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AKIBAX’99インターネットショーin 秋葉原 AKIBAX TALK BATTLE~暑さの中で語るデジタル放送の熱い未来!

1999年07月21日 00時00分更新

文● 坂田 恵

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“AKIBAX’99インターネットショー in 秋葉原”(東京・秋葉原電気街振興会主催、7月17日から7月20日)の初日、7月17日昼11時30分から会場内のメインステージで、トークイベント“AKIBAX TALK BATTLE~デジタル放送の未来”が行なわれた。

お馴染みになった秋葉原駅前広場がメイン会場となった
お馴染みになった秋葉原駅前広場がメイン会場となった



第1部“デジタル放送の概要”

前半の第1部では、(株)デジタルガレージ会長の伊藤穣一氏、(株)さくら総合研究所副主任研究員の島田浩志氏、MITメディアラボ客員教授の中村伊知哉氏の3人が、デジタル放送の現状、問題などを語った。

著名な3人によるトークセッション
著名な3人によるトークセッション



まず、島田氏が現状の計画などを説明。放送がデジタル化されることにより、多チャンネル化、画像の高精細度化、情報の双方向化、データ放送などの各種サービスが出現するメリットを語った。また、今後のデジタル化の予定として、まずBS放送が2000年12月にデジタル化、ケーブルテレビは2010年までにすべてのケーブル局がデジタル化、また最近計画が変更された地上波では、2006年に全国でデジタル放送の本放送が開始される予定だという。

デジタル化のメリットについて、口火を切るさくら総合研究所の島田氏
デジタル化のメリットについて、口火を切るさくら総合研究所の島田氏



中村氏からは、アメリカでの地上波のデジタル化について、日本よりも投資額がひと桁少なくて済むのだが、デジタル放送に対応したテレビの販売数が4万台程度だという報告があった。ヨーロッパではデジタル放送を受信するための、セットトップボックスを無料で配布していて、普及を促進しているそうだ。「日本はテレビの国なので、とりあえず地上波をデジタル化してしまうことが重要。アナログの電波を早く空けて、次の使い方を考えるべきだ」と強調していた。

MITの中村教授は海外のデジタル放送事情から日本の取るべき方策を提言
MITの中村教授は海外のデジタル放送事情から日本の取るべき方策を提言



伊藤氏からは「テレビ屋はパソコンが嫌いで、パソコン屋はテレビが嫌い。双方を融合するべきなのに」という難しい現状が指摘され、「両者が混在する秋葉原に可能性がある、幕張(千葉)よりも秋葉原で展示会をすべきだ」と語った。

第2部“コンテンツ制作側にとってデジタル化とは?”

第2部からは、生放送のテレビ出演後に駆けつけた作家の猪瀬直樹氏、日本放送協会総合企画室統括担当部長(NHK BS)竹中一夫氏、日本衛星放送(WOWOW)取締役の中瀬信一郎氏も加わり、コンテンツ制作側からの意見が交わされた。

猪瀬氏は開口一番、WOWOWの中瀬氏に、「黒字経営がやっとできるようになったのに、ここへ来て、またコストの掛かるデジタル放送化をどう思いますか?」とのキツい質問に、中瀬氏は「たしかにコストが掛かるが、WOWOWにとってデジタル化はマスト。サービス向上のために経営的に苦しくてもやるべきことです」と覚悟の一言。NHK BSの竹中氏も10周年を迎え1300万世帯が視聴している現状を踏まえて「“デジタル化へのスムーズな移行”がキーワード」と語った。

気になる受信端末については、現行のハイビジョン対応テレビの価格+α程度(20数万円)だとの予想。アメリカで最初売り出されたデジタル対応テレビは5000~8000ドルで、しかも日本製だったと、中村氏が発言。パラボラアンテナもすべて1つのアンテナで受信できるという話も出たが、中瀬氏から「技術的には難しい」と説明があった。

辛口の質問を浴びせる猪瀬氏
辛口の質問を浴びせる猪瀬氏



NHK竹中氏もスムーズなデジタル化への移行が必要だと言う
NHK竹中氏もスムーズなデジタル化への移行が必要だと言う



インターネットとデジタル放送の融合は?

放送のデジタル化で1番のネックになってくるのが、コンテンツをどうするか? そして放送と通信の融合。中村氏によると、放送のデジタル化で、放送のコンテンツ市場は10兆円から70兆円に拡大する。ここで提案されるのが、インターネットとデジタル放送の融合……。

伊藤氏は「デジタル放送はインターネットと融合しないと、先はない!」と断言。猪瀬氏からの「BS放送のインターネットコンテンツに対する危機感は?」という質問に、竹中氏は「ユーザーが決定すること」との答え(猪瀬氏からは「NHKは余裕がある、民放は大変だよ」との発言も)。 “通信を含めた放送”がデジタル放送のキーワードのようだ。

インターネットと言えば、この人、デジタルガレージ会長の伊藤氏
インターネットと言えば、この人、デジタルガレージ会長の伊藤氏



また、デジタル放送の整備をしているうちに、NTTが光ケーブルを整備してしまうのでは? との猪瀬氏の発言に、伊藤氏は「アメリカのようにユーザーが使いやすい方を選べるくらいになった方がいい」、猪瀬氏も「健全な競争が情報、生活の豊かさにつながる」と、私たちユーザーの心を代弁してくれた。

午前中の開催ということもあり、大盛況とはいかなかったが、暑さの中、出演者も観客も汗だくになりながら、放送のデジタル化の盛り上がりを感じることができた。ただ、残念だったのが、民放局の関係者が出演していなかったことに尽きる。

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