日本電気(株)(以下NEC)は、17日、“テレフォニーオーバーIP”対応の新型コミュニケーションサーバーシステム『APEX3600』を発売した。このシステムは、同社が6月に発売した『APEX7600MMX』(4400万円)より中小の容量に対応する下位機種と位置付けられるもので、利便性・簡易性が向上、価格も50万円と安くなっている。
コミュニケーションサーバシステムAPEX3600 |
同製品は、6月に発表された同社の次世代ネットワークサービスのコンセプトである“PROGRESSIVEUNITY”において、企業通信向けシステムの中核を担う製品。このコンセプトは顧客ごとのニーズに応じて既存のネットワークと調和しつつ進化する次世代通信ネットワークサービスを実現するというもの。同社では同製品の発売によって企業ネットワーク環境が快適になるとしている。
同製品の大きな特徴は、音声だけでなく、局間制御信号をIP化し、インターネット/イントラネットに接続できるIPトランク*を搭載したこと。これによって音声情報のIP化だけを扱う従来のVoIPとは異なり、制御信号のやり取りなどのさまざまなテレフォニーサービスがIP網経由で提供される。
*PBXの局線(外線)側に装着できるインターフェース
また同社は、制御信号方式“FCC-Light(netFusing Call Control Signal-Lighy)”を新開発。これによって、APEX7600MMXとの断絶のないネットワークが可能になり、同社のすすめる“Netfusing構想”(企業内ネットワークで既存網と新しいIP網などを融合しようとするもの)に沿ったテレフォニーサービスが、STM、ATM、IP網のいずれを経由しても提供されることになる。ネットワーク内であれば人事異動などで所属部署が変更しても、番号変更の工事が不要となる“ナンバーポータビリティ機能”や、相手局の内線が話中の際に予約ができる“予約機能”が設定可能になった。
また、同社のコールセンター用ミドルウェア『CTIPRO』などとの連動により、コールセンターや音声、テキストを統合したメッセージサービスが利用可能になる。同社製PHS端末『Carrity-NN』を利用すれば、病院内で複数のナースのPHSを同時呼び出しできる、ナースコールシステムと連動させることもできる。
この製品には、最大128ポートの収容回線数をもつ『APEX3600タイプS』と収容回線が最大768ポートで、デュアルCPUの同『タイプL』が用意されている(CPUの2重化は2000年1月予定)。CPUを交換することで、タイプSからタイプLへのアップグレードが可能。既設の『APEX1000VSII/3000』でも、オプションのパワーアップCPUを装備することで利用できるようになっている。本体サイズはタイプSが、幅約430×奥行き225.9×高さ766.6mm、タイプLが、幅約860×奥行き225.9×高さ1472.6mm。
左よりNEC支配人の木原英晃氏、企業通信システム事業部長の湊大作氏、ビジネス通信事業部長の山本正彦氏 |
同社支配人の木原英晃氏は、同製品の投入によってPBX市場のシェア40パーセントを目指すと発言。1年間の販売目標台数は5000台という。企業通信システム事業部長の湊大作氏はIPの重要性を強調、IPトランクを搭載したコミュニケーションサーバーは業界初であると述べた。
出荷は18日からで、価格は局線6回線、内線24回線という構成で50万円からとなる。周辺端末類は別途必要。