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「新たな株式市場の登場でベンチャー企業に資金調達の道が開け始めている」――“TIME24 VENTURE FESTA99”から

1999年10月07日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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情報通信ベンチャー企業の事業や技術を発表する場として開催されたイベント“TIME24 VENTURE FEST99”で、“ベンチャー企業の成長資金調達の最新情報”と題した講演会が開かれた。日本でもナスダック・ジャパンなどベンチャー向け株式市場が誕生しつつあり、これまで難しかった資金調達が楽になりつつある、との指摘に、聴講者は熱心に耳を傾けていた。

「日本の株式市場は、大蔵省が投資家と証券会社と手をつないで横断歩道を渡っているような子供の市場だったが、ベンチャー向け市場の台頭で変わりつつある」と語る出縄氏「日本の株式市場は、大蔵省が投資家と証券会社と手をつないで横断歩道を渡っているような子供の市場だったが、ベンチャー向け市場の台頭で変わりつつある」と語る出縄氏



講師はディー・ブレイン(株)の会長兼CEOを務める出縄良人氏。出縄氏は38歳。'93年にベンチャー企業向けコンサルティング会社(株)ディー・ブレインを創業し、'97年にはディー・ブレイン証券を設立、未公開株式市場“VIMEX(ヴァイメックス)”の運営を開始。現在、VIMEXでは6社の株式が取り引きされている。

出縄氏はまず、ベンチャー企業が突き当たる課題として資金、人材、マーケティングの3つを挙げた。そのうち資金確保では、銀行融資には担保力と健全な財務内容が必要となるため中小企業では難しく、かといってベンチャーを支援する個人投資家やベンチャーキャピタルも日本には少ない、と指摘。だが米国NASDAQの日本版であるナスダック・ジャパンの進出や、東証が計画しているベンチャー市場などが相次いで名乗りを挙げ、「今までの店頭市場とは異なる、新しいルールに基づく新しい市場が生まれつつある」とした。

ナスダック・ジャパンではマーケットメイク制が導入される。これは、証券会社が売り、買いの価格を提示し、売り注文を受ければ買い注文がなくても証券会社の責任で注文を引き受ける、というもの。通常は売り注文を出しても買い注文がなければ売ることができない。そのため、ベンチャー企業株を買っても売ることが難しく、そのため投資も進まない。出縄氏は「日本でもマーケットメイクが導入されることで、資金の流動性が高くなる。ベンチャー企業にとってはチャンスとなるだろう」と語った。

最後に、「ソニーの盛田昭夫名誉会長が亡くなったが、ソニーも最初はベンチャー企業だった。21世紀はベンチャー企業の時代であり、ベンチャーが伸びなければ日本も伸びようがない。あまり国が頼りにならない以上、民間が民間を伸ばしていく市場を創りたい」と締めくくった。

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