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「中古ゲームソフト裁判では“映画の著作物”と“頒布権”で戦う」--ACCS、平成11年度第1回通常総会

1999年06月11日 00時00分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は、平成11年度('99年4月1日~2000年3月31日)第1回通常総会に併せた記者発表会を開催した。この中で同協会が選定する“平成11年度ソフトウェア管理優良企業”や、著作権に関する事件報告、子供を対象とした著作権啓蒙事業の予定について発表した。

ACCS理事長を務める辻本憲三氏(右)と、同協会の専務理事を務める久保田裕氏(左)
ACCS理事長を務める辻本憲三氏(右)と、同協会の専務理事を務める久保田裕氏(左)



自治体や教育機関はもっと著作権意識を     

ACCSは、企業・団体内での違法コピー防止や著作権意識の向上を狙い、ソフトウェア管理優良企業として毎年企業や団体を表彰している。平成11年度は(株)関西電力、三洋電機(株)、(株)東海銀行、岐阜県が受賞した。特に岐阜県は、自治体として初めての受賞となった。なお、受賞企業の選定にあたっては、同協会が各企業に対してヒアリング方式の調査を行なっている。

通常総会後の懇親会で辻本理事長より表彰状と感謝状を受け取る、岐阜県経営管理部情報システム課の田宮仁史課長補佐
通常総会後の懇親会で辻本理事長より表彰状と感謝状を受け取る、岐阜県経営管理部情報システム課の田宮仁史課長補佐



今回受賞した岐阜県は、6000台のパソコンを持ち、県職員1人に1台に近い環境を実現している。そして、ソフトのライセンス契約を一括で管理するため、県の経営管理部情報システム課の中に専門の担当者を設置した。このことで、全社的に利用されているグループウェア、ワープロ、表計算、ウィルスチェックといったソフトに関しては、違法コピーを完全に防止しているという。

ACCS専務理事を務める久保田裕氏は「企業内での違法コピーソフトの使用率は、年々減少傾向にある。しかし、自治体や教育・研究機関ではまだ野放図に近い」と語った。そして、著作権意識の向上に関しては「刑事摘発よりも良い気運を作るほうが重要」と、同賞の意義を語った。

次回の裁判でも“映画の著作物”と“頒布権”について真っ向から争う

また、記者発表会では平成10年度後期からの取り扱い事件についての報告があった。特に先日、東京地裁に判決が下された中古ゲームソフト販売に関する裁判について、再び「ゲームソフトの本質を全く理解しない極めて不当な判決」と強調した。この件は、メーカー側が8日に東京高裁に控訴している。

久保田氏は、「中古市場を野放図にすることで、メーカー側がタイトル制作費回収が妨げられ、結果としてゲーム業界の国際競争力が低下する」と繰り返し語った。また、今後デジタルコンテンツ制作側が寄って立つ権利を守るためにも、次回の裁判でも“映画の著作物”と“頒布権”について真っ向から争うという。

子供のうちに著作権に関するバランス感覚を

ACCSは、今夏の“第3回著作権を守ろう! こどもコンテスト”や“夏休み子どもセミナー「著作権てなに? パソコンで学ぼう」”といったイベントの開催をはじめ、今後小学生や中学生を対象とした著作権啓蒙のセミナーやイベントを開催する予定(詳細は末記)。

久保田氏は、「国立研究所が発表したデータによると、日本の子供は世界的に見て非常に著作権保護に関する意識が高い。しかし大人になるにつれ、その傾向は逆転し、世界各国に遅れをとっているようだ。子供は日ごろ、図画工作や作文などクリエーティブな活動をしているためであろう。大人になってもその意識を忘れないためにも、小さいうちに著作権に関するバランス感覚を身につけてほしい」と期待を寄せた。

・"第3回著作権を守ろう! こどもコンテスト"--ソフトの著作権保護や違法コピー防止をテーマにした作文やポスターの募集
対象:18才以下、募集期間:'99年7月10日~9月30日、発表:'99年11月1日、賞品:グランプリ対象者「iMac」など  

・"夏休み子どもセミナー「著作権てなに? パソコンで学ぼう」"--ゲームやアニメなどで著作権を勉強
対象:小学生・中学生、保護者、教育関係者の計80名(各開催日)、開催日時:'99年7月27日、28日の13:30~17:00、開催場所:(株)ジャストシステム東京支社、会費:無料

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