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【IGAS '99 レポートVol.3】進むフォントメーカー各社のCID対応。モリサワは『ViewFont』でWindowsでの対応を可能に

1999年09月24日 00時00分更新

文● 千葉英寿

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モリサワはWindows向け『ViewFont』、大日本スクリーンは『千都CID』を出品

“IGAS'99”では、フォント関連についてもさまざまな出展が行なわれている。DTP・印刷に絡むフォントの問題であったフォントのエンベッド(PDFファイルでのフォント情報の埋め込み)に関し、モリサワとアドビシステムズ両社での調整が進み、Macintoshプラットフォーム上でのCIDフォントがリリース。一定の解決がなされている。このCIDフォントに関連して、モリサワ、大日本スクリーン製造、フォントワークスなどが出展していた。

(株)モリサワは、Windowsプラットフォームにおいてモリサワ書体を使用できる『ViewFont(ビューフォント)』を中心に紹介していた。

ViewFontは、画面上で文字を確認するための書体指定専用のATMフォント(50ドット換算のアウトライン)。Windows95/98を搭載したWindows PCにインストールすると、アプリケーション上でモリサワ書体を指定でき、これをモリサワCIDフォントを搭載しているPostScriptプリンターで出力できる。

モリサワでは、ViewFontを中心にデモを行なっていた
モリサワでは、ViewFontを中心にデモを行なっていた



ViewFontは、10月14日に店頭販売が開始される予定で、今回、リリースされるモリサワ書体は、中ゴシックBBB、太ミンA101、太ゴB101、見出ゴMB31、見出ミンMA31、新正楷書CBSK1をはじめ、新ゴやリュウミン、じゅんのファミリーなど計26書体。価格はシングルユーザーライセンスパッケージが1万5000円、10ユーザーライセンスパッケージが10万円となる。
 
このほか、Macintosh用のNewCIDフォントやMacintosh用学参対応フォントの『学参フォント』を出展していた。学参フォントは、文部省学習指導要領準拠で、現在
のDTP環境で使用できる。

大日本スクリーン製造(株)は、20日に発売を発表したCID対応のMacintosh用PostScript日本語フォント『千都フォントライブラリー』を出展した。
 
CIDに対応した『千都フォントライブラリー』は、11月11日に発売が開始される。今回発売となる書体は、ヒラギノ明朝、ヒラギノ角ゴシックなど全18書体を収めた『ヒラギノ書体集』、游築(ゆうつき)などを収めた『専用かな書体集』、ケアゲ、ダイゴ、オイケ(いずれも京都の地名)などを収めた『ファンシー書体集』の書体集3種類。

フォントワークスは、開発中のPDF対応外字作成ツールを紹介

フォントワークスジャパンにおいても、楷書系の硬書体である『FW-クレーCID-M』や『明朝体マティスファミリー』の漢字と併せて使う縦組み用かな書体『マティス縦かな』など開発中のCIDフォントなどを紹介していた。
 
しかし、最も来場者の注目を集めていたのは、開発中の外字作成ツール『フォントワークス外字マスター』だ。フォントワークス外字マスターは、同社のクラシックシリーズにマッチした外字が簡単に作成できるもの。さまざまなバリエーションの中から偏(へん)や(つくり)を検索し、最適な幅に設定することができたり、スライダーやコントローラーを動かすだけで、文字幅やはらいの調整が簡単にできる。

作成した外字は、解像度に依存していないので、どんなPostScriptプリンターからも出力できる。また、文字のアウトライン化やPDFファイルへの埋め込みも可能だ。フォントワークス外字マスターは年内のリリースを予定しており、価格は未定。なお、動作するプラットフォームはPowerMacintosh。

フォントワークスの外字作成マスターに多くの来場者が見入っていた フォントワークスの外字作成マスターに多くの来場者が見入っていた



ハイデルベルグは、ユニークなフォントライブラリー検索ツールを出品

日本アグフア・ゲバルトは、7000書体以上を納めた欧文フォントコレクション『Creative Alliance 9.0』を出品していた。

このCreative Alliance 9.0は、AgfaとAdobeの欧文フォントライブラリーやMonotypeClassicsライブラリーに加え、ITC・Panache Typegraphy・T-26・FontHausなどの著名デザイナーによるオリジナルフォントを納めている。なお、Creative Alliance 9.0は、CD-ROM(ハイブリッド)で提供され、クイックアンロック方式で使いたい書体を即座に入手できる。CD-ROM本体の価格は、6000円。書体価格は一書体4500円から。

ハイデルベルグ・ジャパンでも、同様に欧文フォントを『ライノタイプ・ライブラリー』シリーズとして提供している。

こちらもグーテンベルグの時代からネビル・ブロディの'80年代、そして今日至るまでのクラシックからアバンギャルドまでの豊富な書体を収録している。今回の幅広いコレクションを活用できる画期的な検索ツールを出品していた。
 
この『フォントエクスプローラー』は、さまざまな新しい視点でのフォント検索を可能にしている。例えば、“ヒストリーサーチ”では、年代ごとのタイポグラフィーの変遷を確認しながら検索でき、“スタイルとムードサーチ”では、温かい、冷たい、といった抽象的なイメージをもとに検索できる。

しかも、スクリーンフォントをインストールして、一度PDF形式で出力見本シートを作成し、クライアントの確認をとった上で、オーダーできる。デザイナーにとっては、うれしい機能を満載したツールといえる。1パッケージ1万2000円で、1書体のアクセスキーが6000円となっている。

また、“書体で遊ぼう!”をコンセプトに開発された『TakeType No.2 CD』は、テキストタイプからファン、シンボルといった遊び心あふれるタイプまで表情豊かな書体を収録したもので、Macintosh、Windowsどちらでも使える上、ノンプロテクトなので、SOHOやビジネス・グラフィックスでもすぐに使うことができる。1パッケージ4万3000円。

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