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“ポータルサイトgooの展開について”--ポータルサイトは体力勝負

1999年07月02日 00時00分更新

文● 編集部 綿貫晃

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かながわマルチメディア産業推進協議会(KM協)は25日、“ポータルサイトgooの展開について”というテーマで、会員向けにセミナーを開催した。このセミナーは、(株)エヌ・ティ・ティ・エムイー情報流通(NTT-X)が運営するポータルサイト“goo”の現状、提供サービス、今後の展開について紹介するもの。講師は、NTT-Xの第3ビジネス開発本部課長である国枝学氏が務めた。

なお、KM協は、神奈川県におけるマルチメディア技術を使った事業の具体化を目指し、各種の活動を産学公共同で行っている協議会。

セミナーは、インターネットの市場動向、ポータルサイト“goo”について、今後の事業展開の3つのテーマで進められた。

NTT-Xの第3ビジネス開発本部課長である国枝学氏
NTT-Xの第3ビジネス開発本部課長である国枝学氏



日本のインターネット広告市場は米国の20分の1<

まず、インターネットの市場動向の話から始まった。通信白書によると、日本におけるインターネットユーザー数は'98年に1700万人を超え、企業の普及率は80パーセント、世帯普及率は11パーセントとなっている。また、企業と消費者間のEC(電子商取引)市場については、'98年に前年比2倍の1665億円、2005年には1兆円を超える市場規模が見込まれている。しかし、'98年の米国のインターネットユーザー数は日本の約6倍の9400万人となっており、EC市場も日本の約7倍の1兆円と格差は大きいという。

(株)電通の調べによると、日本のインターネット広告市場は、'98年に前年比約2倍の114億円となっており、'99年は198億円になると予測されている。ただし、米国のインターネット広告市場は'98年に2400億円と、日本の20倍もの差ができてしまっているという。

これらの市場について国枝氏は、「米国と比べると、日本全体の市場規模から考えても、日本のインターネット広告市場やEC市場は小さい。急激に伸びてはいるが、まだ日本はインターネットの使い方が上手ではない」と述べた。

検索データベース数は1700万件で国内第2位

次に、gooの概要に関する話しへと進んだ。gooは、検索機能をベースにしたポータルサイトとして運営しており、'97年に3月27日に検索サービスを開始している。アクセス数は1日800万アクセス。ただ、国内1位であるyahooの1日2600万アクセスとはまだ大きな差があるという。また、検索データベース数は1700万件で、infoseekの1800万件に次いで国内第2位だという。

続いて、現在gooで提供しているサービスが紹介された。主なサービスとして、URL検索の“サーチ”、無料メールサービスの“フリーメール”、ジャンル別の最新情報を発信する“ホットチャンネル”、インターネット上のアンケートである“gooリサーチ”、ショッピングモールの“gooショップ”、データベース検索サービスの“日経goo”があるという。最近伸びているサービスはフリーメールで、1日2000人を超える新規登録があるとしている。

gooの検索エンジンを企業のイントラネット向けに販売

後半は、gooの今後の事業展開に関する話へと進んだ。今後は、既存のサービスの充実と新サービスの拡大を2本の大きな柱として、より総合的な事業展開を図るという。

既存サービスの充実としては、辞書検索など検索のキーワードを増やし、検索力の向上を図るという。また、人気サイトや大型サイトとの提携によるコンテンツの拡充も進めるという。gooのホットチャンネルには、(株)リクルートが運営する情報サイト“ISIZE”内のコンテンツが提供されているが、このような共同ビジネスを積極的に進めていくという。

新しいサービスの拡大としては、goo上でECサービスを始めるために必要なものをパッケージ化した“gooショップパッケージ”を顧客に提供し、“gooショップ”の出店数を増やしていくという。また、インターネット上で企業・業界調査が可能な“モニターアンケート”を、マーケティングリサーチサービスとして、企業に売り込んでいくという。

今後発表するサービスとして、検索エンジンの販売を挙げている。これは、gooの検索エンジンを企業のイントラネット用に提供するもので、“プライベートgoo”という製品名で7月中に販売の開始を予定している。イントラネット内のデータをgooの“サーチ”と同様に検索することができ、Linux版とWindows NT版の提供を予定している。また、趣味・属性に合わせた情報メールを配信するダイレクトメールサービスも、9~10月に開始する予定があるという。

最後に国枝氏は、「インターネットは従来のメディアと違った新しいサービスが行なえる。gooは、サービスの拡大によって、より総合的なポータルサイトを目指し、年内に1日1600万アクセスを狙いたい」と意気込みを見せた。ポータルサイトビジネスについては、「現実には、アクセスが増加すると、それに伴なう設備投資の連続で、なかなか黒字にならない。ポータルサイトは、体力勝負の段階に入ってきている」と締めくくった。

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