このページの本文へ

【夏季特別企画 Windows編 Vol.3】「パソコンを“道具”として使うなら、Windows 2000は割といいOSだと思う」

1999年08月18日 00時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷


現在Winodws 2000 β3を使ってバリバリ執筆活動を行なっておられるライターの本田雅一氏をお招きし、Windows 2000に関するお話を語ってもらってきた夏季特別企画Windows編もいよいよ最終回。今回は、一般ユーザーがβ3を使用する際の注意点などをずばりうかがった。

Windows 2000 β3は“お薦め”か?

本誌編集部「8月下旬に、一般ユーザー向けのβ3評価プログラムの公募がマイクロソフトのウェブサイト上で始まり、9月以降には実際にβ3の提供が開始されるということです。いよいよ一般ユーザーもβ3を使用できるわけですが、はっきりいって、お薦めですか」

本田「ちゃんと動くパソコンだったらね」

本誌編集部「ちゃんと動かないパソコンもあると(笑)」

本田「僕がマイクロソフトでOS作ってるわけじゃないから、はっきりしたことはわからないけど、ある程度ターゲットとするパソコンを限定しながら開発を行なうはずなんですよね。そこから互換性を高めるための努力をいろいろする。英語版の製品版の完成が年内ということですし、出荷はおそらく来年でしょう。そういうことを考えれば、これから製品版に向けて互換性を上げていくという感じじゃないですかね。

デスクトップパソコンであれば、かなりの確率でインストールはできると思うんですよ。ただ、当たり前のことですけど、自分でインストールして失敗したときに、復帰できないような人はやらないほうがいいですね。

それから、特にノートパソコンの場合に気をつけたいのは、BIOSの作成日付が'99年となっていると、Windows 2000のインストーラーはACPIモードで動作すると認識して、ACPIモードでインストールしようとするんですね。ところが実際には、'99年作成日付のBIOSでも、ACPIでWindows 2000と互換性のないパソコンってあるんですよ。だから、なるべく最新のBIOSにアップデートすること。

デスクトップ型のマルチプロセッサー対応マシンでも注意が必要です。マルチプロセッサーシステムは、本当はそのままインストールできるはずなんだけど、中には互換性のないものがあって、マルチプロセッサーシステムでインストールできないことがあるんです。それは自動的にマルチプロセッサーシステムとして判断されているからうまくいかないのであって、それを手動で標準PCとしてインストールすると、ちゃんと動作します。もちろんプロセッサーは1個しか動かないけど。こういった工夫をすれば、何とかインストールはできるかな。

Windows 2000が、どういうパソコンで動いているかというコンパチビリティーリストがマイクロソフトのウェブサイトに載ってますから、そういうのを参考にしてください。心配なら、互換性があると確認されていないものにはインストールしないようにすればいいんじゃないでしょうか。まあ、時間ある人は、いかようにしてもチャレンジしてみたらいいと思います(笑)」

本誌編集部「何しろOSのβ版ですから、1台しかない仕事用のマシンにいきなりインストールするのはやめたほうがいいですね。私はやりますけど(笑)、確かにお薦めできません」

本田「少なくとも、バックアップを自分で取って、入れ直すことができるとか、ちゃんとホワイトペーパーを読んで、今までのWindows 98とちょっと使い勝手が違う部分があるけど、なんで違うのかなっていうように、探求する心がある人じゃないと、使うのはあまりお薦めはしないですね。でも、偏見を持ってβ版を見るんじゃなくて、実際にちゃんとそれを使って、何か自分なりにメリットを見いだそうっていうんだったら使うといいんじゃないですか。

繰り返しになるけど、動かなくてもβ版だから仕方がない部分はある。そういう意味では、誰にでも薦めるということは絶対したくないですね。Windows 2000のβ版は、Office 2000のβ版とはちょっとわけが違いますから。それがうまく動かないと、パソコンそのものの動きに不具合が起きますから、分からない人はやらないほうがいいと思います」

本田雅一氏:8ビットパソコンの時代から、マイナー機種に愛を注ぎながら細々とパソコンを使っていたものの、オープンなハードウェア環境に憧れてIBM PC/AT互換機の世界に足を踏み入れる。それ以後、無謀にも専業フリーライターへと転職し、企業向け情報技術関連のニュース、動向などの記事を書きながら、個人向けデジタル製品にも手を出しつづけている 本田雅一氏:8ビットパソコンの時代から、マイナー機種に愛を注ぎながら細々とパソコンを使っていたものの、オープンなハードウェア環境に憧れてIBM PC/AT互換機の世界に足を踏み入れる。それ以後、無謀にも専業フリーライターへと転職し、企業向け情報技術関連のニュース、動向などの記事を書きながら、個人向けデジタル製品にも手を出しつづけている



Windows 2000 β3を使ってゲームを楽しむには?

本誌編集部「知人に、Windows NT搭載のPCワークステーションを購入した人がいて、『Windows 98対応のゲームをやろうとしたら動かない。Windows 98とWindows NTは違うのか』と聞かれたことがあります。PCワークステーションだったらゲームが速く動くと思ったらしくて……」

本田「それはゲーム1本損したとかいうレベルじゃなくて、数十万円のパソコン1台が無駄じゃないかと思うんですけど(笑)。でも、Windows 2000にすれば、ゲーム、動きますよ」

本誌編集部「そうか。こういう人こそβ3を入れるべきかも(笑)」

本田「実際、わが家ではゲームやるときはWindows 2000で動かしてますから」

本誌編集部「そうなんですか」

本田「そう。さっきスピードの話が出たけど、ゲームを動かすだけだったら、今のところWindows 2000のほうが遅いですね。それはドライバーがうまくチューンされてないせいなのかもしれないし、システム的なオーバーヘッドなのかもしれないし、その辺は分からないんだけど。でもね、ちゃんと動いてますよ。

Windows 2000 β3を入れたら3Dゲームは何でも動作するというわけじゃなくて、β3に搭載されているごく一部のグラフィックスドライバーが、Direct3Dに対応してるんですね。そういうドライバーが入っているなら大丈夫。たぶん時間が経てばWindows 2000 β用のβドライバーというのが(笑)、各メーカーから出てくると思うんだけどね。

今、僕が確認しているものでは、ATIはだめだったな。NVIDIAのRIVA TNTは使えるし、3Dfx InteractiveのVoodoo Bansheeも使える。ちゃんとDirect3Dで動きますよ。サウンド系のドライバーは少ないんだけど、BetaOS.comというウェブサイトをはじめとするβ版OSの情報サイトがUSには結構あって、そういうサイトにはWindows 2000 β用のドライバーなんかが用意されている。出所は不明だけど(笑)」

本誌編集部「怪しいなあ(笑)。そういったサイトには、各種ドライバーがあるんですか」

本田「うん、いろいろ紹介されているから。例えば、Sound Blasterのドライバーは、Windows 2000 β3には収録されてないんですよ。それで、そのBetaOS.comに掲載されているリンク先からドライバーをダウンロードして使いましたけどね。まあ、そのWindows NTマシンを買った人はね、Windows 2000で遊ぶしかないよね。

あとね、マルチプロセッサーのマシンを今のうちに買っておけば、Windows 2000にバージョンアップしたときに、ゲームの動作速度が速くなると思っている人がいるみたいなんですよ。確かに、実際に速くなる可能性はありますよ。

でも、今すでに持っているゲームは速くならないです。今のゲームは、マルチスレッドという複数のタスクを同時に動かすようなゲーム設計がされてないから。そういう仕様で開発すればWindowsが自動的に各プロセッサーに負荷を分散させるから、速くなるんだけど。僕がマルチプロセッサーのマシンでゲームを動かして、ずっとモニターを見ていた限りでは、システムの負荷が50パーセントを超えることはなかったから。50パーセントを超えないということは、プロセッサー1個分しか動いていないってことだからね」

本誌編集部「動くけど速くはならないわけですね」

本田「今後、Windows 2000が十分に普及して、ゲームメーカーがそれに対応するようになれば、速くなる可能性はありますよって程度だから。読者からの手紙でよくあるんですよ。サーバー用のすごいマシンが会社にきたんで、それにWindows 2000をインストールしてゲーム動かしたら、すげえ速くなったという(笑)。たぶんそれは、単にそのサーバーに搭載されているCPUが速かっただけだと思います。それより、3Dゲームが動作するグラフィックスボードが企業で使うサーバーによく内蔵されてたなと感心した(笑)」

仕事の道具であるパソコンを“頑張って”使う必要はない

本誌編集部「では最後に、読者に向けてメッセージをお願いします」

本田「Windowsに関しては、マイクロソフトの戦略商品という見方もあるじゃない。だけど、僕は別にマイクロソフトに儲かってほしいなんて思ってないし、Windows 2000が普及してほしいなんてことは思ってない」

本誌編集部「Windowsユーザーは誰も思ってないですよね」

本田「別にWindowsを愛してるわけでもないし(笑)。ただ、道具として、今何を選ぶのかといった場合、Macintoshを選択するのは、申し訳ないけれども現実的な話ではない。で、ほかはというと……」

本誌編集部「ほかに使えるものがないからって感じ」

本田「そう。Linuxも、頑張れば使えるけど、仕事をするための道具を頑張ってまで使う必要はないと思うんです。

こういうのは、宗教みたいなもので、宗派を持つ人は、それを突き詰めていろいろ追い掛けてほしいと思うし、あいつが悪いとか、こいつが悪いといった論争もしてもらえばいい。だけど、単純に道具として考えたときに、今Windowsのアプリケーションを使っていて、今後もしばらくはこれで仕事をしようと考えているのであれば、Windows 2000というOSは、評価する価値があると思いますね。

そうして、最終的にみんながWindows 2000に移行して、システムの安定性が高くなって、さらに周辺機器のドライバーも増えてWindows 98との差がなくなっていけば、ユーザーのメリットにもなる。

それが結局、マイクロソフトの収入というか利益にもなるわけで、それがいやだという人はしょうがないけれど、別にマイクロソフトが儲かろうが儲かるまいが関係なく、どれを使えば、自分がパソコンを道具として使う際に1番便利かな、と考えればいいんじゃないかと思いますね。そういう意味では、Windows 2000は割といいOSじゃないかな」

本誌編集部「長時間、ありがとうございました」

【夏季特別企画 Windows編 Vol.1】「Windows 2000はWindows 98の後継ではない。技術的にはWindowsとUNIXぐらい違う」
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0811/topi05.html

【夏季特別企画 Windows編 Vol.2】「Windows 2000 β3は極めて快調、うちのいろいろなマシンで動いているよ」
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0817/topi05.html

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン