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海外からも多数が参加。“MSPサマースクール”ついに開催

1999年09月01日 00時00分更新

文● 文:Yuko Nexus6 写真:赤松正行+IAMASスタッフ

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「濃い、濃い! こんな濃い講習は初めて」、「今日1日で習った内容だけでも、独学したら何年もかかりそうだ」――国際情報科学芸術アカデミー(略称IAMAS、岐阜大垣市)で8月25日~29日の5日間にわたって“MSPサマースクール”が行なわれた。

充実した濃い講義に内外からの参加者

作曲、音響制作のみならずメディアアートの分野でも幅広く活用されているプログラミング環境『MAX/MSP』の講習会ということで、70余名が参加。首都圏、中京、関西はいうに及ばず九州、はては香港、オーストラリアからの参加者も。作曲を学ぶ学生や現役の音楽家、メディアアーティスト、大学教授、教師、楽器メーカーの研究職などそのプロフィールはさまざまだ。しかし何もMSPは音楽や芸術分野だけの技術ではない。

IAMAS構内からかき集めた色とりどりのiMacが並ぶ。PowerBook持ち込みの受講者も多く、実地にMSPを触りながらのワークショップとなった IAMAS構内からかき集めた色とりどりのiMacが並ぶ。PowerBook持ち込みの受講者も多く、実地にMSPを触りながらのワークショップとなった


「本当にいろんな人がMSPを使ってるんですね。びっくりしたのはYAMAHAの人が来ていたんだけど、楽器じゃなくてバイクの方。バイクの排気音を合成したりシミュレートするのにMSPを活用しているそうです」(受講者の1人、メディアアーティスト前林明次氏談)――こうした幅広い受講者たちが、連日午前午後のワークショップに参加し、夕方からは論文や作品のプレゼンテーションが行なわれる……講義内容の充実もさることながら、受講者同士の交流も盛んだ。「あらゆる意味で勉強になった」、「マニュアルに書いてあるけれど、実は皆が気づいていないTipsを実例をあげて教えてもらえる。これは収穫だ」と、興奮気味に語ってくれる受講者たち。実りの多いサマースクールだったようだ。

MSPの開発者ディビッド・ズカレリ氏に訊く

では、講師の声も聞いてみよう。MSPのワークショップは本国アメリカではたびたび行なわれている(ニューヨーク州バッファロー、カリフォルニア州バークレーなど)。そこでの体験と、今回初めて日本で行なわれたスクールの内容についてズカレリ氏、スタック氏に感想を求めた。

このサマースクールのために初来日したMSPの開発者ディビッド・ジカレリ氏 このサマースクールのために初来日したMSPの開発者ディビッド・ジカレリ氏



やはり米国から来日のレスリー・スタック講師。MSPの数あるTipsを披露した講義内容が人気だった やはり米国から来日のレスリー・スタック講師。MSPの数あるTipsを披露した講義内容が人気だった



自らもMSPを操るアーティスト、モーリー・ロバートソン氏が通訳として活躍 自らもMSPを操るアーティスト、モーリー・ロバートソン氏が通訳として活躍



スタック氏(以下S)「アメリカでは講義の最中でもばんばん質問がくるね。その点でははやり日本の生徒はシャイかな?」

ズカレリ氏(以下Z)「でもバカげた質問は少ない(笑)。それに講義の後とか積極的に僕に話し掛けてくれたし、いいコミュニケーションが出来たと思う」

S「コミュニケーションという点では、僕の授業ってほんとは9割がたジョークなんだよね(笑)。でもここは日本だからあまり英語のジョークを連発してもしょうがない。しかしモーリーの通訳は素晴らしくて、僕らをとても助けてくれた。あとはそうだな……アメリカだと講義の合間に美味しいクッキーとコーヒーでブレイクするんだけど、それがちょっと……」

Z「しかたないさ(笑)。でも僕は日本が気に入ったな。蒸し暑い日本の夏も、カリフォルニアから来た僕にはいい気分転換になったよ」

「また来年もこのサマースクールをすることになったら、来てくれる?」という質問には、2人とも即座に「もちろん!」と答えてくれた。

『Sound & Recording Magazine』誌でMSP講座を連載中の佐近田展康氏(右)もプレゼンテーションに登場。左は本講座の企画者赤松正行氏 『Sound & Recording Magazine』誌でMSP講座を連載中の佐近田展康氏(右)もプレゼンテーションに登場。左は本講座の企画者赤松正行氏



講師の面々。右手前から時計回りに、パリから駆け付けた後藤英、三輪眞弘IAMAS教授、モーリー・ロバートソン、レスリー・スタック、ディビッド・ジカレリ、赤松正行(敬称略) 講師の面々。右手前から時計回りに、パリから駆け付けた後藤英、三輪眞弘IAMAS教授、モーリー・ロバートソン、レスリー・スタック、ディビッド・ジカレリ、赤松正行(敬称略)


8月とはいえ、平日を含む5日間みっちりの講義ということで、参加を諦めた社会人が多かったようだが、米国ではナイトスクールも開かれているようだ。IAMASの環境(マシンの充実、有能なスタッフ)は素晴らしいが、今後はより参加者の集まりやすいロケーションで、夜間セミナーというのも考慮されればなお良いだろう。

今回のサマースクールでの成果が、今後どのように生かされていくか注目していきたい。

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