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【Seybold San Francisco 99 vol.3】アップルがスーパーコンピューター級の新機種、Power Mac G4を発表

1999年09月01日 00時00分更新

文● 林信行

米時間8月31日午前9時、カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の“Seybold Seminars”の基調講演にアップル社暫定CEO、スティーブ・ジョブズが登壇した。数々の新発表があった講演だが、中でももっとも重要なのがプロ用デスクトップMacの新世代機、Power Mac G4の発表と同機専用につくられた22インチTFT液晶ディスプレー“Apple Cinema Display”だ。

基調講演でPower Mac G4と22インチTFT液晶ディスプレー“Apple Cinema Display”を発表するスティーブ・ジョブズ
基調講演でPower Mac G4と22インチTFT液晶ディスプレー“Apple Cinema Display”を発表するスティーブ・ジョブズ



複数データを一括処理するSIMD機構“Velocity Engine(コード名:AltiVec)”採用の“Power Mac G4”

Power Mac G4は一見しただけでは現行機種のPower Mac G3に酷似しているが、注意深く見ると、半透明の白色プラスチックからうっすらと覗いていた力強い“G3”の文字が消えている。また白とブルーベリー(青色)からなる筐体色は、シルバー(かなり明るめの銀)、グラファイト・グレー(ややすすけた感じの灰色)、クリアー(透明)の3色で塗り替えられた。

内部仕様に目を向けるとさらに多くの違いが隠れている。同機の最大の特徴は、その名前の由来にもなっている“PowerPC G4”と呼ばれるCPUだ。PowerPC G4は現行の他のMacが採用するPowerPC G3とは一線を画す新世代プロセッサーとして位置づけられている。PowerPC G4はマルチプロセッシング(複数CPUを使った並列処理)対応やキャッシュメモリー仕様の強化など数々の機能強化が施されているが、中でも最も重要なのは複数データを一括処理するSIMD機構、Velocity Engine(コード名:AltiVec)を採用したことだ。

Velocity Engineを有効活用した場合、同CPUは1ギガフロップス以上の処理能力を定常的に保ち、ピーク時には4ギガフロップス(注)を達成する(Pentium IIIはピーク時で2ギガフロップス程度と言われている)。

米国の輸出規制ではこれは(パソコンとしては初めて)スーパーコンピューターと同等に分類される。そして、軍事目的での利用が考えられる国々への輸出は制限されている(もちろん日本からなら輸入が可能だ)。



Power Mac G4の外観
Power Mac G4の外観



Pentium IIIの性能の2.9倍――歴史上はじめて米国政府はパソコンを兵器扱いにした

ジョブズはこうした背景を捕らえて作成した同機の広告を披露した。
 
内容は「歴史上はじめて米国政府はパソコンを兵器扱いにした」というナレーションに続いて5台の戦車がPower Mac G4を取り囲み、「米国国防総省はこのパソコンが悪の手に落ちないように守っている」と続く。最後は「なお、Pentium PCは無害だ」というオチで終わる。

講演の大半はスーパーコンピュータークラスとされる同機のパフォーマンスの実証に割かれた。ジョブズによれば、アップルは社内でインテル社がPentium IIIの性能を誇示するために開発したベンチマークテストと同じものをPowerPC G4に移植し実行したところ2.9倍の性能を達成したという。

続いて同機が「あなたがた(注:Seyboldは電子出版関係の見本市)の大半が使っているPhotoshopを実行する最強のパソコンとして設計した」と語るジョブズは、Photoshopを使った一連の自動処理の実行パフォーマンスを600MHz Pentium IIIを搭載したWindows機と比較した。結果は一目瞭然で、G4ではおよそ1分間で終了した処理が、P-III機ではおよそ2分20秒以上かかっていた。G4は動画圧縮などを含むつづくいくつかのテストでもコンスタントにP-III機の倍以上の性能を保ち続けた(同様に従来のG3機との比較では3~8倍高速であることも明かされた)。

もっともPowerPC G4の真価を発揮するにはソフト側をVelocity Engineに最適化する必要がある。ある資料によれば、Mac OS 8.6は既に一部Velocity Engineのための最適化が施されている。さらにアップルはPower Mac G4全機種にVelocity Engineに最適化したPhotoshop用プラグインをバンドルする。

Power Mac G4に搭載する2タイプのロジックボード

Power Mac G4にはビデオチップ(RAGE 128及びRAGE 128 PRO)を66MHz/32ビット仕様のPCIバスを通して接続したタイプと、2倍速のAGPで接続したタイプの2タイプがある。

基本的に前者は現行のPower Mac G3と同じ“Yosemite”というコード名のロジックボードを、そして後者は“Sawtooth”というコード名の新開発のロジックボードを採用していると言われている。

Sawtooth採用モデルは加ATIテクノロジー社製最新ビデオチップ、RAGE 128 Proを2X AGP経由で搭載し、Macとしては初めてUltra ATA/66インターフェースも採用している。また外部機器接続用の2つのFireWireポートに加えて内蔵機器用のFireWireポートが1つ用意されたなどの改良が加えられ、さらにデスクトップ機では初めてアップルのワイヤレス通信技術であるAirPort(IEEE 802.11a準拠、1Mbps。iBookが初採用)に対応する(それに加えてソフトウェアでDVDのデコードを行ない、デジタル形式のビデオ入力をサポートするのもSawtoothの特徴だ)。これまでのYosemiteロジックボードでは2つのUSBポートあわせたデータ転送量が最大12Mbpsだったのに対して、Sawtoothでは2つで合計24Mbps(つまりUSBポートが別系統になっている)を実現している。



カバーを開けたPower Mac G4と内
カバーを開けたPower Mac G4と内



アップルが発売するPower Mac G4は合計3モデル

400MHzのPowerPC G4を搭載する最下位モデルは講演の直後から発売が開始され(ただし、まだほとんどのショップに入荷していないようだ)、価格は1599ドル。Yosemiteロジックボードを採用している。1MB(200MHz)の2次キャッシュ(バックサイドキャッシュ)を搭載し、メモリー搭載量は64MB(最大1GB)、ハードディスク容量は10GB(Ultra ATA/33)と2つのFireWireポート、2つのUSBポートを持つ。

450MHzのPowerPC G4を搭載した中堅モデルは2499ドルで出荷は今から数週間後(AppleStoreでは30日後となっている)。同モデルはSawtoothロジックボードを採用しており、2次キャッシュは1MB(225MHz)。メモリー搭載量は128MB(最大1.5GB)、RAGE 128 Proは2X AGPで接続され、20GBのハードディスクはUltra ATA/66で接続されている。CD-ROMドライブの代わりにDVD-ROMドライブとZipドライブを標準搭載し、FireWireは3系統(内部:1、外部:2)、2つのUSBポートはそれぞれが最大12Mbpsでの通信が可能。さらにオプションでAirPortや24ピンのDigital VIsual Interface(DVI)端子を使うApple Cinema Display(後述)への接続も可能だ。

500MHzのPowerPC G4を搭載する最上位モデルは450MHz機からさらに数週間遅れて発売が開始され(AppleStoreでは60日後となっている)価格は3499ドル。ロジックボードはSawtoothで、 ATI RAGE 128 Proは2xAGP接続。256MBのメモリー(最大1.5GB)、27GBのハードディスク(Ultra ATA/66)、DVD-RAMドライブ、ZIPドライブを標準搭載する。FireWireは3系統で、2つのUSBポートはそれぞれが最大12Mbpsで通信可能。AirPortやApple Cinema Displayといったオプションにも当然対応している。

ディスプレー製品シリーズも一新、新開発液晶モニター“Apple Cinema Display”も発表

アップルはPower Mac G4の発表に合わせて同社のディスプレー製品シリーズも一新した。現在、発売されている15インチ(液晶)、17インチ、21インチの3つのApple Studio Display(21インチは日本では未発売)はすべて新Power Mac G4と同色に塗り替えられ、15インチ液晶モデルが搭載していたADBポートはUSBポートで置き換えられた。

さらにアップル社はまったくの新開発液晶モニター、“Apple Cinema Display”も発表した。同製品は最大1600×1024ドット(1670万色)の表示を実現する22インチのTFT液晶モニター(CRTに換算して24インチ相当)。Power Mac G4にあわせた配色で、大きさも同機を一回り小さくした程度。

視野角は水平垂直共に160度。2ポートのUSBハブ機能を内蔵している。価格は3999ドルで10月1日から発売開始。ただし、数量は限られているので、販売はApple Store経由でのみ行なわれ、しかもPower Mac G4とのセットでしか発売されない。

執筆時点では各製品の国内での発売予定、仕様、価格などについては明かされていない。

新開発液晶モニター、“Apple Cinema Display” 
新開発液晶モニター、“Apple Cinema Display” 

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