このページの本文へ

日本電気、インターネットに焦点を合わせ、カンパニー制を導入--平成11年度上期および通期の予想業績も発表

1999年09月30日 00時00分更新

文● 編集部 高柳政弘

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本電気(株)(NEC)は28日、インターネットに焦点を合わせた経営改革と、平成11年度('99年度1月~6月)上期および通期の予想業績を発表した。この経営改革は、NECグループをインターネット中心の事業構造に再編成することを目的にしたもの。

同社社長の西垣浩司氏は、「今年度の予想連結売上高5兆円のうち、20パーセント強の約1兆1000億円を占めるインターネット関連事業を飛躍的に拡大させ、2001年度には売上高約3兆円の事業規模を目指す」と語った。同社では、NECグループ全社においてインターネット関連の事業を推進することを目的に、西垣社長直轄の“インターネット事業戦略室”を10月1日付けで設置する。

また西垣氏は、同社が運営するインターネットサービス事業“BIGLOBE”をNECグループ全社の中心に据えることで、インターネットビジネスを攻略していくことを強調した。BIGLOBE事業を強化することで、2002年までに1000万人以上が集うコミュニティーとマーケットを構築するという。同社では、BIGLOBE事業やEビジネス事業、アウトソーシング事業などを再編成した“ネットワーク&サービス部門”を新設する。なお、BIGLOBE会員数は現在272万人で、'99年度の見込み売上は370億円。

さらに、西垣氏は「(NECの)インターネットのインフラ事業は、世界でも5(本の)指に入っている」と述べ、インターネットに対応した経営改革に向けての意気込みを示した。

NEC社長の西垣浩司氏
NEC社長の西垣浩司氏



同社は、10月1日付けで“各カンパニーの設立準備室”、並びに全社的な経営革新施策の推進を担う社長直轄の“経営革新推進室”を設置。カンパニー準備室長の下で各カンパニーの具体的な事業戦略を立案していくとともに、全社的な変革・移行計画の立案および実行を進めていくという。

社内カンパニー制の導入は2000年4月を予定。それに伴い、企業/個人/官公庁向けにインターネット・ソリューションを提供する“NECソリューションズ”、ネットワーク・オペレーター向けにインターネット・ソリューションを提供する“NECネットワークス”、インターネット産業を支援するデバイス・ソリューションを提供する“NECエレクトロンデバイス”という3つのカンパニーを設立する。

各カンパニーの現時点での事業規模および人員規模は、NECソリューションズが約2.2兆円/約5万人、NECネットワークスが約1.5兆円/約4万人、NECエレクトロンデバイスが約1兆円/約4万人になるという。

それぞれのカンパニーには営業部門、開発部門と生産部門を置き、カンパニー毎に責任を徹底できる一貫した体制を作るという。また、規定の範囲内であれば本社を通すことなく、カンパニー内で意思決定を下せるようにする。

同社では、カンパニー制による事業執行を強化するため、カンパニー・オフィサー(執行役員)制度を導入する。併せて、2000年度からカンパニーの業績を開示することで、執行役員の結果責任を明確化するという。

このカンパニー制に合わせ、NECグループを統括する“コーポレート機能(本社機能)”も再編される。カンパニーへの大幅な権限移譲を促進するため、現在の本社スタッフ約2200名を、約300名に削減する。また、コーポレート機能には、次世代情報流通サービスの研究を強化するため、“インターネット情報サービス研究部門”が新設される。

取締役会の改革としては、現在37名いる取締役を半減し、基本的経営戦略の策定と、カンパニーにおける事業執行の監督に専念する。これまで同社には、取締役会長および社長の定年制度はなかったが、今回新たに両者の定年を70歳と定めた。

平成11年度上期の売上は6パーセント増

同社が発表した平成11年度上期('99年1月~6月)の業績予想によると、NECグループの連結売上高は2兆2500億円(前年同期比6パーセント増)。日本電気単独の売上は1兆7500億円(前年同期比3パーセント増)。通信ネットワーク機器の売上は減少したものの、携帯電話やパソコン、テレビの出荷が好調だったとしている。また、NECグループ連結の純利益は500億円の損失で、通信ネットワーク機器の売上減やメモリー価格の下落によるものとしている。NEC単独の純利益は、株式評価損戻しなどの特別利益を計上したことにより、ゼロを見込んでいるという。

平成11年度通期は売上5パーセント増

同社発表の平成11年度の業績予想によると、NECグループの連結売上高は、5兆500億円から5兆円に下方修正され、前年同期比5パーセント増となっている。下方修正の理由は、携帯電話、パソコン、テレビ、LSIの売上が好調だった半面、半導体メモリーや海外向け通信機器の売上が大幅に減少したため。NEC単独の売上は3兆8300億円で、前年同期比4パーセント増。

同グループの連結純利益は、250億円から100億円に下方修正された。これは、円高やメモリー価格の下落に加え、NECホームエレクトロニクス(株)など子会社のリストラ費用など約1000億円の特別損失を計上するため。また、NEC単独の純利益は、550億円から300億円に下方修正された。この要因は、子会社リストラなどに伴う約1800億円の特別損失を計上したほか、株式や不動産の売却益、株式評価損戻しなど約1500億円の特別利益を計上するためだとしている。

NECホームエレクトロニクスは、テレビやビデオなどの家電事業から撤退し、ディスプレー、CD-ROMドライブなどの情報機器中心の事業に転換していた。だが、台湾や韓国メーカーなどの進出により業績が落ちたため、2000年3月末で事業活動を終了するという。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン