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「思うように動いて壊れなきゃいいんじゃ」--九州Linuxコンベンション'99 講演レポート

1999年09月07日 00時00分更新

文● 美縞ゆみ子

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福岡県福岡市で9月3日に開催された“九州Linuxコンベンション'99”から、講演の様子をレポートする。第1部では、主催者のラ・ベル・エポック(株)で開発部長を務める古野陽一氏が、“ラ・ベル・エポックのLinux戦略”と題した講演を行なった。

これまでの実績から得た顧客のニーズ

まず古野氏は、ラ・ベル・エポックが展開するビジネスの内容について説明を行なった。同社では、中小企業をターゲットとしたシステムコンサルティング、プログラムの開発と導入、メンテナンスといったサービスを提供しているという。導入実績は150~200の業種で、1400社にのぼるとのこと。

そこで必要とされているものは、止まらない/壊れないという“安定”、顧客個別対応や成長対応が可能な“柔軟”、24時間以内にトラブルに対応するスピーディな応答の“保証”、維持管理や互換性の“永続”という4つのポイントであると指摘した。

セミナーの講師を務める、ラ・ベル・エポック(株)開発部長の古野陽一氏
セミナーの講師を務める、ラ・ベル・エポック(株)開発部長の古野陽一氏



続いて古野氏は、「我が社がお客様から要望された言葉をそのまま申せば、“どげん作ってもいいんじゃ。うちのシステムが思うように動いて壊れなきゃいいんじゃ”ということでした」とエピソードを披露。パソコンを使える環境であれば、OSは何でもいいと考えている顧客側の状況を紹介した。

その上で、「Linuxをサーバー、端末をWindows98とし、それに業務用ソフトとインターネットを融合させたシステムの提供を開始した」という。この8月には6件の導入があり、そのいずれも問題なく動いているとのこと。今後は、1ヵ月に5件から10件くらいの導入事例が出るだろうと予想した。

WindowsNTからLinuxへ

WindowsNTについては、さまざまなトラブルについて紹介。そこから、“OSにとっていらないもの”として、次のような項目を挙げた。
・存在感のあるOS--ハングアップしては、システム管理者の注意を促す
・分岐不能な新機能--Windows95に付属したIE4.0によるアクシデント
・あてにできないサービス--WindowsNT4.0のサービスパックによるトラブルや、サポート電話の対応
・短命な開発環境--未だにVBはVer.3から4が主流のままという現状

以上を踏まえ古野氏は、「UNIXでは1年くらい止めないのは当たり前。5年間トラブルなく走り続けた実績もありました」とUNIXの優位性を紹介した上で、「ですが、UNIXには専門的な知識が必要」と指摘。そこで、「ソースがオープンとなっているLinuxを、中が見えるOSとして注目した」と語った。また、サポート面については、「メールで質問すれば世界中から回答が来るという、聞ける人が多いという条件も大きな意味がありました」と、Linuxならではの優位性をアピールした。


あくまでも現実を重視したビジネス展開を目指す

このようにLinuxの長所をアピールした古野氏だが、導入にあたっての問題点も指摘した。現状では「プリンタードライバーなどはWindows対応がほとんどで、周辺機器の面倒はWindowsに見てもらったほうが都合がよい」という現実を指摘し、サーバーはLinuxでも、クライアントはWindowsという導入例が多いことを紹介した。

ラ・ベル・エポックのブースでも、クライアントはすべてWindows 98だった
ラ・ベル・エポックのブースでも、クライアントはすべてWindows 98だった



だが、現状では「お客さんがWindowsでネットワークの設定を切ってしまうというトラブルがある」という。「再設定は時間が掛かってしまうので、これには困っている」というトラブルについても言及した。

最後に古野氏は、「ソフトとハードが安い分、本当の価値あるサービスにお金がかけられるという考え方、真の価値あるサービスを提供できる時代が到来した」と語り、サービスの提供に需要が集まるであろうことを指摘、講演を締めくくった。

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