マイクロソフト、Windows 98のアップグレード『Microsoft Windows 98 Second Edition』日本語版を発表
1999年05月28日 00時00分更新
マイクロソフト(株)は、Windows 98
日本語版のマイナーアップグレードとなる『Microsoft Windows 98 Second
Edition』日本語版の機能概要について説明会を行なった。
Second Editionは、ホームユーザー向けWindowsデスクトップOSとして位置付けられているWindows
98のアップデート版。Windows 98の次期メジャーバージョンアップ版である『Consumer
Windows in 2000』(仮称)の正式リリースまでの間、Windows 98のコードをアップデートしたSecond
Editionをユーザーに提供するという。詳しい出荷開始日は未定だが、Second
Editionは'99年に、Consumer Windows in 2000は2000年にそれぞれ出荷されるという。
Second Editionは、1:インターネット機能の拡張、2:マルチメディアのサポート強化、3:最新ハードウェア技術への対応、4:これまでの各種修正内容の統合の4つのポイントを目的に新たな機能が追加されている。
インターネット機能では、Internet Explorer 5を追加したほか、インターネット接続共有(Internet
Connection Sharing)機能を搭載する。これは一般家庭へのPC普及に伴い、一家に複数台のPCを所有する家庭が増えたことからホームネットワーキングを考慮して追加された機能で、1台のPCがインターネットに接続していると、ホームネットワークでつながれた他のPCでも同時に利用できるというもの。例えば親のPCでダイヤルアップ接続すると、子どものPCもインターネットに接続できるようになる。
NAT(Network Address Translation)機能が、インターネットアクセスに利用するパブリックなIPアドレスと、ネットワーク内のみで利用可能なプライベートIPアドレスとを相互に自動変換し、ホームネットワーク上の複数クライアントPCからのインターネット接続を可能にする。DHCP
Address Allocatorがホームネットワーク上のクライアントへのIPアドレスを、ゲートウェイアドレス、ネームサーバーを自動的に割り当て、DNSがIPアドレスの変換要求をインターネット上のDNSサーバーへ転送する仕組み。
ホームネットワーク上で必要な環境設定は自動的に行なわれ、ユーザーはなお、パフォーマンスの低下を考慮し、最大接続数は5台までに制限されている。ユーザーは、インターネット接続共有を可能にするかどうかのチェックや、接続方法などを設定するだけでいい。
インターネット接続共有の設定はこの1画面だけ |
会場では、PC2台を使って、接続共有を実現して見せた後、インターネットに接続しているほうのPCを切断、もう一方のPCがOutlookで電子メールをチェックすると、OSの自動ダイヤル機能により、1度切断したPC側が再度ダイヤルアップ接続するというデモが行なわれた。このインターネット接続共有機能は、将来家庭に高速ネットワークが導入された際にも優位に働くだろうとしている。
マルチメディア対応では、先日米国で発表された新ストリーミングメディアプラットフォーム『Microsoft
Windows Media Technologies 4.0』のコンテンツ圧縮技術により、“Windows
Media Player”で高品質のオーディオ/ビデオ再生が可能になる。また、DirectMusicやDirectShow
6.0などを実装し、Pentium III命令セットに対応したDirectX 6.1ランタイムを搭載する。
ハードウェア技術への対応として、IEEE1394のサポートが強化され、ストレージデバイスやデジタルビデオカムコーダの接続に対応した。USB
Communication Device Class バージョン1.1対応のUSBモデムもサポートするという。
各種修正内容は、'99年2月と4月に発表した西暦2000年問題対策のほか、“ユーザー登録ウィザード”のプライバシー関連の不具合、ハードウェアサポートの不具合等、これまで発表された修正モジュールすべてを搭載している。
このSecond Editionは、ユーザーによって提供形態が異なる。
まず既存Windows 98ユーザーを対象とした『Service Pack 1』、『Second
Edition Update CD』が用意される。Service Pack 1は、西暦2000年問題対策やその他修正モジュール、およびIE4.01
SP2を搭載した問題点の修正のみを行なうもので、同社ホームページからダウンロードできるほか、CD-ROM(有償)でも提供される。Second
Edition Update CDは、Service Pack 1に上記で紹介した新機能およびIE5を追加したもので、CD-ROM(有償)による提供のみとなる。ダウンロード不可の理由はサイズ容量の問題という。
一方、Windows 95/3.1ユーザー向けには、バージョンアップグレードパッケージ製品『Second
Edition
アップグレード版パッケージ』が店頭などで販売される。また新規ユーザーを対象としたSecond
EditionプリインストールPC、およびパッケージ製品『スタンダード版パッケージ』が店頭販売される。Windows
98ユーザーがパッケージ製品を誤って購入しないよう「このパッケージはWindows
95/3.1ユーザー用」といった表記を行ない、注意を促す予定という。CD-ROMおよびパッケージ製品の価格、および出荷開始日については後日正式に発表するとしている。
同社システム製品統括部デスクトップOSグループプロダクトマネージャの用瀬晃一氏は、「ホームユーザー向けOSの次期メジャーリリース(Consumer
Windows in 2000)はNTカーネルを採用する。デスクトップOSの位置付けとして、ホームユーザー向けのSecond
Editionを'99年に、Consumer Windowsを2000年に出荷する。ホームユーザー向けOSは、キーコンセプトを“It
just works”とし、家電のように使いやすい、よりシンプルなPCを目指す。特にホームネットワーク、インターネット接続の強化、デジタルメディア、エンターテインメント機能の強化といった4つの点にフォーカスし、家庭におけるPCの可能性を広げていく」
Windowsロードマップを説明する同社システム製品統括部デスクトップOSグループプロダクトマネージャの用瀬晃一氏 |
「一方ビジネスユーザー向けとして、NT4.0、さらにWindows 2000を進めていく。NT4.0は、Windows
98に対する優位性として、高い信頼性とパフォーマンス、セキュリティ、管理機能などを備えており、Windows
2000 Professionalへの最適なパスである。Windows 2000 Professionalは、Windows
98の機能を取り込んで拡張し、さらにNTの信頼性をプラスしたもの。特にモバイル環境において、優位となる機能が充実している」
「Second Editionは、ホームユーザーに最適なデスクトップOS。最大のポイントは、既存のWindows
98ユーザーへの最新環境の提供であり、Windows 98出荷以降のアップデートモジュールを統合的に提供するものだ。ビジネスユーザーには、これまでどおりNTの普及を進めていく」としている。
用瀬氏(右)と、同社システム製品統括部デスクトップOSプロダクトマネージャの佐藤秀一氏(左) |
Second Editionの必要システムは、CPUが486/66MHz以上、メモリーが24MB以上、HDD空き容量がアップグレード版で200~380MB、スタンダード版でFAT16ファイルシステム利用時が335~445MB、FAT32ファイルシステム利用時で310~390MB。日本語版のみの追加機能としてIME98
SR1.1がある。『WebTV for Windows』は米国版のみで提供。