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【WINDOWS WORLD Expo/Tokyo 99 Vol.4】キーワードはVAIOを“つなぐ”、ソニーの安藤国威氏による特別講演

1999年06月30日 00時00分更新

文● 編集部 鹿毛正之

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千葉・幕張メッセで開催中のWINDOWS WORLD Expo/Tokyo99にて、“ネットワーク時代にPC、AV、通信技術が融合してもたらす新しい生活-ソニー次世代バイオの商品戦略-”と題された特別講演が開催された。

スピーカーは、ソニー(株)のパーソナルITネットワークカンパニーでプレジデント兼COOを務める安藤国威氏。 同カンパニーでは、VAIOを中心にデジタルカメラやメモリースティックといったパソコン関連機器を統括している。

ソニー(株)の安藤国威氏
ソニー(株)の安藤国威氏



講演の内容は、終始一貫してVAIOの先進性を聴衆にアピールするものであった。もっとも、サブノート市場で6割超という圧倒的なシェアを誇るVAIOが主役の講演ゆえ、その成功秘話すら聴衆にとっては興味深いものだったに違いない。

VAIOの売りは“付加価値”にあり

安藤氏はVAIOが市場に受け入れられている要因として、“わかりやすい付加価値”を挙げた。これはデザインやフィーチャーといった機能面に加え、価格面でも競争力を持ったプライスタグをつけたことを意味しており、これがライバル商品に対しての大きなアドバンテージになったという。

日本では圧倒的なシェアを獲得したVAIOだが、米国市場では、今月ニューヨークで開催されたPC Expoにおいて、やっとC1が認知され始めたばかり。この点については、パソコン市場におけるノートパソコンの占有率が、日本と米国では大きく違っていることを理由としている。具体的には日本では45.8%のパソコンがノートタイプであるのに対し、米国では16.2%に過ぎないという。ソニーでは米国市場においてもVAIOの付加価値をアピールしていく戦略を取る予定だ。

オリジナリティーがソニーの文化

次に安藤氏は、企業としてのソニーの特徴は、“オリジナリティー&ユニークネス”に求めることができると語った。

このうち、オリジナリティーについては、それが具体的に形として発現することが重要だと強調し、Intelが先日発表した“Intelデザイン”にはVAIOの影響が顕著に見て取れることを指摘した。もっとも工業デザインにおいては奇抜な形状は必然的に淘汰されるとし、デザインには必ず機能的な意味が必要とされると語った。

ちなみに安藤氏によると、ソニーでは常に新しいものを追求しているが、それと同時に守るべきところは守り、それを発展させ続けていく企業文化が根付いているのだそうだ。

続いて安藤氏は、ソニーのプラットフォーム戦略を紹介した。同社は最近、10部門に渡っていたカンパニーを3つに集約し、企業資産の集中化を行なっている。

それらのカンパニーのうち、Home Network Companyでは、平面ブラウン管で知られる『VEGA』を中心に、デジタルテレビ時代を見据えた戦略展開を行なっているという。

VAIOが属するPersonal IT Network Companyでは、PDA、グラストロン、デジタルカメラといったデバイスを核に、“PC、AV、通信の融合”というテーマを軸とする展開を行なっていくという。こちらもHome Network Company同様、デジタルネットワーク時代を見据えた戦略が中心になる模様だ。

また、ソニーの100パーセント子会社となったソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)については、次世代ゲーム機のプレステ2を軸に、やはりネットワークに注力していくこととなる。

キーワードはネットワーク

ここで最重要テーマとして挙げられたネットワークだが、安藤氏はネットワークとのつながりは、3つの段階を経ることになると語った。その段階とは、
1)PCとAVをつなぐ
2)インターネットでつなぐ
3)インターネット上のサービスとつなぐ
だと語り、まさしく“つなぐ”ことこそが、来るべきネットワーク世代の戦略として欠かせないキーワードであることを強調した。

ここからは、VAIO担当の女性社員が登壇し、VAIOに搭載されているネットワーク関連の機能についてデモを行なった。

VAIO Note XRシリーズを手に取ってのデモ
VAIO Note XRシリーズを手に取ってのデモ



デモに供されたのは、テレビ番組をハードディスクレコーディングする機能である“GigaPocket”を搭載した『VAIO マイクロタワー Rシリーズ』と、ソニーお得意のジョグダイヤルを内蔵した『VAIO Note XRシリーズ』。

紹介された機能自体はすでに専門誌などで紹介済みのものばかりだが、ネットワークというキーワードをインプットされた聴衆にとっては、なかなか刺激的なデモだったようだ。

GigaPocketにてテレビ番組をハードディスク録画しているところ
GigaPocketにてテレビ番組をハードディスク録画しているところ



また、安藤氏は、ネットワーク化を象徴するデバイスとして、同社のメモリースティックを紹介。ボイスレコーダーやフォトフレームといった製品に加え、メモリースティックスロットを備えたAiboを紹介すると、聴衆の視線はまさしくAibo一点に集中していた。

フォトフレームを手に取る安藤氏、手前にはAiboの姿が
フォトフレームを手に取る安藤氏、手前にはAiboの姿が



次に、話題はVAIOの商品戦略へと移った。ここで安藤氏が挙げたのは、“ホームネットワークの構築”と、“コンテンツとの融合”という2点。特に後者に関しては、グループ内にレコード会社やゲーム会社といったコンテンツ産業を抱えるソニーらしく、著作権保護の重要性についても触れていたのは興味深いところだ。

do you dream by Sony?

安藤氏はここでMP3を引き合いに出し、すでにプレーヤーが100万台、ダウンロード可能な曲数が50万を突破しているという数字を紹介。ネットワーク化が本格化してきたことで、個人がアクセスできるチャンネルが飛躍的に増大していると語り、近い将来には各ユーザーが情報を発信するようになることで、受信可能なチャンネル数は事実上無限大になるだろうという予測を述べた。また、VAIOについても、それを踏まえた商品戦略の発展が求められると語った。

最後に、ソニーが28日に発表した“アニュアルレポート1999”を紹介し、これからのソニーは“do you dream by Sony?”という挑戦的なフレーズのもとに企業戦略を推し進めていくと語り、スピーチを締めくくった。

全体的にはVAIO礼賛に終始したスピーチではあったが、安藤氏の自信に満ちた語り口は、VAIOの戦略に確かな手応えをつかんでいるであろうことを感じさせるものであった。

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