このページの本文へ

サン・マイクロシステムズ、“Java Developer Conference 99 Tokyo”を開催

1999年07月14日 00時00分更新

文● 編集部 綿貫晃

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

パシフィコ横浜で、“Java Developer Conference 99 Tokyo”(JDC99)が、13日から3日間に渡って開催されている。主催は、サン・マイクロシステムズ(株)。これは、6月に米国で開催された“Java One”のキーとなるセッションを中心に、Javaの開発者に向けて開催されるもので、Java技術に関するカンファレンスと開発環境などの展示が行なわれている。

展示会会場。派手な装飾は少なく、地味な印象
展示会会場。派手な装飾は少なく、地味な印象



基調講演や、有料のセッション約70プログラムが行なわれているほか(有料セッションの受講料は3日券が7万8000円)、展示会には44社が出展している。

Javaが今までの経済モデルを大きく変える

第1日目となる13日は、米サン・マイクロシステムズ社の“Distinguished Engineer”であるJim Waldo(ジム・ウォルド)氏が基調講演を行なった。ジム・ウォルド氏は、「短い期間でJavaは成長し、あらゆるところで使われるようになった。電話、自動車、携帯端末にもJavaが組み込まれ、このマーケットは非常に大きくなっている。これらのデバイスは、小さいコンポーネントを必要なぶんだけ追加する形となり、今までの経済モデルを大きく変えるものである。ユーザーは、パッケージソフトを買う必要はなくなり、使ったサービスの分だけお金を払うことになる」と述べた。

今後のJavaについては、「ネットワークがコンピューター利用の中心となる。Javaによってコンピューターや家電が結合され、大きな共同体ができる。21世紀は、共同体のしくみ作りが必要となり、この共同体によって市場は大きく変化するだろう。次の変化はまだ分からないが、どう変わっていくかはあなたたち次第である」と語り、Javaをみんなで作ってくことが必要であることを述べた。

米サン・マイクロシステムズのジム・ウォルド氏
米サン・マイクロシステムズのジム・ウォルド氏



ジム・ウォルド氏はJava 2の新しい3つのEditionについても説明を行なった。まず、通常のソフトウェア管理者を主な対象とする『Java 2 Standard Edition』。企業向けソフトウェア開発者を対象に、Java 2をエンタープライズ分野に拡張した『Java2 Enterprise Edition』。そして、コンシューマー市場を対象とし、超小型機器からセットトップボックスに組み込める『Java 2 Micro Edition』。各Editionはそれぞれの分野に適合した環境を提供し、従来の開発環境を大きく改善できるという。

セッションは、Java技術に関する“テクノロジーセッション”、システムの構築事例に関する“事例セッション”、Java製品に関する“インダストリーセッション”などが行なわれた。

米サン・マイクロシステムズのプロダクトマネージャーであるOnno Kluyt(オンノ・クルイト)氏
米サン・マイクロシステムズのプロダクトマネージャーであるOnno Kluyt(オンノ・クルイト)氏



Java Foundation Classes(JFC)ついてのセッションでは、米サン・マイクロシステムズ社のOnno Kluyt(オンノ・クルイト)が講演を行なった。Javaコンポーネントのプロダクトマネージャーであるオンノ・クルイト氏は、「Java 2で初めてJFCを提供したが、ユーザーからの反響が大きく驚いた。JFCではドラッグ&ドロップやキーバインディングのサポートなどが提供された。今後のJFCでは、サウンドのサポートや、システムのプロパティーも変えられるようにしていく。インターネットユーザーの10パーセントは何らかの障害を持っていると言われているが、障害者にもJavaアプリケーションの操作を可能にするためのJFCを提供していく」と述べた。

Jiniの概要についてのセッションではジム・ウォルド氏が講演を行なった。ジム・ウォルド氏は、「Jiniはインターフェースが同一であれば相手を選ばないため、ハードとソフトの境界線をなくすことができる。ユーザーは、インストールやコンフィグレーションなしに、システムの追加や削除が可能である。また、ハードやプロトコルを意識する必要なくプログラミングができるため、新しいサービスを提供できるようになるだろう。今後は、Jiniを使ってどのようなサービスを提供するかがキーとなる」と述べた。

Kバーチャル・マシン(KVM)

展示会場では、Javaを搭載した機器が数多く出品されていた。特にKバーチャル・マシン(KVM)と呼ばれるVMを搭載した機器に人気が集中していた。KVMは、米サン・マイクロシステムズが米スリーコム社や米モトローラ社などと共同開発したもので、CPU性能や消費電力、メモリ容量などが限られた機器に搭載することが可能なJava仮想マシン。プログラムサイズは80~100KB程度で、ポケットベルなど、超小型機器に搭載することができる。

米スリーコム社のKVM搭載『Palm V』(左)と米モトローラ社のKVM搭載双方向ページャ。『Palm V』は、“Java One”で売られていたものと全く同じもの。この会場では販売されず、触ることさえできなかった。ただし、日本国内で年内に発売する予定があるという
米スリーコム社のKVM搭載『Palm V』(左)と米モトローラ社のKVM搭載双方向ページャ。『Palm V』は、“Java One”で売られていたものと全く同じもの。この会場では販売されず、触ることさえできなかった。ただし、日本国内で年内に発売する予定があるという



実際に動作していたKVM搭載のiモード端末。iモードコーナーがあり、松下通信工業(株)、日本電気(株)、富士通(株)、三菱電機(株)の各社の端末が展示してあった。端末の発売とJavaを利用したサービスの開始は来年の秋を予定しているという。これらは、現在発売しているiモード端末のハード部分に手を加えることなく、フラッシュメモリーを書き換えただけで動作させている
実際に動作していたKVM搭載のiモード端末。iモードコーナーがあり、松下通信工業(株)、日本電気(株)、富士通(株)、三菱電機(株)の各社の端末が展示してあった。端末の発売とJavaを利用したサービスの開始は来年の秋を予定しているという。これらは、現在発売しているiモード端末のハード部分に手を加えることなく、フラッシュメモリーを書き換えただけで動作させている



オムロンソフトウェア(株)のJavaを利用した言語処理システム『Scalable Wnn』を搭載した『WorkPad』。発売の予定はまだないという。このシステムは、今後発売する某社の携帯電話に組み込まれることが決まっているとのことオムロンソフトウェア(株)のJavaを利用した言語処理システム『Scalable Wnn』を搭載した『WorkPad』。発売の予定はまだないという。このシステムは、今後発売する某社の携帯電話に組み込まれることが決まっているとのこと



サンのブースに展示してあった多機能電話機。家庭用品向けのJava実行環境である『PersonalJava』が組み込まれており、Eメールなどを送受信することが可能である
サンのブースに展示してあった多機能電話機。家庭用品向けのJava実行環境である『PersonalJava』が組み込まれており、Eメールなどを送受信することが可能である



富士通(株)が参考出品していたJava搭載の車載情報端末。HotJavaブラウザーを搭載し、ネットワーク経由でデータとプログラムをダウンロードできる。製品化はまだ考えていないという
富士通(株)が参考出品していたJava搭載の車載情報端末。HotJavaブラウザーを搭載し、ネットワーク経由でデータとプログラムをダウンロードできる。製品化はまだ考えていないという



このほかにも、ソフトウェア製品が数多く出品されていた。インプライズ(株)は、Java 2に対応したJava開発ツール『JBuilder for Solaris』を公開していた。日本語版は年内に出荷する予定だという。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン