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「電子インクを乗せた電子ペーパーの時代が始まった」――“第2回Large Format Digital Printing Conference'99”から

1999年09月29日 00時00分更新

文● 編集部 井上猛雄

28日、品川プリンスホテルにおいて、コンピューター入出力機器を中心としたハイテク調査会社であるG.S.M.(株)の主催により、“第2回Large Format Digital Printing Conference'99”が開催された。

CAPVenturesのディレクター、David L.Williamson氏(左)とC.Tom Ashely氏(右)。C.Tom Ashely氏はサプライ関係のセミナーを行なった
CAPVenturesのディレクター、David L.Williamson氏(左)とC.Tom Ashely氏(右)。C.Tom Ashely氏はサプライ関係のセミナーを行なった



今回のコンファレンスは、米国のコンサルティング会社CAPVentures、および主催元であるG.S.M.(株)のディレクターがLarge Format Digital Printing分野に関する市場動向や最新製品などを報告した。Large Format Printing(LFP)とは、出力ショップをはじめ、ポスターやPOPデザインを行なうデザイン事務所などを主に対象とした大判プリントのこと。午前中のセッションでは、世界のLFP市場の予測と、LFP用のインク市場に関する報告があった。本稿では午後の2つセッション――“LFP市場最新情報”と“日本国内のLFP市場分析”について、その模様をお伝えする。

出力の大幅な高速化を図ったHP

午後の始めのセミナーは、CAPVenturesのディレクター、David L.Williamson氏より、LFP市場最新情報について報告があった。氏は、この分野で中心的な存在であるHPと、その競合にあたるCanonUSA、ENCADなどのハードウェアを中心にして、新製品を紹介した。

CAPVenturesのディレクター、David氏
CAPVenturesのディレクター、David氏



HPからCAD市場向けに発売されたLFP『DesignJet1000』シリーズは、LFP技術のブレークスルーと言えるものであり、大きな注目を集めた。今年の9月に開催された“Seybold San Francisco”では、このDesignJetシリーズに54インチ幅の新モデル『DesignJet3800』、38インチ幅の『同2800』が加わった。これらはRIPサーバーを組み合わせ、60パーセントの高速化を図ったもので、10月に出荷する。CanonUSAは、今年のSeyboldにおいてワイドフォーマットのモデルを発表した。カッティングシートとロールを備えた36インチ幅の『BJ-W7000』、CAD用途の『同-W3000』などがあり、北米をターゲットに企業向けに市場を開拓していくという。ENCADは、従来からLarge Formatのパイオニア的な存在だった。写真解像度モードで、1時間当たり56SF(平方フィート)という高速出力が可能な60インチ(42インチ)サーマルプリンター『NovaJet700』など3機種を発売した。

このほかに、プロ用途のLFPとして注目したい関連企業にRaster Graphicsがある。“IGAS'99”で発表したばかりの『Bellise Digital Picture Press』は、ピエゾノズルを採用し、720dpiの解像度を見かけ上だが1440dpiに向上できる。CMYKの4色インクに加え、lightC(薄いシアン)、lightM(薄いマゼンタ)の6色を混ぜ合わせるカラーブレンディング技術を利用したもの。

“E-Ink”などの新しい技術も出てきた

インク業界では、Dupontの水性ピエゾインク、シルクにも印刷できるインクセット、速乾性を持つインク、IrisやEPSONのプリンター用に作られたファインアート用インクの話があったものの、特に大きなニュースはないという。

LFP向けの面白い新製品としては、“Wallternatives”がある。“Wallternatives”は“Wall”と“Alternative”を合わせた造語。壁紙などをデジタルで制作するもので、新しい市場として期待できるという。同様にカーペットも制作できる製品や、ラミネート加工などフィニッシングまで対応できる製品も出てきている。

また、今年に入って出てきた新しい技術として挙げられるものに、“E-Ink”がある。“E”は電子的という意味で、あたかも紙の上に乗ったインクのように、素材(メディア)上に電子的に画像を乗せる技術である。すでにプロトタイプができているという。また、XeroxPARCと3Mのジョイントベンチャー企業も、ホワイトボードのようなグラフィックディスプレーで構成する電子ペーパー市場を立ち上げようとしている。

最後に、David氏は「LFPの分野はここ5年で20パーセント以上の成長率があり、今後も持続して成長するだろう。ハードはインクジェットプリンターがメーンになるが、それ以外の方式も現われてくる。メディアはコモディティティーと付加価値のあるものに2極分化していく。OEMベンダーは自社ブランドでは伸びず、サードパーティーが成長していくだろう」と予測して、報告を終えた。

日本では2002年に100億円規模の市場に


次に、G.S.M.(株)のディレクター、増田洋氏が日本市場について報告した。今回のセッションは、グラフィック用途に限り、A0サイズ以上のインクジェットプリンターに的を絞って調査結果を分析したもの。調査は60社のユーザーやベンダーを対象に行なったという。

G.S.M.のディレクター、増田氏
G.S.M.のディレクター、増田氏



ユーザーセグメント別に市場規模を予測すると、現在、LFPのメイン市場になっている“サイン&ディスプレー”分野は、3年後でも相対的なパーセンテージの伸びはなく、印刷/製版向けやデジタル印刷ビジネスが伸びてくると予測している。印刷/製版業では、市場変化にともなってCTP(Computer To Plate)が緩やかに増加してくるため。また、デジタル印刷ビジネスでは、主にデザイナーの業務形態が拡大したり、デジタルフォトビジネスと印刷業務の境界がなくなりつつあることなどを理由に挙げた。また、一般の企業市場については、米国などと比べると立ち上がりは遅くなると予測している。オフィスワーカーが使う状況としては、カラードキュメント制作の一部にLFPを利用できると期待している。

'99年のLFP市場をベンダー別に考察すると、エプソンやキヤノンなど、大手のデスクトップIJP(インクジェットプリンター)メーカーがLFP市場に積極的に参加してきた。エプソンのヘッドがサイン&ディスプレー市場でメジャーとなり、ローランドなどもそのヘッドを使って伸びてきている。また、前述のようにHPは高速機を投入し、業界にインパクトを与えている。全体的には台数ベースで150パーセントの伸びを示しているという。

日本と米国では文化的な相違もあいまって、LFP市場の成長に違いがみられる。国内では不況期を脱し、これから印刷用途向けに広まりつつあるという状況である。オフィス市場での普及が立ち上がるまで少し時間が掛かりそうだが、2002年には100億円以上の市場規模になると予測している。それだけに、最後の日本市場に関するレポートの後は熱心な質問が相次ぎ、参加者の関心の高さを示していた。

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