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マイクロソフト、Windows 2000のβ3日本語版を提供開始、併せて機能説明会を開催

1999年06月30日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は、Windows OSの次期バージョン『Microsoft Windows 2000 Professional』、『Microsoft Windows 2000 Server』、およびWindows 2000 Serverの上位機種『Microsoft Windows 2000 Advanced Server』の日本語プレリリース版(β3)の配布を開始した。

β3は、製品版の機能すべてを搭載した最終β版。今回の配布は、Windows 2000の導入評価を行なう企業の情報システム部、ソフトウェアメーカー、ハードウェアメーカー、販売パートナーを対象に行なわれる。

一般ユーザー向けのβ3提供については、8月下旬に同社のWindows 2000ウェブサイト上で、申し込み方法を発表するという。提供時期は9月上旬の予定で、提供価格は実費程度(2~3000円)になる見込み。同社はβ3を、今回の企業向けの配布と一般ユーザーを合わせて、合計4万ユーザーに配布する予定。

Windows 2000の位置づけは以下の通り。

・Windows 2000 Professional(デスクトップ/モバイル用Windows。Windows NT Workstationの後継)
・Windows 2000 Server(標準ビジネスサーバー。Windows NT Serverの後継)
・Windows 2000 Advanced Server(ミッドレンジサーバー。Windows NT Server Enterprise Editionの後継)
・Windows 2000 Datacenter Server(最上位サーバー。新ラインナップ)


Windows 2000機能説明

今回のβ3提供に伴い、同社は報道関係者向けにWindows 2000説明会を開催した。



Windows 2000は、OSとしての信頼性を向上させるための機能をいくつか搭載している。まず、システムファイルの保護機能として、OSのセットアップやサービスパック、修正モジュール、アップデート以外の場合では、システムファイルの上書きを許可しないようにした。ファイルが破損した場合は自動的に復元するなど、OSがシステムファイル管理を厳格に行なうという。

また、デバイスドライバキット(DDK)を改善し、開発者がすぐ利用できるサンプルコードやツールを搭載。メモリー管理機能も強化し、ドライバーのエラーからカーネルの他部分を保護できるほか、新しいプログラミングモデル“Job Object”を採用し、アプリケーションプロセスが使用するCPUやメモリーの割合を制限できるという。

Windows 2000 Professional

Windows 2000 Professionalは、ハードウェアのサポートとして、マルチCPUやAlphaに対応。USBやIEEE1394、IrDA、DVD、デバイスベイ等のデバイスもサポートするほか、DirectX 7.0、OpenGL 1.2などのマルチメディア機能も強化するという。なお、ISAデバイスのサポートは縮小化の方向に向かう。

同社システム統括部デスクトップOSグループプロダクトマネジャーの用瀬晃一氏「Windows 2000 Professionalは、すべてのビジネスに最適な最も信頼性の高いデスクトップ/モバイル用Windows」
同社システム統括部デスクトップOSグループプロダクトマネジャーの用瀬晃一氏「Windows 2000 Professionalは、すべてのビジネスに最適な最も信頼性の高いデスクトップ/モバイル用Windows」



ユーザーインターフェースにも、操作をより簡単にするための細かい改良が行なわれている。例えば、“表示”メニューに、画像やPowerPoint画面をサムネイル表示できる“縮小”が追加された。また、複数言語サポートも強化し、言語の表示だけでなく、文字入力や印刷も行なえるという。

画像やPowerPointデータのサムネイル表示のデモ
画像やPowerPointデータのサムネイル表示のデモ



モバイル環境での利用を考慮した機能として、電源管理の“休止状態”や、ソフトウェアの“オンラインフォルダ”がある。
休止状態は、シャットダウン時にデスクトップの状態をHDDに保存するもので、電源を切断した後、再度電源を入れると、元の状態を読み込み、切断前の画面を表示できる。再度電源を入れる際は、ロック状態でのパスワード入力画面が最初に表示され、他ユーザーが電源を入れた場合などを考慮したセキュリティーチェックがかかるようになっている。

オフラインフォルダは、クライアントがネットワーク上のファイルフォルダをオフラインで使用する場合に利用する。オフラインフォルダを選択すると、クライアント側のローカルPCに、そのファイルフォルダが自動的にダウンロードされる。オフライン状態でローカルで編集したファイルを、再度ネットワークに接続すると、自動でファイルの同期を行なう。

Windows 2000 Server

Windows 2000 Serverファミリーは、Windows 2000 Server、Windows 2000 Advanced Server、Windows 2000 Datacenter Serverの3製品。

Windows 2000 Serverは標準ビジネスサーバーで、部門単位でのウェブサーバーやファイルサーバー、プリントサーバーに適しているという。Active Directoryやターミナルサービスを提供する。

Windows 2000 Advanced Serverは、Windows 2000 Serverファミリーの中核をなすミッドレンジサーバーで、データベースサーバーやアプリケーションサーバー向け。Windows 2000 Serverよりも多くのCPUやメモリーに対応する。
Windows 2000 Datacenter Serverは最上位サーバーで、OLTPや大規模データウェアハウス、シミュレーション用途に適応するという。32個までのCPUと、最大64GBメモリーに対応する。

なお、現行のTerminal Server Editionの後継製品はなくなり、その機能はターミナルサービスとして上記3製品に標準搭載される。

同社システム統括部サーバーOSグループプロダクトマネジャーの藤岡清氏「Windows Server 2000は、高い信頼性とセキュリティーの基盤の上に、あらゆる用途と規模に最適なソリューションを提供するサーバーOS」
同社システム統括部サーバーOSグループプロダクトマネジャーの藤岡清氏「Windows Server 2000は、高い信頼性とセキュリティーの基盤の上に、あらゆる用途と規模に最適なソリューションを提供するサーバーOS」



情報共有機能は、主にウェブベースとなった。複数ユーザーによるサイトの共同編集が可能なウェブ/FTPサービス“インターネットインフォメーションサービス”、複数サーバー上のさまざまなファイルに索引付けをし、その索引を元に全文検索を行なう“インデックスサービス”、Windows Media Serviceなどの機能を搭載している。

また、COM+コンポーネントとActive Server Pagesスクリプトにより、ウェブベースのビジネスロジックサーバーを構築可能、同社の提唱するWindowsDNAに沿った3階層の分散アプリケーション環境を提供できるという。

クラスタリング機能も向上させた。従来のフェイルオーバークラスタリングは、Datacenter Serverでは4ノードまでサポートするようになった。また、動的負荷分散として、COM+によるアプリケーションコンポーネントの負荷分散と、ネットワーク負荷分散も行なえる。

“Active Directory”は、Windows 2000 Serverの統合ディレクトリーサービスで、ネットワーク上の全資源を集中管理できるというもの。実組織に合わせた資源の階層管理や、資源の管理権限のクライアント側への委譲、部署ごとのユーザーの操作環境の制限なども行なえる。これによりユーザーは、シングルログオンが可能となるほか、同一ユーザーが異なるクライアントからログオンしても、同じシステム環境で操作できる。Kerberosと公開鍵認証をサポートするほか、LDAPにも対応。また、開発しているアプリケーションをActiveDirectoryに対応させることが可能なActive Directory Service Interfaces(ADSI)を提供する。

“IntelliMirror”は、クライアントの集中管理と設定の自動化を行なうための機能の総称。“ユーザーデータ管理”、アプリケーションの自動インストールなどが可能な“ソフトウェアインストレーション”、“ユーザー設定管理”といった機能が用意されている。また、サーバーからクライアントOSをインストールできる“リモートOSインストレーション”とIntelliMirrorを組み合わせて利用することで、クライアントPCの交換などが容易に行なえるという。

“ターミナルサービス”は、Windows 2000 Serverに標準搭載される。Terminal ServerクライアントとローカルPC間でのカット&ペーストが可能になったほか、クライアント側の画面のリモート制御、ローカルプリンターへの出力も行なえる。例えば、サーバー側でらクライアント側の画面を表示し、文字入力をすることが可能。同社は、IntelliMirrorは一般ユーザー向け、ターミナルサービスはデータ入力等の定型的な用途向けだとし、差別化している。

また、多くの機能がウィザードで設定できるようになったほか、スクリプトによる定型作業の自動化が可能な“Windows Scripting Host”などにより管理者の作業を軽減する機能も盛り込まれている。

同社常務取締役の阿多親市氏は「Windows 2000 Serverは、用途に合わせて3つのラインナップを用意した。すべての機能を含めたβ版を本日パートナー企業向けに提供する。Windows 2000の出荷における最も重要な課題は、開発者支援だ。Windows 2000では、技術サポートやセミナー開催等、ハードウェア、ソフトウェアメーカーへの支援プログラムを実施していく。メーカー各社には、Windows 2000を使って、21世紀へのPCソリューションを開発していただきたい」としている。

「私も先日自分のマシンにWindows 2000をインストールした。安定したOSであると身を持って言える」(阿多氏)
「私も先日自分のマシンにWindows 2000をインストールした。安定したOSであると身を持って言える」(阿多氏)



Windows 2000 Professional、Windows 2000 Server、Windows 2000 Advanced Serverの3製品は、英語版が'99年内の開発完了を目標としているという。日本語版はその30日後になる。また、Windows 2000 Datacenter Serverは、英語版が2000年第1四半期に開発完了予定。日本語版の開発完了は他と同じくその30日後となるという。

WINDOWS WORLD Expo会場内のマイクロソフトブースでも、Windows 2000のデモが行なわれている
WINDOWS WORLD Expo会場内のマイクロソフトブースでも、Windows 2000のデモが行なわれている

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