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“Meltdown Tokyo 1999”--Windows 98 SEは9月、DirectX 7.0日本語版は8月中にリリースか

1999年07月22日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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DirectXを利用したWindowsゲーム開発者のためのセミナー“Meltdown Tokyo 1999”(マイクロソフト(株)主催)が、今年も22日と23日に東京・港区のホテルで開催された。“DirectX”新バージョン “DirectX 7.0”の機能詳細や、マイクロソフトが米シリコングラフィックス社などと共同で開発中の3DグラフィックAPI“Fahrenheit”についての情報が明らかにされた。

Windows 98 SEはDirectX 6.1、Windows 2000はDirectX 7.0で登場



米マイクロソフトのGroup Product Manager DirectXのKevin Bachus氏は“コンシューマーWindowsチャレンジ”と題した基調講演を行なった。それによると、3月に行なわれたマイクロソフト社内の組織改変にともない、現在DirectX開発部隊はConsumer Windows Divisionの1部門となっている。コンシューマー向けのWindowsテクノロジーのロードマップは、すでに明らかになっているとおり、まず日本語版『Windows 98 Second Edition』が近日中にリリース予定(英語版はすでに出荷済み)、そして来年にWindows 9xベースの“Consumer Windows based on 9x”、そしてその後NTカーネルベースの“Consumer Windows based on NT”でWindowsをNTカーネルに統合するという。一方DirectXについては、ハードウェアの進歩をサポートするため基本的に毎年新バージョンがリリースされる予定という。

ここでWindowsとDirectXのバージョンとの関係だが、Q&Aへのマイクロソフトからの回答も含めて整理すると、8月中にDirectX 7.0がリリースされる見込みで、その後9月に日本語版Windows 98 Second Edition(SE)がDirectX 6.1を搭載してリリースされる。ここでDirectXについては、リリース時期とバージョンの逆転が起こるわけだが、DirectX 7.0をインストールしたWindows 9xをWindows 98 SEにアップデートしても、DirectX 6.1に後戻りすることはないという。また、『Windows 2000』については、DirectX 7.0が実装されてリリースされることが明らかにされた。なお、現在配布されているWindows 2000のβ3では、DirectX 6.1が実装されている。これにより、Windows NTベースOSのDirectXは、Windows NT 4.0のDirectX 3.0から大きくジャンプアップすることになる。さらに、来年リリース予定のConsumer Windows based on 9xには、DirectX 8.0が実装されることも明らかにされた。

また、Bachus氏は「Windowsプラットフォームが常に最新のハードウェアと技術が投入される、エキサイティングで最も優れたゲームプラットフォーム」であると強調し、今後も新しい技術を取り入れつつ、開発コストの削減と、ユーザビリティーの向上を目指して注力していくと述べた。この1例として、6月7日に米国でアナウンスされた、米Shadowfactor Software社の買収に触れた。Shadowfactor Softwareは、マルチプレイヤーでのゲーム中に、プレイヤー同士がボイスチャットできるというゲーム『Battlecom』の開発元で、この“ゲームをしながらボイスチャットできる”という機能は、将来のDirectPlayのリリースでサポートされる予定という。

さらにユーザーの使い勝手の向上については、“Windows Game Manager”機能を強化するという。具体的には、インストール時にHDD容量が足りない場合、ユーザーのアクセス記録から、最も古くかつアクセスされていないゲームのDLLファイルなどを自動的に削除(ゲームそのものをアンインストールするのではない)して容量を増やし新しいゲームをインストールする、といった機能を実現するという。また、制限機能では、子供がプレイする場合などに、親が“1日に3時間”まで遊べるように設定できるようになるという。ただ、これらの機能の詳細についてはまだ検討段階で、ある程度システムのことがわかっているユーザーではユーザー自身に判断させる必要があるのではないか、という意見も聞かれた。

DirectX 7.0の機能

今回のMeltdownで明らかになったDirectX 7.0の機能の主なものを以下にまとめる。新機能には開発者向けのもの(プログラミング上の使い勝手の向上など)も多く含まれるが、ここでは割愛した。

■DirectDraw
液晶シャッターを使った3D表示メガネのサポート
Direct3Dテクスチャーとの密接な統合による表示パフォーマンスの向上

■Direct3D
ハードウェアによる頂点トランスフォーム、ライティング、ブレンディング/スキニングのサポート
キューブ環境マッピング

■DirectSound
3D空間化ソフトウェアアルゴリズムが選択可能になった。このことで、高速なパン/ドップラー(Pan3D)アルゴリズムや、米Human Industories社から“HRTF 3Dオーディオアルゴリズム”の2つのライセンスを取得して利用可能になった

■DirectMusic
DLS(Downloadable Soundfile)2シンセサイザーのサポート
ハードウェアによるアクセラレーションのサポート
WDMでのMPU401サポート

■DirectMusic Producer
ピアノ譜とスタッフ譜を重ねるようなハイブリッド記譜法のサポート
.wavファイルへの合成出力のサポート

■DirectInput
WDMでのゲームポートと入力デバイスのサポート。これによりWindows 98とWindows 2000で同じドライバーが動作
コントロールパネルの改善

■DirectPlay
パフォーマンスの改善により、タイムアウトを削減

■DirectX for VisualBasic
DirectX 7.0のすべての機能がVisualBasicで利用可能になったことで、VisualBasicで簡単にDirectX 7.0を使ったプログラミングが可能に

■DirectXセットアップ
DirectX 5.0以前の古いドライバーを再頒布可能パッケージから削除。これにより再頒布可能パッケージのサイズが減少
インストールをinfファイルベースにし、セットアップ中の再起動時のトラブルを削減

■DirectShow
DirectX 7.0でのアップデートはない

■Windows CE
8月にリリースされる“Windows CE 2.12プラットフォームビルダー”へのアドオン機能として、DirectX 6.1を提供。提供時期は'99年第2四半期
同じく、DirectX 7.0を2000年第1四半期に提供予定

DirectX for VisualBasic によって書かれた部品発注システムのサンプルプログラム
DirectX for VisualBasic によって書かれた部品発注システムのサンプルプログラム



Fahrenheit

マイクロソフトがシリコングラフィックス、ヒューレット・パッカード、インテルと共同で開発中の、ビジネス向け3D APIであるFahrenheitについては、“Scene Graph API”について3月にαリリースが行なわれたが、良好なフィードバックを得ていることが報告され、秋にはβリリースが予定されていることも明らかにされた。また、“Low Level API”については、シリコングラフィックスとスペックの詳細について詰めており、DirectX 7.0への後方互換性を持たせることで、DirectX 7.0からのアップデートを容易にすることなどが計画されているという。リリース時期については未定だが、Fahrenheitの機能はDirectXのアップデートの際に、徐々に取り込まれており、DirectX 8.0でも半分ほどの機能が実現される予定という。残りの機能についてもさらに次のDirectXバージョンで実現の予定ということであった。

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