昨年このサイトで紹介した『メディアキャンプ』が、今年も兵庫県三田市で23日~25日に開催された。主催は『子どもとメディアを考える会』(愛称e-kids)。キャンプとメディアを結びつけたこの試みは、去年親子を対象として開催されたが、今年は子ども向けのコースが加えられた。この子ども向けのメディアキャンプを取材した。
ハイキングで発見したものをデジタルカメラで撮る
デジタルカメラを手にハイキング |
このキャンプには、兵庫県下から集まった子どもたち5人が参加した。自分たちでテントを設営し、森の中で取ってきた素材でクラフトを作ったり、デジタルカメラを手にハイキングしたりする。子どもたちは、めいめいに関心を持った虫や植物をカメラに収めた。また、池でカヤックに乗ったり、夜には映画を見たり、と3日間にわたって自然と戯れた。子どもたちが撮った写真は、e-kidsのホームページに掲載されている。
森で取ってきた素材でクラフト作り |
このキャンプの特徴は、キャンプ場の一角に3台のマックが置かれていることだ。マックには絵本ソフトや『マルチメディア昆虫図鑑』などが入っていて、子どもたちはいつでも自由にこのマックに触れることができる。とはいえ、大人たちがコンピューターの操作について講義するわけでも、コンピューターを触る時間を設けるわけでもない。子どもたちは関心を持った時に勝手にコンピューターの前に座り、リーダーの操作を見よう見真似で覚えるのだ。
コンピューターに向かう子どもたち |
こうしたキャンプの特徴は、主催者の松田総平氏(学校法人『豊中文化幼稚園』主事、『子どもとメディアを考える会』代表)の考え方に基づく。
松田氏は、プログラミング言語『Logo(ロゴ)』に出会ったことから、幼児教育とマルチメディアを結び付けるアイディアを思い立った。Logoとは、'67年頃にシーモア・パパート教授(マサチューセッツ工科大学)らによって開発された教育用プログラミング言語で、これによって子供たちは、コンピューターを通じて図形や数値などを簡単に覚えられる。
松田氏は、この言語と出会ったことによって、コンピューターを幼児教育に取り入れることにで、子どもに創造的な教育が提供できるのではないかと考えたという。
松田総平氏 |
「子どもたちは、コンピューターを抵抗なく受け入れていますか?」という記者の質問に対して松田氏は次のように答えた。「コンピューターに抵抗を持つというのは、大人の考え方だ。子どもは植物や動物であろうとコンピューターであろうと、目の前にあるものはどんどん受け入れていきます。」
松田氏は、メディアキャンプのほか、子どもたちのデジタル・メディア・クラブ『イーキッズ(e-kids)・クラブ』や、園舎を持たない幼稚園『森のようちえん』などの活動をしている。今後は長期療養中の子どもたちのために、メディアを使った企画を提案していきたいという。
e-kidsは、子育て中の母親にメディアの利用法を提案する会『マウスハウス』が前身で、20日に、NPO法人として登記を済ませた。現在は関西を中心として約200人の会員がいるが、他の団体と連携するなどで活動を広げていく方針だ。</honmon>