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【Motion Web KANSAI'99】Vol.1 映像系のデジタルコンテンツ市場の活性化をめざすMotion Web KANSAI'99――基調講演から

1999年08月04日 00時00分更新

文● 野々下裕子

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7月30日、31日の2日間、大阪、梅田スカイビルのステラホール会場にて行なわれた“Motion Web KANSAI'99”のレポートをお送りする。このイベントは、関西をベースとするマルチメディア教育機関とマルチメディア系ソリューションを取扱う企業によって設立された“モーション ウェブ カンサイ コンソーシアム”主催によるもので、同団体のキックオフイベントとしても位置づけられている。

映像系のデジタルコンテンツ市場の活性化をめざすもので、会場ではセミナーを中心に、関連企業の製品展示会や、映像コンテンツの制作体験コーナーなどが設けられていた。

セミナー会場を取り巻くように設けられた展示スペース
セミナー会場を取り巻くように設けられた展示スペース



ネットワークエンターテイメントが切り口。月25万ヒットに成長したベンチャー企業

初日の基調講演では(有)ゼンの代表取締役社長、宮田人司氏が出演。同社が運営しているインターネット放送局『MEGATV』やインターネット放送のTVガイドともいえる『キートン・ライブガイド』、そして日本初のオリジナルネットゲーム『バトルビート』などを紹介した。

同社はソフト開発と情報提供、3D CG、音楽開発、プロデュースなどを行なうベンチャー企業。現在はネットワークエンターテイメントを切口に、ビジネスの差別化を進めている。

その1つ、インターネット放送局“MEGATV”は97年8月に開局。YMOの著作権取得、人気タレント、パイレーツを採用したオリジナル番組制作によって、順調にヒット数を伸ばしてきた。さらに昨年9月より、ノンプラグインでストリーミング映像が見られる“エンブレーズ”を採用したところ、月に25万ヒットを稼ぐまでに成長した。

コンテンツの魅力向上に注力

しかし、収益そのものは「まだまだ」と宮田社長は言う。その問題点の1つとして、帯域やプラグインソフトの問題など、ユーザーの環境が整っていないこと、さらに、既存の放送に比べると質が劣るストリーミング放送をがまんしても見たくなるような魅力的なコンテンツが足りない、といった点を挙げた。

とはいいつつ、問題点の1つである「インターネット放送の番組プログラムがない」という部分については、『キートンライブガイド』を立ち上げるといった対応を見せているとも。ページは毎日更新。Internet Explorer4.xのアクティブチャンネル機能を使った『キートン・ライブパッド』などで、ユーザービリティーを高めている。さらに、こちらのサイトでは、広告会社や各種情報系サイトへのコンテンツ販売や、マーケティングデータの収集といったビジネス展開も進めている。

(有)ゼンの代表取締役社長、宮田人司氏。「ないものはつくる」をポリシーに、映像、音楽、ゲーム分野へと幅広い戦略を進めている
(有)ゼンの代表取締役社長、宮田人司氏。「ないものはつくる」をポリシーに、映像、音楽、ゲーム分野へと幅広い戦略を進めている



バイオレンス性を排除した日本独自のゲーム『バトルビート』

3Dアクション・ネットバトルゲームの『バトルビート』については、デモとともに開発秘話が紹介された。「インターネット上でプレイするネットゲームはかなり話題になっているが、どれもアメリカのものばかり。そこで、“ないものは作る”という当社ポリシーのもと、オリジナルゲームの開発に乗り出した」と宮田氏。

アメリカのゲームに多いバイオレンスな要素は排除し、コミカルなキャラクターを採用。ゲーム音楽にも徹底的にこだわり、それをサントラCDとして先行発売したところ、初回プレスはまたたくまに売り切れた。'98年12月のスタートからベータテストを重ね、7月にファイナルベータ版を完成。のべ3万人がダウンロードし、5000人がユーザー登録している。

日本初の3Dアクション・ネット・バトル・ゲームの『バトルビート』のデモを宮田氏。7月にファイナルベータ版を発表したばかり
日本初の3Dアクション・ネット・バトル・ゲームの『バトルビート』のデモを宮田氏。7月にファイナルベータ版を発表したばかり



“web Synth”を使ったビジネス展開も考えていく

さらに宮田社長が、これからのインターネットビジネスの可能性を感じているものに“Web Audio”がある。これは、MIDIデータに加えて肉声などの音声データを同時にストリーミングし、なおかつテキストデータなどが送れるというもの。従来のストリーミングに比べて半分という高圧縮率と、レコーディング環境をそのまま配信できる点が特徴である。

すでにインターネットカラオケなどで採用されており、好評を博しているそうだ。また、その応用技術である“web Synth”を使ったビジネス展開も今後考えていくという。合わせてゼンでは、デジタルコンテンツの流通・課金システムとなる“Dream 2U”を展開中とのこと。今後は、パワーのある関西コンテンツとの連携を図っていきたいというメッセージで講演を締めくくった。

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