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【COMMENT】「低額・定額のインターネットサービス実現へ!」22日の郵政省報告をもうあとひと押しと評価--慶応大学ビジネススクール國領二郎助教授

1999年06月23日 00時00分更新

文● “「みんなが使えるインターネット」をめざすユーザの会” 代表 國領二郎

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郵政省が22日、“次世代ネットワーク構想に関する懇談会”の報告書をまとめた。高速で安価な次世代通信ネットワーク基盤を構築するための環境整備などについて提言している。この中で、全国でのサービス提供を基本とし、月額数千円程度を念頭に置いた定額料金制の導入を示唆している。この報告書に関する事前報道('99年6月16日付、日本経済新聞、第1面)をもとに、慶応大学ビジネススクール助教授で、“「みんなが使えるインターネット」をめざすユーザの会”代表の國領二郎氏に、コメントを寄せていただいた。以下は、國領氏の寄稿である。

悲願の低額・定額インターネット通信料金が実現しそうだ。筆者が代表をつとめさせていただいている“「みんなが使えるインターネット」をめざすユーザーの会”では、(1)2000年までに実現、(2)全国で、(3)プロバイダー料金+通信料金合わせて1万円未満の定額、(4)「64kbps以上」などを目標に掲げてきたが、満額といわずとも、これにかなり近い線が実現してくれるのではないだろうか? 通信事業者もその気でいらっしゃるようだし、監督官庁もそれを支援しようという流れに見える。実現に向けて尽力されているすべての方に敬意を表したい。

一ユーザーとしても、さまざまな局面でネットワークビジネスを立ち上げるお手伝いをしている人間としても、日本に豊かなネットワーク社会・経済をつくるためには低額・定額のインターネットサービスが必須であるという認識を持ってきた。私だけではなく、それはネットワークに関係してきた多くの方々の切実な思いだったと思う。

筆者が専門としている電子商取引の分野だけ考えても、長時間接続を想定できるかできないかで、展開可能なビジネスの範囲がまるで違う。ユーザーにゆっくり情報を収集して(ついでに広告を見て)もらい、サービスのネット提供を受けてもらい、デジタル財の配送を受けてもらうことができる。来る手数料自由化を控えた証券業界が提供できるサービスだけ考えても頭がクラクラするほどいろいろなことが考えられる。音楽は?ゲームは?対象を広げて可能性を考えると震えを感じるほどだ。不景気なんて吹き飛ばせると本気で思う。

ネットワークインフラや電子商取引の基盤サービスを構築する上でも需要が先行する形を作りたい。光ファイバーネットワークや、次世代インターネットを構想しても現在のネットワークへの需要の盛り上がりがない中では迫力に欠けるし、政府の補助金頼みの開発になってしまう。現システムの料金体系改革で需要を喚起し、盛り上がるユーザーニーズの中で新しい基盤への投資が行われるようにしたい。

低額・定額が実現したら今度は我々の出番だ。ビジネスを創造するにしても、新しい社会的な動きを展開するにしても自分たちのイマジネーションだけが限界と言えるくらい大きな可能性を秘めている。それを一気に花開かせようではないか。

あともうひと押しである。今回の動きも広範なユーザーの声が事業者や政治、行政に伝わって進んできたものと思う。当会のサイトで署名運動をしているので、ぜひ皆様のご協力をお願いしたい。

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