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日産自動車グループ、情報システム関連部署を分割、要員削減へ

1999年06月21日 00時00分更新

文● 編集部 中野潔

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日産自動車(株)は、社内の情報システム関連部署および情報システム関連子会社の再編を進める。業務改革本部(旧情報システム本部)を事務計算および生産管理システムを見る部と、設計開発向けシステムを見る部に分割。後者からは、360人をデータ入力を中心とした子会社、日産テクノに出向させる。また、グループ内の通信関連子会社の(株)日産アイと日産エヌネットとを合併させる。

さらに、日産自動車グループでは、設計開発向けCAD/CAM/CAEシステムとして、自社開発の『αCAD-II』と米SDRC社との共同開発の『I-DEAS MASTERシリーズ』を採用していたが、今回、仏ルノーから、ルノーが使っている『CATIA』の導入を迫られ、対策に苦慮している。日産の情報システム関連の動揺が、しばらく続きそうだ。

日産自動車では、'90年代前半まで、事務計算および生産管理システムを見る情報システム本部(東京・銀座)と、CAD/CAM/CAEシステムを中心とした設計開発向けシステムを見る技術システムセンター(神奈川県厚木市)とが分かれていた。'90年代なかばに両者を統合して新しい情報システム本部とし、さらに'97年7月に、他の部署を一部加えて、業務改革本部とした。

今回、旧情報システム本部と、旧技術システムセンター(社内の部署コードがiX0)とを分離する。後者を設計開発部門の一部という位置づけに戻し、'80年代後半に技術システムセンターの課長だった山縣秀司取締役が、担当する。

iX0では、CAD/CAMのデータ入力を担当する課であるiX7の課員260名を、日産グループ内のデータ入力を中心とした子会社、日産テクノに出向させる。その際、設計開発部門内の、実験部、試作部の技能員100名をデータ入力要員として再教育し、同様に日産テクノに出向させる。

日産自動車グループでは、グループ内の情報システム、ネットワーク関連企業の再編も進めている。今回、(株)日産アイと日産エヌネットとを合併させる。

日産自動車グループでは、組織再編だけでなく、システム見直しという不安要因も抱えている。同グループでは、設計開発向けCAD/CAM/CAEシステムとして、自社開発の『αCAD-II』と米SDRC社との共同開発の『I-DEAS MASTERシリーズ』とを採用してきた。航空宇宙事業部の一部で、フランスの航空機メーカー社内のCAD/CAMを前身とする『CATIA』を使っていたが、社内全体で見れば、そのシェアは非常に小さかった。

しかし今回、大株主となった仏ルノーから、ルノーが使っている『CATIA』の導入を迫られ、対策に苦慮している。1万人弱の設計開発要員を抱える日産自動車の場合、『CATIA』を導入するとなれば、最大で数千端末分の契約となる。資金不足の中では非常に困難だが、ルノーから赴任する業務改革、コスト削減のチームが、業務改革や設計情報共有に直結するCAD/CAM/CAEシステムの共通化に注力するのは、間違いがないところ。

内憂外患の両面からの圧力で、日産の情報システム関連の動揺が、しばらく続くのは、避けられそうにない。

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