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「個人と企業のコミュニケーションを」--一味違ったマーケティングサイト“ディムスドライブ”の創設者にインタビュー

1999年07月07日 00時00分更新

文● 編集部 原武士

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企業と個人を結ぶ懸賞サイト

インターネットの普及に伴なって、さまざまなサービスを提供するウェブサイトが増加した。その1つに、アンケートに答えたユーザーの中から抽選で商品を提供する“懸賞サイト”というものが存在する。

今回紹介するウェブサイト“ディムスドライブ(DIMSDRIVE)”も、懸賞を中心としたアンケートサイト。会員制にし、セキュリティーを徹底することで、ユーザーへの信頼性と、他のアンケートサイトとの違いをアピールしている。また、プレゼントの当選者には、必ず連絡し、“当選者の喜びの言葉”をウェブに掲載するなど、会員と連動したサービスを提供している。

ディムスドライブには、懸賞だけでなく会員専用の掲示板やチャットも用意されている
ディムスドライブには、懸賞だけでなく会員専用の掲示板やチャットも用意されている



このディムスドライブ(DIMSDRIVE)は、Direct Internet Mutual Service Driveの略。アンケートに答えてプレゼントの懸賞に応募する“プレゼントパーク”のほか、“個人と個人”“個人と企業”“企業と企業”がインターネットを通じて、相互に商品や情報を提供しあうサービスを提供している。

“個人と個人”向けのサービスには、会員同士で利用できる掲示板やチャットシステムを提供する“Cafe DRIVE”を、“企業と個人”には、企業の求めている人材を紹介し、個人がその企業に対して個人の能力をアピールする“職WEB”を、そして“企業と企業”には、会員企業が、企業向けに仕事の依頼や、探している技術を掲載する“Do-NET”を用意している。

もともと、ウェブでマーケティング調査をしていたのがきっかけ

このディムスドライブの創設者である(株)エイジアの江藤晃代表取締役と、インターワイヤード(株)の斉藤義弘代表取締役社長に話を伺った。

----ディムスドライブの開設のきっかけは?

江藤氏「今のインターネットは、情報を発信しているだけ。コミュニケーションとはいえないと思う。コミュニケーションを作るビジネスはないかと考えたのがきっかけ。また、新しいビジネスではなく既存のビジネスを利用しようと考えた。そこで、アンケート調査によるマーケティングサイトを考えた」

江藤氏
江藤氏



----なぜ、アンケートによるマーケティングを?

斉藤氏「ウェブによるアンケートを手がけてきた経験があったから。たとえば、文具メーカーの(株)広文堂(http://www.kobundo.com/)では、“文具をどのように使うか”や、“文具店に対する要望・不満”というアンケートを実施した」

斉藤氏
斉藤氏



斉藤氏「その結果、“店が暗い”“どこに何があるかわからない”という回答のほかに、“会社で消費するインスタントコーヒーを置いて欲しい”という今までの文具屋では考えつかないような答えも得られた。そして、インスタントコーヒーを仕入れたところ、売り上げが伸びているという。会社のOLは、会社のコーヒーを買うのに、文具店の方が利用しやすい。これはアンケートなしには分からなかったところだ」

斉藤氏「ディムスドライブでは、アンケート結果のプロファイルをデータベースとして企業に渡している。企業はその見返りにアンケートに答えたユーザーに自社製品をプレゼントする。また、イメージ調査など、自社製品を提供することが、アンケート結果に悪影響を及ぼす場合もある。その場合、アンケート元を伏せ、企業からお金を受け取り、他社の商品を購入しそれを賞品としたアンケートも実施している」

使ってわかる信頼性が売り

----ウェブサイト公開後の反響は?

江藤氏「会員は4万2000人以上、Do-NETは、公開後1週間で100社が参加した」

----運営にあたって注意していることは?

斉藤氏「プライバシーの保護。プレゼントを提供している企業に登録会員の情報は流れないようにしている。企業からの要望で情報を流すときには、あらかじめアンケートに明記するようにしている」

斉藤氏「会員へのメールはS/MIMEによる暗号化を掛けて配信している。配信メールが改ざんされると、ユーザーはメールが第三者の手によって改ざんされたものだと分かるようになっている」

「SPAMの被害経験があるからこそ、メール配信は月に1度だけ」

----メールサービスの送信の頻度は?

江藤氏「SPAMみたいなレッテルを貼られるとこの世界では生きていけない。僕自身がSPAMの被害を受けたことがある。だからこそ、メールは1ヵ月に1回だけ送るようにしている」

斉藤氏「企業から見るとディムスドライブは融通の利かないサイトだろう。ユーザーの個人情報は公開しないし、メールも送らない。しかし、それでサイトのイメージが決まってくる。だから、アンケートの回答率が高いのだとおもう」

江藤氏「企業からもっと送って欲しいという要望があるが、ビジネスとして成り立っても、ユーザーにやさしくなくては意味がない」

大企業と中小企業の差が開いていくのを食いとめたい

----今後開始したいサービスは?

江藤氏「Do-NETの企業情報サービスを充実させたい。Do-NETでは、企業が公開したい情報を自由に書き換えられる情報発信サービスを提供している。これを月々1000円という低価格で提供することで参加企業を増やし、異業種交流を活性化させたい」

江藤氏「インターネット単体では、新しいビジネスが発展することはない。今後、インターネットは既存の世界の柱というものになっていくだろう。インターネットは、これからの国際社会で生きていくような企業に成長するための勉強の場と思う。勉強の場が提供できるように、真剣に技術開発していきたい」

斉藤氏「中小企業は情報化が遅れている。大企業が、積極的にインターネットビジネスに身を乗り出しつつある今、大企業と中小企業の差が確実に開き始めている。このことに気付いていない中小企業の手助けになりたい」

インターワイヤードのパンフレットには創業80周年とある。日本の工業化を支えてきた東京・城南地域で、電線を扱う商売を続けてきた。同じ“wire”でも、“電線売り”とインターネットビジネスのサポートとでは、ずいぶん印象が違う。斉藤氏自身が、情報化に対応した変身を果たした格好の見本と言えるだろう。

斉藤氏(左)と江藤氏(右)
斉藤氏(左)と江藤氏(右)

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