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ASPの普及と促進に向けて、ASPインダストリ・コンソーシアム・ジャパンが11月1日に発足

1999年10月21日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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ASPインダストリ・コンソーシアム・ジャパン(以下ASPジャパン)は21日、同コンソーシアムが11月1日に正式に発足することを発表した。ASPジャパンは、5月に米国で発足したASP Industry Consortium(以下、ASPコンソーシアム)の認定を受けた、日本で唯一の団体となる。

*ASP:アプリケーション・サービス・プロバイダー。サーバーにインストールされたソフトを、賃貸契約の形でユーザーに提供するサービス業者のこと。ユーザーはインターネットやWANなどのネットワークを通じてソフトを利用する。ユーザー側はソフトを自前で購入する必要がなく、保守管理の手間も省けるため、コスト削減に効果があるとされている。

ASPジャパンの会長には、(株)NTTデータ代表取締役副社長の河合輝欣氏が就任。副会長には、インターネット総合研究所の代表取締役である藤原洋氏と、山梨学院大学教授の松田利夫氏が就任する。参加を予定する企業には、21日の段階で41社が名を連ねている(参加予定企業は後述)。

21日午前には、東京・江東区のNTTデータ本社において、ASPジャパンの設立総会が開催された。この総会には参加を検討する企業など106社から194名が出席し、ASPに対する関心の高さをうかがわせた。

引き続き開催された記者会見では、ASPコンソーシアムから会長のトレイバー・グルーエン=ケネディー(Traver Gruen-Kennedy)氏が来日、ASPジャパン設立の経緯などについての説明が行なわれた。記者会見には河合会長と松田副会長をはじめ、専務理事を務める田中正利シトリックス・システムズ・ジャパン(株)代表取締役と、理事を務める山田靖二(株)ヴァル研究所顧問が列席した。

「デスクトップは“ネットトップ”に置き換わる」

会見の席上、河合会長はASPについて、「ASPという言葉は日本でもこの半年で広まってきた」と語り、ASPの認知度が高まってきていることを指摘。ケネディー氏も「(先行する)米国でも、9ヵ月前までは投資家や顧客を探すのが難しかった」と語り、ASPが急速に普及していることを示唆した。

ASPジャパン会長を務める、NTTデータの河合輝欣副社長
ASPジャパン会長を務める、NTTデータの河合輝欣副社長



ケネディー氏によると、5月にASPコンソーシアムが発足してからはASPのビジネスモデルが理解されるようになり、状況が変わってきたという。すでに北米では、数社のASPが株式公開を果たしており、資金を確保しているという事例も紹介した。米国外でもヨーロッパ各国でASPが設立されており、広大な国土を持つオーストラリアでは、ASPは地理的障壁を打ち破る有効な手段として認知されているという。

またケネディー氏は、クライアントにはWindows CEやJava、Linuxなどあらゆる選択肢が考えられるとし、すでに100社以上が様々なクライアントデバイスを開発しているという実例を紹介した。その上で、ASPが広まっていくことで、「デスクトップは“ネットトップ”に置き換わっていくだろう」と語り、ネットワーク経由でのソフト利用が一般化するという見通しを示した。

ASPコンソーシアム会長のトレイバー・グルーエン=ケネディー氏、米シトリックス・システムズ社のディレクターでもある
ASPコンソーシアム会長のトレイバー・グルーエン=ケネディー氏、米シトリックス・システムズ社のディレクターでもある



ASPの登場は「大きなパラダイムシフト」

田中専務理事は、「電話や電灯は、ジャックを差し込めば、壁の外で何をやっているのかを知らなくても利用することができる」と語り、「これからは(ソフトを)所有する時代から、利用する時代に変わる」と指摘。その上で、ASPの登場が「大きなパラダイムシフトになりうる」との見解を示した。今後の展開については、「ソフトの流通形態が変わる」「ボーダーレスの競争が始まる」と例を挙げ、「2001年には市場規模は少なくとも20倍になる」との見通しを述べた。

ASPジャパン専務理事を務める、シトリックス・システムズ・ジャパン(株)の田中正利代表取締役
ASPジャパン専務理事を務める、シトリックス・システムズ・ジャパン(株)の田中正利代表取締役



松田副会長は、「ASPは既存の技術の積み重ねの上に成り立っている」と指摘。ASPに必要とされるのは、メインフレームで蓄積されてきた管理/運用のノウハウと、インターネットに代表される分散型システムによって開拓されたコストダウンのノウハウの両方であると説明した。また、ウェブブラウザーの進歩や広帯域ネットワークの発展といった近年の技術があって、初めてASPが可能になったという見方を示した。

ASPジャパン副会長の松田利夫氏は、山梨学院大学経営情報学部の教授を務めている
ASPジャパン副会長の松田利夫氏は、山梨学院大学経営情報学部の教授を務めている



ASPジャパンでは、当面4つの分科会を置いて活動を進めていく。“ベスト・プロジェクト分科会”は、パイロットプロジェクトの企画と検討、標準化の推進、啓蒙活動を行なっていく。“プロモーション分科会”は、共同のプロモーションや教育活動といった販売促進活動を行なう。“リサーチ分科会”では、技術的問題の共同解決、開発推進を行なう。“メンバーシップ分科会”では、会員に対する情報提供と情報収集、およびASPコンソーシアムとの連絡を行なっていく。

他のコンソーシアムとも連携

最近ではASPジャパン以外にも、ASPに関して業務提携を発表する企業も見られるようになった。この点について田中専務理事は、「他のコンソーシアムにも一緒にやろうという声を掛けて、フレンドリーにやっていきたい」と語った。また河合会長は「他のところは、コンソーシアムというよりはアライアンス(同盟)」と指摘し、業界団体であるASPジャパンとは競合の関係にないことをアピールした。

ASPジャパン参加予定企業

伊藤忠テクノサイエンス(株)、NTTコムウェア(株)、NTT国際通信(株)、(株)エクシード・リサーチ、(株)NTTデータ、(株)エム・ピー・テクノロジー、(株)大嶋会計リサーチ、(株)大塚商会、(株)兼松コンピュータシステム、(株)計算科学研究所、(株)ケイネット、サン・マイクロシステムズ(株)、(株)システムプランニングアンドエンジニアリング、システムソリューションセンター・栃木、シトリックス・システムズ・ジャパン(株)、(有)シー・アイ・ティー、住商情報システム(株)、住商データコム(株)、ダイレクトインターネット(株)、第二電電(株)、(株)トーメン、日本コンピュータシステム(株)、日本事務器(株)、日本テレコム(株)、日本ビクター(株)、日本ユニシス(株)、(株)ネットサーブ、(株)ネットマークス、ネクストネット(株)、(株)ヴァル研究所、パイオニアシステムサイエンス(株)、パケッティア(株)、(株)日立製作所、(株)富士通愛知エンジニアリング、フロム沖縄推進機構ASP拠点化構想WG、松下電工インフォメーションシステムズ(株)、三菱電機(株)、三井物産(株)、ユーザックシステム(株)、(株)リコー、ワールドアクセル(株)

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