャパンの小長井千晶氏が、「SDMI(Secure
Digital Music Initiative)*にMAAでのアーティストのみなさんの意向を伝えたい」と述べると、これに対し、坂本氏は「SDMIへの参加は費用がかかりすぎる。現在、MAAとして公開質問状を送ることを検討している」とコメントした。

 違法コピーによる被害を恐れてコンテンツのデジタル化を拒絶する方向とは正反対に、デジタル技術によって著作権保護のルールを今以上に確立させようという印象を受けた。会全体を通して、パネラーをはじめ参加者全体がポジティブな姿勢で一貫していた。

*注:SDMI(Secure Digital Music Initiative)
 全米レコード協会(RIAA)と米国の音楽業界大手であるSony Music Entertainment社、Warner Music Group社、BMG Entertainment社、EMI Recorded Music社、Universal Music Group社の5社が共同で設立したプロジェクト。違法コピーを規制する仕様を盛り込んだ標準フォーマットを策定し、インターネットを通じた音楽配信・販売が健全におこなわれることを目的としている。しかし、参加メンバーが音楽業界、ソフトウェア業界の企業が中心で、アーティストやユーザの参加が求められない形で策定が進められており、その姿勢を疑問視する声もある。

坂本龍一氏
坂本龍一氏

 

 MAAは、パネルディスカッションと著作権講座を年末まで7回予定している。次回4月に開かれる著作権講座のテーマは「著作権の誕生と歩み~グーテンベルグからインターネットまで~(仮)」となっている。坂本氏は「アーティストのデジタル化と著作権に関する認識を高めてもらいたい。また、デジタル技術を開発するメーカー側も、この場で最新の技術を紹介してほしい」と呼びかけた。

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