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【ゆうゆうインターネットフォーラム】中央会場と地方会場をネットワークしてイベントを展開(東京編)

1999年06月21日 00時00分更新

文● 船木万里

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郵政省の主催によるインターネット・シンポジウム“ゆうゆうインターネットフォーラム”が20日に行なわれた。東京会場は、逓信総合博物館ていぱーく。地方会場は、北海道の札幌中央郵便局、九州の福岡中央郵便局の2会場。

基調講演では、郵政大臣の野田聖子氏がインターネットの利点や今後の展望、郵政省の取り組みなどについて語った。また、東京、札幌、福岡の3会場をテレビ電話システムやインターネットで結び、リアルタイムでパネルディスカッションが行なわれた。

会場ステージの両脇には、展示・体験コーナーとしてパソコン数十台が設置された。郵政省が新しく始める、パソコンを利用したサービスのデモンストレーションや、デジタルカメラで撮影した写真を使ってのプリクラシール・絵はがき作成などさまざまなパソコンの活用法を紹介。ネットサーフィンなどを親子連れが楽しむ姿も見られた。

我が家のインターネット活用大作戦 受賞作紹介――心のこもったHPから広がる、ふれあいの場

ステージでは、まず“我が家のインターネット活用大作戦”と題して、全国から募集したホームページから選ばれた、受賞作6作品が紹介された。今回の応募作の選考にあたった、全国のベンチャーやNPOの参加するネットワーク“アンテナネット”を代表し、興津祥子(おきつ しょうこ)氏(Happy Mother Network代表)、為近薫(ためちか かおる)氏(ままらHOUSE代表)、戸田江里子(とだ えりこ)氏(クリスタルリンク代表)の3人がプレゼンテーターを務めた。

大きなスクリーンには、受賞作品のホームページや、作者からのメールが映し出された
大きなスクリーンには、受賞作品のホームページや、作者からのメールが映し出された



左から、為近薫氏、戸田江里子氏、興津祥子氏
左から、為近薫氏、戸田江里子氏、興津祥子氏



TomtomBox”というページで“素敵なパパで賞”を受賞した北海道在住の菊地友則氏は、札幌会場に来場。コメントを述べる姿が、リアルタイムでステージ上のスクリーンに映し出された。また“いきいきコミュニティで賞”受賞の“FUSION長池(ぽんぽこウェブ)”は、地域の住民有志がNPO法人を取得し、地域活性化へ役立てようとつくったホームページ。代表の2人が、東京会場の壇上で受賞の喜びを語った。また、プレゼンテーターの1人、為近氏のページ“転勤族 INTERNET MOVEMENT”も、“転勤族はうれしいで賞”を受賞した。


“素敵なパパで賞”受賞、TomtomBoxのインデックスページ。家族や趣味の話題をほのぼのと綴る。かわいいアニメや音声など、楽しい仕掛けもいろいろ


“いきいきコミュニティで賞”受賞、NPO FUSION長池(ぽんぽこウェブ)のインデックスページ。多摩ニュータウンの地域情報、メーリングリストのログなど、住人たちの情報交換の場として生かされている

その他の3作品、It's a small world賞“世界子育てネット すいーとはーと”、シルバーリング賞“タッチおばさん”、奥様ワイド賞“井戸端奥様の部屋”についても、ページの内容と受賞者からのメールなどが、スクリーンを使って紹介された。

FUSION長池を代表する2人が壇上に登場し、受賞の言葉を述べた
FUSION長池を代表する2人が壇上に登場し、受賞の言葉を述べた



受賞作のホームページを見たりゲームで遊んだりと、体験コーナーでは親子連れがパソコンを使って楽しむ姿が見られた
受賞作のホームページを見たりゲームで遊んだりと、体験コーナーでは親子連れがパソコンを使って楽しむ姿が見られた




野田聖子氏基調講演――インターネットは今後、中身で勝負。郵政省もインフラ整備に尽力

次に、野田聖子郵政大臣が登壇し“高度情報通信社会と家庭・コミュニティ・郵便局”と題した基調講演を行なった。野田氏は「近年、情報機器の変化にはめざましいものがあります。電話といえば有線が当たり前だった時代からたった10数年で、想像もしなかったような機能を使いこなす時代へと、社会は変貌を遂げていますが、その中でインターネットは、どこがどのように便利なのでしょうか。また、どのような役割を求められているのでしょうか」と問い掛けた。

「例えば私が結婚する、ということを知らせるのに電話を使い、1対1で情報をやりとりしていたのでは大変ですが、ホームページに書けば、不特定多数の人にその情報を伝えることができます。赤ちゃんが生まれて、そのかわいさを伝えるにも、写真をメールで送れば相手に見てもらえます」、「電話では声で説明するだけですが、インターネットでは文字、写真や絵など、さまざまな情報を伝えることができます。また例えば、電話では小渕総理に緊張して思ったことが言えなかったりしても、メールなら伝えたいことをきちんと文章化して、時間に気兼ねすることなく送れますね」などと、インターネットの利点についてわかりやすい例を挙げながら説明した。

インターネットの利点について、わかりやすく説明する郵政大臣、野田聖子氏
インターネットの利点について、わかりやすく説明する郵政大臣、野田聖子氏



現在、インターネットを利用している国民は10人に1人、という調査結果について「日常的にテレビの電源を入れるような感覚で、インターネットに接続するというような利用にはまだまだ遠いかも知れません。国内では、アダルト系サイトへのアクセスが主流、という現状です。生活に密着した情報や利用法など、家庭や地域に役立つ中身が増えれば、今後はインターネットがもっと普通に利用できるようになるのでは」と、これからのインターネットコンテンツの充実に期待を寄せた。

郵政省では今年、300億円の予算を使い、全国3万9000の学校のうち、1050校に、高速インターネットのインフラ整備を行なう。「保護者の方々にとっては、子供たちに有害情報を見せてしまうことになるのでは、という心配もあるでしょう。郵政省では、事前に情報をフィルターにかけ、青少年をそうした情報から守るフィルタリング・システムを研究、開発しています」と、郵政省がインターネットへの積極的に取り組んでいることを強調した。

また、インターネットを利用した在宅勤務という形で、女性や高齢者の労働力を活かす研究なども進められている。より使いやすいハードウエアを開発することによって、情報弱者と呼ばれる高齢者や障害者などにも、就業機会を広げていきたい。こうした取り組みこそ、インターネットの本来の特性を活かした利用法ではないだろうか、と野田氏は語った。

ディスカッション&テレビ会議――地域社会活性化に、インターネット利用と郵便局をクロスオーバー

この後、中央会場と地方会場をネットワークしたディスカッションとテレビ会議が行なわれた。総司会者はNHKアナウンサーの黒田あゆみ氏、コーディネーターは慶應義塾大学教授、花田光世(はなだ みつよ)氏。そして野田郵政大臣がコメンテーターをつとめた。パネラーは、札幌会場の浪田美智枝(なみた みちえ)氏(クレストテース札幌代表)と水野 明(みずの あきら)氏(せんべいプロジェクト代表)、福岡会場の濱砂圭子(はますな けいこ)氏(子づれ DE CHACHA CHA編集長)と李 幸宏(い へんぐぇん)氏(電車に乗るぞ障害者の会代表)。女性の労働問題や高齢者支援、子育て支援、障害者のパソコン利用など、それぞれの立場からインターネットや今後の郵便局に望むことなどを語った。

左から、アナウンサー黒田あゆみ氏、慶應大学教授花田光世氏、郵政大臣野田聖子氏
左から、アナウンサー黒田あゆみ氏、慶應大学教授花田光世氏、郵政大臣野田聖子氏



スクリーンに映されているのは、福岡会場の濱砂圭子氏。野田郵政大臣へ、今後のインターネットへの要望などを語る
スクリーンに映されているのは、福岡会場の濱砂圭子氏。野田郵政大臣へ、今後のインターネットへの要望などを語る



郵便局は全国に2万4700局と、最も地域に密着した存在。野田郵政大臣は「本年度中には、全国の郵便局をバリアフリーに整備します。地域のふれあいの場としていただきたい」と語った。パネラー各氏の意見をまとめ、花田氏は「今後は郵便局を、誰でも利用できる身近な地域の情報発信地としていければいいですね。インターネットなど、新しいメディアになじむ場所として利用するには、インフラ整備が必要。地域のベンチャー企業やNPOなど、外部の力も巻き込んで、地域にとけ込んだ人々のふれあいの場を作り上げていっていただきたい」と締めくくった。

なお、8月31日まで、郵政省ホームページにリンクして、今回の大会ホームページが開設されている。

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