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アウストラーダ、インターネット上のVRMLデータをプラスチックで立体出力できる“3Dプリンター”を発表

1999年09月13日 00時00分更新

文● 編集部 小林伸也

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(株)アウストラーダは、VRMLで記述された3次元形状データをプラスチックで立体として出力できる“3Dプリンター”、『E-DARTSインターネットプリンタ』を発表した。液体プラスチックにレーザーを照射して立体を成型する方式。価格は300万円だが、従来の立体プリンターユニットと比べ、製造コストを抑えた分、低価格になったという。

初期の電子レンジのような外観のプリンターユニット(左)。シンプルなつくりで、スイッチ類は電源、レーザーのon/off、扉の開閉つまみの3つだけ
初期の電子レンジのような外観のプリンターユニット(左)。シンプルなつくりで、スイッチ類は電源、レーザーのon/off、扉の開閉つまみの3つだけ



同製品は、Windows 98/NT 4.0搭載パソコンと組み合わせて使用する。ISAバス用の専用インターフェースカードをパソコンに装着し、パラレルケーブルで接続。プリンターユニットの電源はISAバスから供給される。サイズは幅430×奥行き500×高さ515mmで、重さ30kg。

特徴は、インターネット上で公開されている、VRMLで書かれた3D形状のデータを実際に立体化できる点だ。ブラウザーにVRMLのプラグインビューワーを組み込み、サイトからVRMLデータをダウンロード。データを専用ソフトウェアで読み込み、プリンターユニットに立体化出力を命令する。

プリンターユニットの内部。透明なトレーに液体樹脂を流し込み、下からレーザーを照射、その上の黒い台座が立体化が終わった部分を徐々に持ち上げていく
プリンターユニットの内部。透明なトレーに液体樹脂を流し込み、下からレーザーを照射、その上の黒い台座が立体化が終わった部分を徐々に持ち上げていく



プリンターユニットは、液体プラスチックとレーザーを使ってデータを立体化する。液体プラスチックは“光硬化性樹脂”と呼ばれるもので、光を当てると固化する性質を持つ。プリンターユニット内のトレーに液体を流し、そこにレーザーを照射してプラスチックを固めさせ、形状データ通りのモデルを出力させる。

出力された立体物。出力したものからシリコンで型を取り、別の材料で作りなおす、といったことも可能になる
出力された立体物。出力したものからシリコンで型を取り、別の材料で作りなおす、といったことも可能になる



造形できる大きさは最大で200×200×200mm。大きいものだと数十時間、数cmほどの小さいもので10分程度で出来上がるという。液体プラスチックは、同社が日本化薬(株)と開発したもので、1リットル2万円。数cm程度のものなら1個当たり50円ほどで済むとしている。

製品化に当たり、通常の紫外線レーザーではなく可視光レーザーを採用したり、ステッピングモーターをコントロールするパルスジェネレーターをソフトウェアで代用するなど、コスト削減に努力。そのため、数億円から数千万円はする従来製品と比べはるかに安価になったという。

CADによる試作品設計など製造業向けが主だが、医療分野や個人ユースにも応用が可能という。9月中にサンプル出荷を始め、2000年度で200台の出荷を目指している。

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