このページの本文へ

『スター・ウォーズ』シリーズはやはり全6作で打ち止め

1999年06月04日 00時00分更新

文● 平野晶子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

ウッドストックなみの熱気が日本にも波及するか

2日、ジョージ・ルーカス監督の来日会見が新宿パークタワーホールで20世紀フォックス(極東)映画により行なわれた。7月10日からの『スター・ウォーズ|エピソード1 ファントム・メナス』の日本公開を控えてのプロモーション来日で、こうした主旨での来日は実は今回が初めて。受付開始の2時間以上前からカメラマンを中心に報道陣が殺到、最終参加者は約650名と大物ぶりを見せつけた。会場では混乱を避けるため、撮影のために席や場所を移動することも禁止されるなど、宣伝側の気の遣い方も尋常ならざるものだった。

5月19日の米国公開では、1ヵ月前から行列ができるなどファンの熱狂ぶりが伝えられているが、これに対し監督自身は「米国でのこの映画に対する熱気は、ウッドストック(著名なロック・フェスティバル)を思わせるものがある。パーティー気分でやってくる観客が多く、とても楽しい雰囲気だ。非常に感謝している」とストレートに喜びを語った。自身のこの作品に対する満足度は「85パーセント。どんな映画でも100パーセントということはありえず、これは完璧に近い数字。これほど自分のビジョンに近いものを作ることができたのは初めて」と、自信のほどをうかがわせた。

日本公開を控えてのプロモーション来日は今回が初めて。当日は650名もの報道陣が殺到、大物ぶりを見せつけたジョージ・ルーカス監督
日本公開を控えてのプロモーション来日は今回が初めて。当日は650名もの報道陣が殺到、大物ぶりを見せつけたジョージ・ルーカス監督



「最初はシンプルな物語で若者達に受けるようなアクション・アドベンチャーを考えたが、思いがけないヒットになり、本当に巨大な現象になってしまったため、そこから逃れられなくなってしまった」と、'77年の第1作以来20年以上もこのシリーズに取り組み続ける心情を吐露。「人間は共存、助け合って生きてこそ、よい人生を創造できるのだということ」を若者達に伝えたかったという。

また、コピーライターの糸井重里氏の「ヨーダのモデルが脚本家であり、大阪芸大教授でもあった依田氏('91年没)であると、本人が語っていたのだが本当か」という質問にはシンプルに「ノー!」。依田氏本人は「ルーカスちゃん」などと親しみを込めて語っていたようだがホラであることが判明。糸井氏の独特のユーモラスな語り口ともあいまって、場内は爆笑の渦となった。

新キャラクター、ジャージャー・ビンクスなどの言葉のアクセントに差別的なものを感じるという批判が米国内で出ていることに関しては「アメリカのジャーナリズムの悲しい点だ。人には皆、固有のアクセントがある。新聞を売らんがための批判としか受け取れない」と外国人記者に毅然として答えた。

『スター・ウォーズ』の魅力は、神話的なファンタジーであり、フェアリー・テールだというルーカス監督。プロモーションも女性を重点に
『スター・ウォーズ』の魅力は、神話的なファンタジーであり、フェアリー・テールだというルーカス監督。プロモーションも女性を重点に



ファンにはかなり残念! 噂の後編3部作は「ノー」

今回はファッション誌が大々的な特集を組むなど、従来のSF映画といった路線とはかなり異なる宣伝戦略がうたれている。アメリカでは観客の男女比が6対4と、女性客が増えてきていることもふまえ、女性にアピールしたい『スター・ウォーズ』の魅力は何かとの問いには「この作品をSFと考えるのは大きな間違い。神話的なファンタジーであり、フェアリー・テールだ」と主張。さらに、「非常に自立心のある若い女性像を十分に描いており、母親が子供と別れるという女性の心に訴える場面もある」と付け加えた。

ルーカス氏が昨年亡くなった黒澤明監督を尊敬していることは有名だが、「第1作で『隠し砦の三悪人』(58)をまねたほかは、インスピレーションやクリエイティビティーの面で影響を受けただけ」と、直接的な作品への影響は否定した。しかし、黒澤監督の「リアリズムのムードを作り出す手腕は大いに参考にしており、いつかはあのレベルに到達したい」とも。

『スター・ウォーズ』シリーズは旧3部作に加え、その前史としての今回の新3部作を加えて全6作の大河ドラマとなるが、さらに旧作の続編となる3部作も含め全9作になるとも言われていた。しかし、後編3部作の製作に関しては明確に「ノー」。他者が引き継ぐという可能性も否定した。結局『スター・ウォーズ』シリーズは全6作で完結することになる。理由は「この年令では9本は無理。ほかに作りたいものもある」からとしていたが、ファンにはちょっと残念な宣言となった。

会見前日、日本に着いたというルーカス氏は、翌日にはとんぼ帰り。すでに『エピソード2』の準備で多忙なスケジュールに追われているという。次回は日本人をはじめ、東洋人俳優の活躍も大々的に増えるとも語っていた。なお、6月13日に東京国際フォーラムでプレミア上映が行なわれる。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン