14日、楽器の総合展示会“'99楽器フェア”が東京・池袋の池袋サンシャインシティで始まった。このイベントはあらゆるジャンルの楽器や音楽関連製品を展示するもので、隔年ごとに開催されている。主催は日本楽器フェア協会。今回は国内海外から191社が出展、電子楽器やアコースティック楽器などカテゴリー別の展示のほか、実際に楽器に触れることができる体験広場や、アーチストによるデモ演奏、アンケートによる抽選会なども行なわれる。併催イベントの詳細はhttp://www.musicfair.gr.jpまで。'99楽器フェアは17日の日曜日まで開催されている。
このレポートではデジタル楽器を中心に展示会場からいくつかのトピックを拾って紹介しよう。
ヤマハ(株)は新製品を多数並べ、夏のMIDI WORLDに続く新製品ラッシュとなった。注目はXG音源の最新モデル『MU2000』と『MU1000』だ。MU2000は従来のMU128をベースに音色を拡張、内蔵エフェクターを強化したほか、サンプリング機能、スマートメディアスロット、MIDIファイル再生機能、デジタルアウトなどを新たに装備したもの。サンプリングしたサウンドに音階をつけて再生することができるほか、メモリーカードでデータの移動も可能だ。MU1000は音色拡張やエフェクターの改良など基本機能の強化にとどめたモデル。いずれも11月から12月にかけて発売される。
また同社はIEEE1394の音楽フォーマット“mLAN”対応機器を年末に発売すると発表した。複数のオーディオ信号と2系統のMIDIチャンネルを同時にIEEE1394ケーブルに送り出すためのインターフェースボックスだ。価格は未定。デジタルミキサとmLANを組み合わせたフルデジタルシステムレコーディングをデモした。
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下からMU128、MU1000、MU2000。外観は大差ないが、MU2000にはスマートメディアスロットがある。音源カードを内蔵して音源を拡張することができる。もちろんUSBインターフェースを装備する |
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MU100をベースに簡易化したモデルMU100Bs。この音源をベースにしたDTMパッケージも発売される |
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ヤマハは早くから楽器用のIEEE1394インターフェースを開発、mLANの発売にこぎ着けた。速度は200Mbps |
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8チャンネルのオーディオデータと16×2チャンネルのMIDIデータを同時に転送できるmLAN用コンバーター。年内発売の予定 |
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ビギナー用のオールインワンミュージックキーボード。弾くべき鍵盤が光るのは最近のトレンド |
ローランド(株)も新製品を多数展示した。が、音源は例によって更新タイミングではないので新機種はなし。デジタルミキサーやデジタルエフェクターの新製品が注目を集めた。まず8トラックのHDDレコーダー『BR-8』は参考出品ながら、同社の傘下の“BOSS”ブランドでは初めてのHDDレコーダー。Zipドライブを内蔵している。『EG-101』はダンスミュージックの製作に必要な機能を一体化させたスピーカー内蔵キーボード。音源だけでなく、アレンジャー(あらかじめ多くの演奏パターンがプリセットされている)やサンプラーも内蔵。またLEDの光に手をかざしてリアルタイムコントロールができるDビームコントローラーも装備している。価格は7万9800円とお買い得。DSP技術を駆使した低価格で、かつ誰もが楽しく使えるオールインワンキーボードは各社力を入れているカテゴリーだが、ジャンルを絞った製品は初めて。面白い存在だ。
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ローランドのMIDIインターフェース『UM-2』。コンパクトになった新製品。ちなみにMIDIインターフェースはUSB化が進んでいる分野だ |
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BOSSはローランドのエフェクターなどを製造する子会社。コンパクトエフェクターでは大きなシェアを持つ。BR-8は初めてのデジタルレコーダー |
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BOSSブランドのエフェクターに群がる来場者。ギターがセッティングされており、気軽に試奏できるようになっている |
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ダンスミュージック仕様のキーボード『EG-101』。機能満載で8万円を切る価格は注目だ |
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24bitのAD/DAコンバーターを採用したマルチエフェクター『VF-1』。DSPによって物理モデリングを行なったアンプシミュレーターも搭載する |
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エレクトロニックドラムは同社が注力している製品のひとつ。新しいドラム専用音源モジュール『TD-8』も新製品として展示された。 |